中国沿海部・大連は【天涯比隣】の街 そこにあるものは

 

外国ではありながら、日本からわずか二三時間という意外なほどの近さの大連。大都会であるが、疲れるだけのコンクリートジャングルではない。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

威風凛凛

  • 中国語:威风凛凛   [ wēi fēng lǐn lǐn ]
  • 出典:三国演義
  • 意味:大いに気勢が上がること。武者震い。

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縁あれば千里能(よ)く相会(あいかい)す

  • 中国語:有缘千里来相会   [ yǒu yuán qiān lǐ lái xiāng huì ]
  • 出典:宋·无名氏《张协状元》第14出
  • 原文:有缘千里来相会,无缘对面不相逢。(縁あれば千里能く相会し、縁なければ面(めん)を対しても相逢はず)
  • 意味:「縁が有れば千里離れていても互いに出会うことができるが、縁が無ければ互いに向かい合っていても、知り合うことなくすれ違ってしまう」との意。縁は大切にしたいものです。

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杞人憂天

  • 中国語:杞人忧天   [ qǐ rén yōu tiān ]
  • 出典:列子
  • 意味:杞の国の人が、天が落ちてきたらどうしようと毎日心配し、ご飯も食べられず夜も眠れなかったという故事。余計な心配、取り越し苦労をするとの意。

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今昔之感

  • 中国語:今昔之感   [ jīn xī zhī gǎn ]
  • 出典:明・许仲琳(封神演义)
  • 意味:今の現実から過去のことを回想すること。

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天涯比隣

  • 中国語:天涯比邻   [ tiān yá bǐ lín ]
  • 出典:杜少府之任蜀州
  • 意味:「比邻」は近所、隣り合うこと。たとえ遠く離れていても、すぐ近くにいるように親しく思われること。 親しい友人などのこと。

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記事:中国沿海部・大連は【天涯比隣】の街 そこにあるものは

募る不安

 国内の転勤であっても知らない土地は緊張するもの。ましてや初めての海外転勤、しかもそれが中国となるとなおさらです。果たしてちゃんとやっていけるだろうか、不安は募るのはよく理解できます。

 しかし、大連に限っては、それらの心配事は「杞人憂天」。

 大連は、中国にあって少しばかり他とは異なる姿を見せてくれるのです。

 空路、成田からだと約3時間、関西空港からであれば2時間ほどの所にあるのが中国・大連。日本からとても近いのですが、間違いなく異国の地。国家体制、言葉、習慣等々大きく異なります。

 

ゆかり深い街

 中国東北部、遼東半島の南端に位置する大連は、黄海と渤海に面し、三方がすべて海に面しています。

 そのためか、中国にありがちなくすんだ埃っぽい街ではありません。木々の葉がちゃんと緑色をしているし、晴れた日には見事な青空も見ることができます。

 日本の仙台市と同じくらいの北緯約39度に位置した大連は、真冬の最高気温が零度という日がひと冬に何回かあります。一方、夏は爽やかで、四季が比較的はっきりしていて、どことなく日本の風情を感じさせる街なのです。

 広大な中国大陸にあって、南方のように暑くなく、北方のような厳冬もなく、住みやすいことが大連人の自慢。中国人にとっても、「次に住みたい街」のトップにランクされるほどです。

 中国の「千里来相会」という言葉が実感できる、親しみを持たせてくれる大連。

 敵として相見えたりした歴史も含めて、特に満州時代からのゆかりが街のそこかしこに感じられて、日本人にとってはすっと入っていける街なのです。

 

溢れる親しみ感

 大連市街地のそこここに現存する歴史的建造物も、「今昔之感」を与えてくれるとともに、親しみも合わせ感じることができます。

 そのうちのひとつが、瀋陽、長春、北京方面への旅客列車の起点である大連駅。南口側の駅舎は、日本の統治時代の1937年(昭和12年)に、上野駅がモデルとなって建築されました。設計者は旧南満州鉄道の太田宗太郎氏です。

 鉄道駅としては珍しく一階が到着、二階が出発と空港のような造りで、二階の巨大な待合室には圧倒されます。

 以前は大連・瀋陽間の約400㎞を最速の特急で約4時間もかかったのですが、2012年12月に「高鉄」と呼ばれる高速鉄道が開通し、約2時間に短縮されずいぶん便利になりました。

 この大連駅の周辺は昭和初期には既に整備され、道路のアスファルト舗装や、レンガ造りの不燃建築物が立ち並ぶ町並みができあがり、ほぼ現在の形になりました。

 そんな歴史を思い浮かべながら散策するのも趣があります。ただ、街の中心部は何処も車のクラクションなどで喧騒が溢れています。

 

こなれた街

 大連は重要な港、貿易、工業、観光都市でもあります。都市部の人口は約350万人、市管轄エリヤのすべてを含めると総人口は600万人を超えます。遼寧省では省都の瀋陽市に次ぐ規模です。

 広大な中国の中ではごく普通規模の都市ですが、大連ほどこなれた街は他にあるでしょうか。それがすなわち大連のマーケットの魅力でもあります。

 膨大なマーケットを眼前にして、さあやるぞと「威风凛凛」、駐在するためにやって来た日本人社員は大いに気勢が上がるというもの。

 他方、中国に進出するときには、まず上海へと考えることが多いと思われます。しかし、上海は中国の中で大きく突出した超大都会。無いものがない、まるで別世界の様相を呈しています。つまり、上海でいくら考えても中国全体は見えてこないのです。

そ の点、上海には比べるべくもない規模ですが、大連市が中国全体のマーケットを俯瞰するにはちょうどいい。最も適した都市規模と発展状況を備えていると言えます。

 

意外に近い

 外国ではありながら、日本からわずか2~3時間という意外なほどの近さ。正に「天涯比隣」、外国ではあるが、隣り合っていると言っても過言ではありません。

 上海や北京などの突出した巨大都市ではないが、中国のスタンダード的な街。大連は都会でありながら癒しをくれる街。疲れるだけのコンクリートジャングルではなく、よくこなれた住みやすい街、それが大連なのです。

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