【比翼連理】 単身赴任者のちょっと寂しいこぼれ話
家族を日本に残し、自分は異国で仕事に取り組む単身赴任者にとって、一時帰国休暇は心からほっとできるありがた~いことなのです。いや、そのはずなのです…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
喟然(きぜん)長嘆
- 中国語:喟然长叹 [ kuì rán cháng tàn ]
- 出典:論語(子罕)
- 意味:しみじみと深く嘆息すること。
心灰意懶(しんはいいらん)
- 中国語:心灰意懒 [ xīn huī yì lǎn ]
- 出典:西遊記
- 意味:心は気落ちし、気持は物憂い。がっかりする。意気消沈する
水土服(したが)わず
- 中国語:水土不服 [ shuǐ tǔ bù fú ]
- 出典:三国志(吴志·周瑜传)
- 意味:気候風土に馴染まないこと。「水土」は気候風土のこと。
根を尋ね底を究める(尋根究底)
- 中国語:寻根究底 [ xún gēn jiū dǐ ]
- 出典:紅楼夢
- 意味:根掘り葉掘り問い詰める事。原因を求め内情をはっきりつかむ。
比翼連理(ひよくれんり)
- 中国語:比翼连理 [ bǐ yì lián lǐ ]
- 出典:白居易(長恨歌)
- 原文:在天愿作比翼鸟,在地愿为连理枝。[天に在りては願わくは比翼の鳥と作(な)り、地に在りては願わくは連理の枝と為らん]
- 意味:男女の仲が深く睦まじいこと。「比翼の鳥」とは、半身がオス、もう半身がメスであり、常に一体となって飛ぶ伝説上の鳥。「連理の枝」とは、根元が別々だった2本の木の枝が時を経て結合すること。
不可言宣
- 中国語:不可言宣 [ bù kě yán xuān ]
- 出典:释道原(景德传灯录)
- 意味:はっきり言うことができない。言葉では言い表せない。
記事:【比翼連理】 単身赴任者のちょっと寂しいこぼれ話
鬱陶しい一時帰国
会社の規定により認められている年に何回かの一時帰国。旅費の会社負担もさることながら、7日間の休暇は任地での強いストレスから開放されるとてもありがたいことです。
また、単身赴任者にとっては久しぶりに家族と水入らずのひと時を持つことができる。その日が近づくと、気分も浮き浮きとしてくる、…はずなのだが現実はそうでもない。
赴任1年目は、現地の仕事や生活に慣れないこともあって、会社規定の一時帰国の予定まで待ちきれず、連休を利用して旅費を自腹で帰国したことも何度かあった。
それが、現地に慣れてくるにしたがって、家族が待つ日本に帰ることが、何故か少しばかり疎ましく感じられる。そう、気持は様変わり…
しかし、とにかく帰らないと、妻から何故帰ってこないのかと「尋根究底」、厳しい詮索は避けられない。
崩れるリズム
大連を飛び立ち二時間ほどで関西空港に到着。その頃から「不可言宣」、妙な緊張感が。家に着くと家族は「お帰り」と歓迎してくれるのだが、何となくしっくりこない。考えてみたら、お互いが共に相手がいない状態で生活が成り立っていたところに、突如、まるで異物が入り込んできたようだ。家族の皆がそれぞれ日常のリズムを崩されたようです。
自分の家に帰るのだが、着替えはおろか、歯ブラシまでスーツケースに入れて一週間の旅行状態。三日目になった頃には、「いつ大連に戻るの?」と。長期の単身赴任者にとっては、家族との居場所がありませんでした…
苦労するお土産探し
さらに面倒なことは、家族へのお土産と中国に戻った時のための日本からのお土産の準備。
帰国スケジュールを家族に伝えると、すかさず「ブランドのバッグを買ってきて!」と、勝手なことを言ってくる。「悪いけど、中国には本物は無いから…」と応酬。
それにしても、前回の一時帰国の際にお土産に買って帰った「中国茶」が、そのまま棚に置いてあったのを発見したときには「心灰意懶」。口に入るものは要らない、とは言ってたけれど…
そういえば、家族が2度ばかり中国に観光に来たことがありました。妻は2度とも下痢を起こし、「水土不服」と。それ以来、中国に来ることはありませんでした。
大連に戻る日が近づくと百貨店に行って、日本からのお土産探し。相手の顔を思い浮かべながら、あれこれ見て回るのですが、最重要ポイントは「メイドインジャパン」の表示。もちろん値段も。
これが、昨今、結構大変。ということで、貰う方はひとつですが、こちらは中国と日本の両方で計2セット準備しなければならないことがひと苦労。
ほっとするのは
そんなこんなで、あっという間の1週間の休暇が終り、お土産を詰め込んだスーツケースを引きながら、再び機上の人に。休暇中の気疲れから開放され、ひと眠り。
そうこうしている内に大連上空に差し掛かり、見慣れた景色が眼下に広がる。「喟然長嘆」、やれやれ、帰ってきたと、ほっとしながらも徐々に「戦闘モード」に切り替えねば。
単身赴任の効用
一時帰国休暇の1週間、夫婦間に漂う妙な緊張感やお互いが狂った生活リズム。とはいえ、別にギスギスした関係でいるわけでは無い。むしろ単身赴任前のような夫婦間の喧嘩は無くなったことが不思議。「比翼連理」の関係となったが、これぞ、単身赴任のお陰とも言えるのです。