【坎井の蛙】ではプラトーの壁を打ち壊せない ならばどうする?

香港の二階建て路面電車(2012年5月)

 

「坎井之蛙(かんせいのあ)」とは、井の中の蛙では決して広い見識・見分を保持することはできない、との意。平凡な業績が続く状態を上方軌道に乗せるには、現状維持の雰囲気を一掃する必要があるが。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

一箭双雕(いっせんそうちょう)

  • 中国語:一箭双雕   [ yī jiàn shuāng diāo ]
  • 出典:北史(长孙及传)
  • 意味:「箭」は矢、「雕」は鷲。一本の矢を放って、二羽の鷲を射る、との意。一つの行動で二つの利益を得ることの例え。

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坎井之蛙(かんせいのあ)

  • 中国語:坎井之蛙   [ kǎn jǐng zhī wā ]
  • 出典:荀子(正论)
  • 意味:破れ井戸の蛙では、東海の広大な楽しみを共に語ることはできない。井の中の蛙では決して広い見識・見分を保持することはできない、との意。井の中の蛙大海を知らず。

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故歩自封(こほじふう)

  • 中国語:故步自封   [ gù bù zì fēng ]
  • 出典:漢書(叙传上)
  • 意味:「故歩」はもとからの歩き方のこと。「自封」は自分の意思で閉じこもること。現在の状態に甘んじて、進歩しようとしないことのたとえ。

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耳聞目睹

  • 中国語:耳闻目睹   [ ěr wén mù dǔ ]
  • 出典:资治通鉴(唐纪睿宗景云二年)
  • 意味:耳で聞き、目で睹(見)る。直に見聞きすること。

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記事:【坎井の蛙】ではプラトーの壁を打ち壊せない ならばどうする?

業績の高止まり

 会社の営業実績が高止まりしていると言えば、悪くない状態だと思うかもしれませんが、実はそれはある意味で「現状維持」に他なりません。

 社内に現状維持を良しとする雰囲気が出てくると、それは「故歩自封」。一定の業績にとどまってしまい、「まあまあ」の平凡な会社でしかないということに他なりません。

 所謂「プラトー現象」という横ばい状態であって、それが続くと組織内にマンネリズムがはびこり、達成感も喜びも無い不活性な組織に陥ってしまいます。

 そういった雰囲気を廃するとともにプラトー状態を克服し、もう一段高いところに業績を押し上げることが、会社の持続的発展につながる大きなテーマです。そのために、会社の実働部隊である幹部社員や中堅社員のモチベーションを上げることがどうしても必要です。

 

わからない努力

 大連の市場規模は上海や北京などには及びませんが、中国の中ではたいへん「こなれた」マーケットを持つ街です。悪くない市場ですから、普通に営業活動をしていれば、それなりの営業業績を生み出すことができます。しかし、いつの間にかそれに慣れてしまい、成果の妥当性がわからなくなってしまう。

 一方、ひとつの判断基準となるであろう上海や北京、深圳などの大都市の状況と比較しようにも、大連以外の状況がわからない社員にとっては、自分たちの努力度合いを実感することはできません。

 つまり、「坎井之蛙」状態であるため、「大連の実力はこんなものではない、もっとできるはずだ」と訴えてもなかなか響かない。行ったことが無いのだから、それもやむをえないことです。

 

出て行こう

 ならば、社員達に大連以外の市場を見せて、大連との違いを自分の体で直に感じてもらうのはどうだろうか。

 幹部社員や組織運営の中心的な役割を担うベテラン社員たちを対象に、「耳聞目睹」を目的にした「外地研修」がひとつの方法。人から聞いた話やテレビなどから得る知識よりも、自身の目で見るのが一番だということです。

 もちろん物見遊山の観光旅行ではなく、自分が仕事をしている大連よりも発展している上海や北京、深圳等で開催される業界の展示会を見学し、合わせてそこの街を視てくる。視察先で得たことを自分の部下社員に伝えることもミッションに加え、結果として全社的なモチベーションのアップにつなげることを可能にするコンセプトです。

 

そこに隠し味をひとつ

 外地研修に送り出すにあたり、選考委員会を設置し、日頃の努力度合いや成績基準に数名を選抜。すると、選抜された社員は「自分は多くの社員の中で選ばれた」という認識を持つことになり、以降のモチベーションアップへの大きな作用のきっかけとなります。

 選ばれたことによって高まった自分の面子、中国の中で先頭集団を構成する大都市を生で見て、何かを感じ取り、それらを土産に大連に戻り他の社員に波及させる。つまり「一箭双雕」の効果が期待できるということです。

 この外地研修施策は、少し経費は掛かりますが、それは小さな先行投資です。実際に予想を大きく上回る成果に繋がりました。

 単に最優秀社員にご褒美としての旅行を贈呈するのとは違い、仕事の一環として外地に赴くことで社員が自身の見識を広げ、そのことが他の社員に波及し、徐々に組織全体のレベルが高まりました。後年はソウルや香港などにも拡大することとなりました。

 プラトーの克服のポイントは、普通の社員に少しの刺激を与え、そこに動機付けをプラスすることにあります。モチベーションを高める演出には十分な配慮をしなければならないことはもちろんです。それによりプラトーを乗り越え、業績アップに直結するということです。

 忘れてはならないのは、マンネリ感に気づいて打開策を打ったとしても、いずれその対策もマンネリ化するということです。繰り返しブラッシュアップし、時には別の施策を打たねばなりません。

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