時には【敷衍了事】で 中国では力まずに成り行き任せが良い場合も

大連空港ターミナルビル(2015年9月)

 

中国では、生活や仕事での出張などの中で、様々なアクシデントに遭遇することがあり、その対応に苦慮することがあります。そんな時、どうするか…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

歓天喜地

  • 中国語:欢天喜地   [ huān tiān xǐ dì ]
  • 出典:西厢记(元代の戯曲)
  • 意味:天が歓び地は喜ぶ。喜びにあふれること。

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其の自然に順う(順其自然)

  • 中国語:顺其自然   [ shùn qí zì rán ]
  • 出典:灵城精义
  • 意味:事態の成り行きに任せること。なるようになる、との意。

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敷衍了事(ふえんりょうじ)

  • 中国語:敷衍了事   [ fū yǎn liǎo shì ]
  • 出典:清·李宝嘉(官场现形记)
  • 意味:いい加減に事を済ませる。おざなりに事を済ませること。その場しのぎ。

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自ら煩悩を尋ぬ

  • 中国語:自寻烦恼   [ zì xún fán nǎo ]
  • 出典:紅楼夢
  • 意味:自ら煩わしい面倒を探すこと。薮蛇。

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落落大方

  • 中国語:落落大方    [ luò luò dà fāng ]
  • 出典:郭沫若(蔡文姬)
  • 意味:おおらかでゆったりしてる様子。鷹揚でさっぱりしていること。

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記事:時には【敷衍了事】で 中国では力まずに成り行き任せが良い場合も

天井から水ポタ

 上海から北京に向かう飛行機。出発準備が整い離陸を待っているその機内で、天井から水がぽたりぽたりと落ちているではないですか。大丈夫か、この飛行機。

 その席の乗客がCAに指摘したところ、CAはやおら滴っている天井の隙間におしぼりを詰めて立ち去りました。残念ながらこの対策は「敷衍了事」、その場しのぎ以外の何物でもありません。

 案の定、しばらくすると同じ場所から再び水漏れが。その乗客はCAを呼び怒り出すのかと思いきや、今度は黙って立ち上がり、自分でそのおしぼりを抜き取り、その場で絞ったのです。ジャーとばかり床に水が落ちたのは言うまでもありません。そして絞ったおしぼりを再び隙間に詰めていました。

 メカニックが機内の点検を行うわけでもなく、ほどなく、何事も無かったようにそのまま離陸して北京に向かいました。

 これは、1998年、上海には虹橋空港という小さな空港だけ、北京国際空港はターミナルがひとつの時代の話です。今では見違えるほどに発展を遂げています。

 

突然の行き先変更

 ある年の12月、出張先の上海から大連への帰途、大連空港が積雪のために閉鎖され、大連行きの搭乗予定便が上海浦東空港を出発する目途が立たないとのこと。さあ、困ったことに。

 思いついたのが瀋陽行の便に変更すること。カウンターに立ち寄りたどたどしい中国語で交渉の末、苦労して瀋陽行に変更してもらい、定刻に飛び立ちました。まず瀋陽へ行き、翌日の列車で大連へ帰るという目論みです。

 順調に飛行を続け、瀋陽の上空に差し掛かり街の灯りもちらちら見えてきました。着陸に向けて下降を始めたところで、突然の機長からアナウンスが。「瀋陽空港が積雪で、たった今、閉鎖された。これから天津に向かう」とのこと。

 えぇ~! せっかく、苦労して便を変更したのに、何ということか。

 空の上のことには逆らえません。夜10時ごろ天津空港に着陸、航空会社が宿舎を準備するのでロビーで待つようにとのことでした。売店もすでに閉店していて水すら飲めず、えらいところに来てしまったものです。

 おそらく一夜を航空会社手配のホテルで、見知らぬ人と相部屋で過ごし、翌日、その飛行機で大連へ向かうことになるのだろうと予測。

 見知らぬ土地で一人ぼっち、その不安を回避するために、再び航空会社と交渉しそこから離脱し自力で大連に戻ることを選択しました。少し手間取りましたが預けた荷物を受取り、晴れて自由になりました。

 そして、自力でホテルに一泊。翌日、車で天津駅へ行き、今度は列車で北京へ。更に北京駅から車で北京空港へ移動。その後大連行の便に搭乗し、やっとの思いで戻ることができました。

 中国の「自尋煩悩」ということわざ。上海で無理をして便を変更し、天津で再び帰路の方法を変更、結果的には余計なことをして自ら面倒なことをしでかした。

 

連続旋回飛行

 ある年の春節休暇を日本で過ごし、いよいよ明日から新しい気持ちで仕事に頑張るぞと、関西空港から大連に向けて飛び立ちました。

 順調に飛行したのですが、あろうことか大連が大雪のため空港が閉鎖中とのこと。大連上空で一時間以上にわたって旋回。結局、閉鎖が解除される見通しが立たないとのことで、関西空港に引き返すことに。

 一旦帰宅し、翌日の同時刻に再び大連に向けて出発。しかし、大連上空でまたもや空港閉鎖中のため旋回を開始。ふわふわとした感じの飛行でお尻の座りの悪さったらありません。しかも、そんなことが二日連続で…

 ひとしきり旋回した後、今度は燃料補給のため瀋陽に向かうとのこと。アナウンスでは瀋陽で燃料補給後、関西空港に戻るとのことでした。

 機内は大きなため息に包まれました。その後、瀋陽空港に着陸し燃料を補給、その間、機内で待機。

 二日間にわたって同じ乗客、同じクルー。そのことが困難を共有している意識が芽生えたのか、妙な和みを感じていました。

 給油が終わり関西空港に向かって離陸、しばらくした時に機長からアナウンスで、念のために大連上空を通過して関西空港に戻るとのこと。

 その後、機長から「大連空港の閉鎖が解除されたので、関西空港には戻らず大連空港へ着陸する」とのこと。乗客からは「歓天喜地」の大拍手。

 延べ二日間の難行苦行の末についに大連へ降り立つことができました。

 

力まずに

 広大な国土を持つ中国にあって、国内出張はほとんどが航空機を利用することになります。ということは、突然の欠航、便の取消しなどいろいろなアクシデントに遭遇することが間々あります。

 そんな時には「順其自然」とのことわざにもあるように、成り行きに任せることも必要なのです。

 余計なことをしたり無理は禁物、碌なことがありませんでした。そんな時こそ「落落大方」と鷹揚に対応するのが結果としては良いようです。

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