列子は【愚公山を移す】と コツコツ努力の継続で蟻にも勝機が見える

大連駅(2013年1月)

 

現代中国の若い人達は、一つひとつ積み重ねるコツコツ型ではなく、「一発勝負」が比較的好きなようです。例えば、投網を打つように一気にボリュームを狙う方を好む若い営業社員が少なくありません。しかし、労せずして多くを手に入れる等といううまい話はそうそうありません。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

愚公山を移す

  • 中国語:愚公移山   [ yú gōng yí shān ]
  • 出典:列子(湯問)
  • 意味:どんなに困難なことでも努力を続ければ、やがては成就するという例え。
  • 故事:愚公という老人が往来に不便であるので山を崩し平らにして道路を通すことにし、山を崩しはじめた。人々はその愚かさを笑ったが、愚公は、子々孫々続ければいつかは成功すると答えた。その志に感じ入った山の神は、力持ちの神に命じて一夜で山を移させた。

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螳螂(とうろう)之斧

  • 中国語:螳螂之斧   [ tang láng zhī fǔ ]
  • 出典:陳琳(为袁绍檄豫州)
  • 意味:螳螂(かまきり)が前足を振りかぶって大きな車に挑みかかるさま。弱者が身の程も知らずにむやみに強者に敵対することの例え。

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理所当然

  • 中国語:理所当然   [ lǐ suǒ dāng rán ]
  • 出典:王通(文中子・魏相篇)
  • 意味:理の当然である。道理にかなっている。

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労せず 而して獲る

  • 中国語:不劳而获   [ bù láo ér huò ]
  • 出典:孔子家语(入官)
  • 意味:自らは苦労せずに他の人の労働成果を占有することの意。労せずに手に入れること。

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近道は有るか

 「労多くして功少なし」の対語である「労せず 而して獲る」ということわざがあります。

 どうも今の時代の若い営業社員は、コツコツ積み上げるよりも、投網を打つように一気にボリュームが取れる方法を好むように思えます。営業社員が、少ない営業活動でより多くの成果を狙うという気持ちはわかりますが、実際にはそんなうまい話はそうそうありません。

 中国においても、営業拡大の基本は、一軒一軒を積み上げていく、どこまでも地道な活動にあります。近道はあろうはずはありません。

 

アウエーで

 中国・東北地方の一地域をテリトリーとしているが、そのエリアで、官権を背景に持つ競合他社のシェアは何と97%。外資である我が社のそれは僅か3%で、まるで像と蟻。ほぼ独占状態でありました。それもそのはず、その競合会社は自分たちが地歩を築いてから、背景に存在する後見役の官権が外資の導入について認めるので、最初から既に大きなアドバンテージを彼らは持っているのです。

 そんな完全アウエー状態の敵地に外資企業が乗り込むということは、まるで「螳螂」。

 身の程知らずもいいところ。どう見ても勝ち目のない状況の中で、一発勝負を狙ってもどうにかなるものではありません。

 

当たり前が

 地方政府の“直営”ともいえるその競合社は、絶対的な官権力を背景にしていることに加えて、日系会社よりも数段安い価格設定により、マーケットの中で圧倒していました。歯牙にもかけない強大さを誇っていたのです。

 そんな中で、官権から保護された競合社からの誘いにも乗らず、一貫して弱小日系会社との取引を継続していたある政府系企業がありました。普通に考えればその競合社を選ぶはずですが、実際には外資系の、しかも価格的にも高い方を選択したのです。

 その一見不思議、不合理ともいえる選択の理由について、担当者は「あなたの会社は、必要な時にはすぐに駆けつけてくれる」「あなたの会社の社員は、決して偉そうな態度をとらない」と言うのです。

 理所当然」、至極当たり前のことを評価した結果であったのです。逆に言えば、その官権を背景にした競合社は、そんな当たり前のことができていなかったようです。

 

コツコツ

 競争に勝つためには奇をてらうのではなく、むしろ品質のよいものを市場に提供するという、正攻法が基本であるはずです。そうした地道な努力を続けていけば、自ずと顧客は増えるいうもの。

 どんなに困難なことでも努力を続ければ、やがては事が成就する。「愚公 山を移す」ということわざがありますが、このことを心しなければなりません。

 現代の中国人社員達にとって苦手なのかもしれない、コツコツと努力を積み重ねること。これこそが勝利を掴む基本であると言えます。企業として、品質のより良い商品を準備し、ユーザーオリエンテッドの企業体質をもって、エンドユーザーである消費者の選択を得る努力を続けるという、その基本的なところの違いが勝利を決定づけるのだと確信します。少々時間は必要ですが。

 どのような時代にあってもその基本は変わらないことに、組織のリーダーたる者は着眼すべきでありましょう。「自分の会社の欠点や改善すべきことに気づき、反省すべきです。そうするには、絶えざる研究と努力が必要である」とは先達の言葉です。心に刻みたいと思います。

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