下手な冗談で周りが凍り付いた 【救経引足】 どうする?
歴史がとても長い中国。古くからの独特な習慣。日本とは異なる様々な基準や肌感覚の違い。これらを理解しマスターするとしないでは…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
経(くび)れるを救わんとし足を引く(救経引足:きゅうけいいんそく)
- 中国語:救经引足 [ jiù jīng yǐn zú ]
- 出典:荀子(仲尼)
- 意味:「経」は首つり自殺をしようとしている人のこと。首つり自殺をしようとしている人を救おうとして、足をつかんで下に引いてしまう。動機と結果が一致せず、目的を果たせないことの例え。
地に因りて宜しく制すべし(因地制宜)
- 中国語:因地制宜 [ yīn dì zhì yí ]
- 出典:漢・赵晔(吴越春秋·阖闾内传)
- 意味:その土地の事情に合わせて適当で相応しい方法を取ること。
耳で聽くは虚、目で見るは実なり
- 中国語:耳听为虚,眼见为实 [ ěr tīng wéi xū,yǎn jiàn wéi shí ]
- 出典:说苑(政理)
- 意味:耳で聞いたことは当てにならない、目で見たものこそ真実である、との意。
躬(み)を鞠(かが)め気を屏(と)ず [鞠躬屏気]
- 中国語:鞠躬屏气 [ jū gōng bǐng qì ]
- 出典:論語(乡党)
- 意味:身をかがめ畏まり、息を殺すこと。お辞儀をする。
※面白中国語等
拱手
- 中国語:拱手 [ gǒng shǒu ]
- 意味:古代中国の漢族が対面した時の礼儀作法。相手に対する誠実さや尊敬の念を示す儀礼です。右手を握り拳にし、左手で拳を包みこむポーズ。右手は武器を持ったり殴るなど相手に対して攻撃をするときに用いられる手であるため、これを左手で封じ込めることで、相手に対して攻撃の意図がなく、むしろ相手を尊重してますよという意を伝えるためにこの形になった、との説が一般的なようです。また、女性の場合の「拱手」や、よく似た「抱拳」などがあります。
男左女右
- 中国語:男左女右 [ nán zuǒ nǚ yòu ]
- 意味:男性が左側、女性が右側という中国古代の風習、しきたりのひとつ。主にお墓の位置や正式な行事の際に反映されていました。しかし、現代中国社会では必ずしもそうはなっていないようです。例えば、結婚指輪の着装は、男女ともに「左手薬指」が主流のようです。
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外れたうけ狙い
社内会議の席で、場を和ませてやろうと、中国語でユーモアを込めたつもりで話したところ、見事にスベってしまった。ウケを狙いにいったのだが、まったくうけずその場が凍り付いた。これこそ「救経引足」。
考えてみれば、東京と大阪でも笑いが違うのに、ましてや、そこは中国。さもありなんと、反省すること、しきりとなった次第。
それにしても、ばつの悪い思いを感じつつ、その場を取りなすフォローまで自分でやるのはそれはそれで辛いものだ。
お辞儀
現代中国で、人と会った際の挨拶は「握手」が一般的。相手の目を見ながら手を差し出し、相手の手を握るのがマナー。
一方、日本人の挨拶時の習慣は「お辞儀」。相手に向かって腰を折り曲げ、挨拶や感謝、敬意などを表す所作です。日本人はこの習慣が染みついているためか、手を握りながら頭を下げてお辞儀をしてしまうことも多いようです。
それを近くで見ていると滑稽に見えるのか、ある中国人から、握手するときに頭を下げないようにとアドバイスをもらったことがありました。
では中国には「お辞儀」は無いのかというとそんなことはありません。「躬を鞠め気を屏ず」との諺もあるくらいなのですから。
例えば結婚式の披露宴で、司会者のリードに合わせて、新郎新婦が、まず両親に感謝のお辞儀、次に参列者に出席御礼のお辞儀、そしてお互いに向かい合って相手を尊敬するお辞儀をするという場面を何度か見ました。
独特の所作
ついでながら、中国独特の挨拶の所作に「拱手」があります。右手で拳に握り左手で包んでそれをやや振り、感謝の意を表している姿です。感謝や頼むぞと言ったことを表します。
日常的によく見かける「拱手」ですが、これを自然にできるようになれば中国通といったところでしょうか。
左右の習慣
ところで、中国には古来「男左女右」といわれるしきたりがあります。たとえば公共トイレでは男性用が左側、女性用は右側となっていたのが元々の習慣。また、結婚指輪は新郎は左手、新婦は右手のそれぞれ薬指。結婚写真も同様。その他、正式な儀式などに夫婦で出席する場合は男性が左、女性は右というのが中国での習慣であったそうです。
ただ、現代ではトイレの位置や結婚指輪の装着など、左右の位置習慣は変化しているようです。
どうする
事程左様に、その国や地方には習慣やしきたりがあり、しかも時代時代で変化しています。そんなわけで、それに従うのが美味い生き方というもの。「地に因りて宜しく制すべし」、中国にあってはこういった事々を理解し、マスターするのも事業成功への一助となるはずです。
そして、「耳で聽くは虚、目で見るは実なり」を心に刻みたい。
何事によらず、聞いた話を鵜呑みにはせず、実際に中に飛び込んでこそ真実が見えるというものです。
さらには、日本の習慣を無条件に是とするのではなく、実際に中国で首までどっぷりと浸かって悠久の歴史を感じ、そこから中国での習慣を理解すべきでありましょう。
中国という土俵に上がる上は中国基準でないと話になりません。
自分で飛ばした冗談を「今のは冗談です」と、自分でフォローするのもばつの悪いことです。しかし、それを恐れず、冗談が言い合える関係を築きたいものです。