【長吁短嘆】 日本人は楽だよね とため息混じりに中国人 なんじゃそれ
「長吁短嘆」とは、大きなため息をつくこと。中国人は日本人を見てため息をつき、日本人は日本人でため息をつく。みんな楽ではないのだ。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
疑えば則ち任ずる勿れ、任ずれば則ち疑う勿れ
- 中国語:疑则勿任、任则勿疑 [ yí zé wù rèn, rèn zé wù yí ]
- 出典:資治通鑑
- 意味:疑いがある人は任用してはならない。任用したなら、その人を疑ってはならない。
運用自如
- 中国語:运用自如 [ yùn yòng zì rú ]
- 出典:开明专政论
- 意味:思うがままに操ること。思いのままである。自由自在である。
此れを顧みれば彼を失う
- 中国語:顾此失彼 [ gù cǐ shī bǐ ]
- 出典:冯梦龙(东周列国志)
- 意味:一方に気を取られると他方がおろそかになる。事柄が多くてとても一度に手が回らないこと。こちらを立てればあちらが立たず
長吁短嘆
- 中国語:长吁短叹 [ cháng xū duǎn tàn ]
- 出典:乐府群珠·无名氏
- 意味:。ため息ばかりつくこと。大きなため息をつくこと。
記事:【長吁短嘆】 日本人は楽だよね とため息混じりに中国人 なんじゃそれ
楽ちん
「日本人は楽だねぇ!」と、ある中国の友人は「長吁短嘆」、ため息交じりにつぶやいた。
「何を言うのか! 日本人は朝から晩までみっちりと仕事をしている。定時になったらさっさと帰る君たちとは違うんだ! それに、気に入らない上司や同僚との人間関係にも負けずにやっている。そのどこが楽ちんなんだ!」と反論。
彼の言い分はこうです。日本では規則や社会のルールが細かく整備されていて、やってもいいことや悪いことがはっきりとしている。だから、あれやこれやと考える必要が無い。だから「日本人は楽でいいねぇ」と。
白と黒
そう言われてみれば、日本では割に物事の「白黒」がはっきりとしていて、少しだけある中間のグレーな部分を判断すれば概ね事足ります。まぁ、言ってみれば高い塀の上を歩いているようなもので、内側或いは外側のどちらに倒すのが良いのか、順法精神が旺盛な日本人なら大抵は誰にでも判断できます。
一方、中国では少しの「白」と「黒」の間に大きなグレー帯があります。その中で、物事を前に向けて進めて行くためにはどうするのが良いのか。妥当な答えはどこにあるのか、中国人は常にそれを考えています。
法治国家とは言っていますが、現実には幅広いグレー帯をどう捌くのかが大きな問題となります。
いわば日本では舗装された道路を走るので何の心配もない。しかし中国では地道を走るようなもの。でこぼこで平ではない道路。水たまりや穴ぼこを避けながら、目を見開き神経を尖らせていないと転んでしまいます。
そこで中国人は、常に人間関係を作り活用し、歴史の中で自然と身体に染みついた交渉術を「運用自如」に駆使して、自身が有利になるように思いを巡らせているということです。
そうしなければ勝利を手にする事は困難です。だから中国人は大変なんですよ、と彼は溜め息交じりにそういうことを言いたかったようです。
日本人のため息
中国現地で事業を展開している日系企業も中国企業と同じ土俵で戦っているわけです。その中国土俵で「日本のように白黒がはっきりとした尺度」で運営しようとした場合は、その事業はたいして伸びません。しかも時間がかかります。
ですから日系企業に勤務する日本人社員も、中国土俵で戦いに勝とうとするのならば、「幅広グレー帯の捌き」を学ばないと、現地ローカル企業とは勝負になりません。舗装された道路を歩くには革靴で問題ありませんが、でこぼこ道を歩くには革靴では似合わないということです。
ところが、現地企業で采配を振るう日本人総経理(社長)にとっては、「此れを顧みれば彼を失う」という悩ましい問題が出現します。立ち位置を現地に置けば、何故か本社はいい顔をしない。日本に置けば、現地会社の発展が鈍る。日本人はここでため息が出る。
日本本社は何よりコンプライアンスが大事のようです。旺盛な順法精神を背景として、コンプライアンスを錦の御旗のごとく掲げて立ちはだかってきます。
グレー帯の捌き方という悩ましい問題をどうやって切り開くか、そのハードルを越えないと業容拡大は望めません。
腹をくくるべし
現地会社で何かの問題が発生すると、場合によっては、本社経営層が「有ってはならないことが…」と謝罪しなければならないかもしれません。
それくらいのことは、現地で総経理(社長)を張っている日本人社員も「越えてはならない一線」として理解しているはずです。
そこで日本本社としては、自分達で人選をして総経理として現地に送り込んでいるのですから、「任ずれば則ち疑う勿れ」、信頼してもらいたいものです。
日本本社も現地のことは現地に委ね、口は出さないのが唯一の解決策ではないかと思います。そして、総経理は責任をもって経営に当たることは勿論のことです。日本本社に対して腹をくくることができるか、が最後の決め手になるのではないでしょうか。