【安土重遷】 それぞれの飽くなきお国自慢 アカシアの大連では

初夏の大連・労働公園(2,017年5月)

 

上海旅行から帰ってきた、ある根っからの大連人。どことなくご機嫌斜め。その訳を聞くと…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

花香鳥語(かこうちょうご)

  • 中国語:花香鸟语   [ huā xiāng niǎo yǔ ]
  • 出典:李汝珍(镜花缘)
  • 意味:華が香り、鳥がさえずる。うららかな春景色のさま。「鳥語」は、鳥のさえずりは、あたかもスピーチのようだ、との意。

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長鞭馬腹に及ばず

  • 中国語:长鞭不及马腹   [ zhǎng biān bùjí mǎ fù ]
  • 出典:左傳(宣公十五年)
  • 意味:鞭が長すぎると馬の腹に当たらないとの意。大きすぎたり、長すぎたりすると逆に役に立たないということの例え。

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土に安んじて遷(せん)を重(はばか)る [安土重遷(あんどじゅうせん)]

  • 中国語:安土重迁   [ ān tǔ zhòng qiān ]
  • 出典:漢書(元帝纪)
  • 意味:住みなれた土地からよそへ引っ越したくない、との意。故郷は離れ難い。「安土」は故郷に満足すること。

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天は長く地は久し(天長地久)

  • 中国語:天长地久   [ tiān cháng dì jiǔ ]
  • 出典:老子
  • 意味:天地は永遠なる存在である。時間は悠久であることの例え。愛情が永久に変わらないことの例え。

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自ら吹き自ら擂つ(自吹自擂)

  • 中国語:自吹自擂   [ zì chuī zì léi ]
  • 出典:茅盾(联系实际,学习鲁迅)
  • 意味:吹聴することの例え。自らラッパを吹き太鼓をたたく。自画自賛する。自己宣伝に努めること。

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大きなものがよい?

 以前の上海では虹橋空港が中心空港。市街地に近く便利だったのですが、建物は古く、何より規模が小さく国際空港としては見劣りのする玄関口でした。その後、1999年に開港したのが上海浦東国際空港。当時、成田空港の4倍の規模にも及ぶ巨大さに驚いたものです。

 件の彼は上海旅行の際に、開港数年後の浦東空港を利用したそうな。そして、中国を代表する空港だと自慢するのかと思いきや、「浦東空港はとても不便だ」との意外な感想。

 その心は、規模がデカすぎて迷子になりそうだった、「長鞭馬腹に及ばず」だ、と。

 「そんな、新鋭空港よりもこぢんまりとした大連空港の方がよっぽどいい」と、彼は胸を張っていました。我が街が一番と自慢するのです。

 

故郷を思う気持

 どこの国であっても、人は自分の出身地を愛する気持ちが強くあるのが常。中国でも、俺は上海人だ、大連人だ、などと「自吹自擂」はなかなかのもの。

 まあ、これだけ広い国ですから一口に中国人と言っても、実際には多くの民族で構成されていますから、自分のアイデンティティを示し主張するためにもそういう風になるのかもしれません。

 さまざまな思いを背負い故郷を離れて生活している人達にとっては、家族が揃う春節や中秋節が重んじられるのも理解できます。

 高鉄(gāo tiě)と呼ばれる新幹線網や飛行機などの利用が普及し、以前のように何十時間もかけて汽車で帰省する苦労はやわらいできていますが、故郷を思う気持ちは昔も今も何も変わってはいないのだろうと思います。

 

うっとりさせてくれる

 海洋性の特徴である暖温帯大陸性モンスーン気候を備える大連は、冬は厳寒ではなく、夏は酷暑でもなく、四季が比較的はっきりしています。そして、大連の街はいつも花が心を和ませてくれるのです。

 

大連市中のアカシア(2019年5月)

 大連で花と言えば何と言ってもアカシア。中国では「槐花」。花言葉は「慕情」、「親睦」、「優雅」等だそうです。

 長い冬が終り、初夏を感じる5月後半のころ、アカシアの樹に清楚な白い花が咲き誇ります。そんな樹下に佇むと「花香鳥語」、ほのかな香りを感じます。(囀る鳥は見かけませんでした。まさか食べたのではないでしょうが…)

 この季節、日本料理店ではアカシアの花をあしらった料理が出されることも。また、アカシアの花には食用や止血などの薬用の効能もあるそうです。名産のアカシア蜂蜜は大連在住の間、欠かすことはありませんでした。

ふじ棚

大連・労働公園の見事なふじ棚(2019年5月)

 大連市街地、市内随一の商業街に隣接して労働公園と命名されたとても立派な公園があります。早朝から太極拳やダンスなどを楽しむ市民の憩いの場となっています。1899年、帝政ロシア時代に竣工し、120年を越える歴史が刻まれた公園です。面積が東京ドーム20個分と、とにかくデカい。園内には、人をしてうっとりさせる見事なふじ棚があります。

 紫色の藤の花言葉は「君の愛に酔う」だそうで、若いカップルが仲良く自撮りしていました。「天長地久」、愛が変わらないことを祈ることにしましょう。

 

大好きなこの街

 この広い中国、出張や旅行で訪れたことがあるのはわずか10都市程度。それでも、大連人が大連を自慢する気持はとてもよくわかります。そりゃあこんな素晴らしい大連の街で住み慣れたら、「土に安んじて遷を重る」という気持になるのも無理はありません。

 尤もそういう気持ちは、大連でなくったっても同じで、誰しも自分の故郷や住み慣れた土地は離れたくないもの。我が街、我が故郷自慢をしたくなるのももちろん理解できます。中国人はちょっとその気が濃いだけかも…

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