【如夢初醒】とのことわざ どんでん返しの結末で目が覚めた

上海郊外の水郷(2006年5月)

 

それは夢心地のようであった。と言えば些か大袈裟かもしれない。人生で初の体験が進行していたが、やがて…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

意想不到

  • 中国語:意想不到   [ yì xiǎng bù dào ]
  • 出典:清·李汝珍(镜花缘)
  • 意味:自分の想像範内には無い事が発生したことを形容した言葉。

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夢 初醒の如し(如夢初醒)

  • 中国語:如梦初醒   [ rú mèng chū xǐng ]
  • 出典:明・冯梦龙(东周列国志)
  • 意味:夢から覚めたばかりのようである。過ちに気づいてはっと我に返ることを例えた言葉。

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心平気和

  • 中国語:心平气和   [ xīn píng qì hé ]
  • 出典:菜羹赋
  • 意味:心が平静で態度も穏やかであること。

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無地自容

  • 中国語:无地自容   [ wú dì zì róng ]
  • 出典:三国志·魏志·管宁传
  • 意味:恥ずかしくて身の置き所が無い。穴があったら入りたい。

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和顔悦色

  • 中国語:和颜悦色   [ hé yán yuè sè ]
  • 出典:論語(季氏)
  • 意味:にこやかで、愛想のよい顔。態度が温和で親切であることの形容。

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記事:【如夢初醒】とのことわざ どんでん返しの結末で目が覚めた

びっくり仰天

 上海に赴任して一年ほどが経ち、少しは現地に慣れて来た頃のこと。同じ駐在員仲間として親しくさせていただいていた、ある日系企業の総経理(社長)さんから電話をいただいた。

 何と、「日中交流にも寄与するであろうテレビの日本語番組に出ないか」とのお誘いでした。テレビに出るなんぞ、「意想不到」もいいところ、考えたこともなかったことで、びっくり。

 96年に始まったその番組は、上海に進出している日系企業の日本人総経理が、自社の日本語の話せる現地社員を伴って出演し、番組司会者の方とトークを展開する地元局の名物番組です。

 

カメラに高揚する心

 それにしても、様々に統制の厳しい中国のテレビ局で日本語番組が制作されいるとは、当時の両国間の「心平気和」の関係があったればこそと、思われました。

 しかし、日中関係は良い時ばかりではありません。ギクシャクしたり険悪な時には、日本語番組の制作は憚れそうですが、実はその後もずっと続く長寿番組となっているそうです。

 ということは、そこには、関係者の大変な努力がなされていたに違いないと思います。

 そんな名物番組に出演の打診をいただいた総経理によると、番組は出演した総経理が次に出演する企業の総経理を推薦する、リレー方式。取引先の総経理でもあったので、出演することにしました。

 その後、テレビ局の担当者と打ち合わせがあり、番組は前半が会社の紹介、後半がトークで、全体で三十分ということであった。

 そして、カメラクルーが来社し、インタビューや社内の仕事の様子などを収録。いつもとは違う光景を目の当たりにし、初のテレビ出演という一大イベントに向かって、徐々に気分が高揚してきたことを実感。

 

スタジオでの収録

 いよいよスタジオでトーク部分の収録を行う当日。

 日本語のできる社員を伴って、生まれて初めてテレビ局のスタジオに入りました。溢れんばかりの緊張感でしたが、日本のテレビ局での勤務経験を持つ、著名な司会者の方は、流暢に日本語を操り、「和顔悦色」も相俟って、スタジオ内は和気藹々。

 笑えるNG場面も御愛嬌と、とても楽しい収録となりました。

 十分程度の放送になるとのことでしたが、収録に要したのは実に約三時間。慣れないことにくたくたではありましたが、忘れられない思い出となりました。

 

テレビに映る自分

 そして、オンエア。自室のテレビで見る自分の顔に、言いようのない変な気分を味わいました。翌日、昼食に訪れた会社の近くの日本料理店では、服務員(レストランの店員さん)が、こっちを見ながら同僚と何やらひそひそ…

 多分、「あの人、昨日テレビで見た」、とでも話しているのでしょう。何とも「無地自容」、恥ずかしくてむずむずしてしまいます。それにしてもメディアの力はすごいものだと実感させられました。

 

どんでん返しの結末が

 テレビカメラの前で話したりしたのも初めてのこと。また、テレビ見たよと知人から言われる度に、面映ゆい気持ちになり、足が地についていない、どこかふわふわしたような感じで仕事をしていたところ、ある日、そのテレビ局から一通の手紙が届きました。

 開封したところ、中から出てきたのは一枚の請求書。それもそれなりの金額が記載されていました。

 ほんの一呼吸をおいて、「如夢初醒」、はたと気がつきました。平たく言えば、宣伝広告番組であったことに。

 紹介された総経理からはそこまでは聞いていませんでしたが、これまでのプロセスと請求書を見て「そりゃそうだよな」と自分で納得。

 最後の最後に豪快などんでん返しに遭遇し、夢心地から一挙に目が覚めた、という体験話でした。

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