交際してためになる【益者三友】と利他が肝心 自分優先では行き詰まる

大連・中山広場(2016年10月)

 

中国で仕事をしていると、困ったときに相談できる人がいることほど、心強く思うことはありません。中でも、現地状況やビジネスにも精通している中国人の友人の存在は、他に代えることはできません。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

益者三友(えきしゃさんゆう)

  • 中国語:益者三友   [ yì zhě sān yǒu ]
  • 出典:論語
  • 原文:益者三友、损者三友
  • 意味:有益な友には三種類ある。正直な人、誠実な人、見聞の広い人の三種類。(有害な友も三種類。その場限りのことを言う人、誠実さがない愛想だけの人、口のうまい人、だとあります)

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己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す

  • 中国語:己欲立而立人,己欲达而达人   [ jǐ yù lì ér lì rén, jǐ yù dá ér dá rén ]
  • 出典:論語
  • 意味:自分がしっかりと立ちたいのであれば、人にまず立たせる、自分が出世したいのであれば、人をまず先に出世させることである。(孔子の弟子の子貢が「仁」について質問した際の孔子の答え)

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志同道合

  • 中国語:志同道合   [ zhì tóng dào hé ]
  • 出典:三国志
  • 意味:志と信念を同じくするとの意。転じて意気投合することの意。

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推心置腹

  • 中国語:推心置腹   [ tuī xīn zhì fù ]
  • 出典:後漢書(光武帝纪)
  • 意味:自分の真心を人の腹に入れる、つまり誠意をもって人と接すること。胸襟を開く、気が置けないなどの意。
  • 故事:中国・西漢の末期、劉秀の軍と戦い降参した敵軍のリーダーたちは、敗軍であるがゆえに殺害されはしないかと不安と疑心の日々を過ごしていた。劉秀も彼らの内心の不安を察し、彼らの軍営を僅かな兵だけを伴って巡察した。敗軍の将たちは自分たちを全く警戒しない上、信用してくれた劉秀に対して「自らの誠心を他人の腹に置いてくれている以上、わが身を顧みずに尽力するほかならぬ」と思い、全員が安心して劉秀に服従するようになった。後世これが「推心置腹」と言い伝えられるようになった。なお、劉秀は後漢時代の混乱を統一し漢の王朝を再興、後漢王朝を建て漢光武帝になった。

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記事:交際してためになる【益者三友】と利他が肝心 自分優先では行き詰まる

困りごと発生

 人と接する時には、「推心置腹」、胸襟を開き誠意をもって当たることが基本。特に、ここぞという場面ではなお更。

 実は、2005年当時の大連では、急速な経済発展と会社業績の拡大が相俟って、リーダークラスの人材不足が顕著になってきました。中間幹部候補社員に対するリーダーシップやマネジメント面の教育は現地会社では手に負えず、日本本社にも期待できません。

 ならば、ということで外部講師に依頼することに。以前から親交がある、現地の人材教育会社の総経理に早速相談しました。

 やる限りは中身の濃い社内研修にと思いますが、問題は、社員教育のスペシャリストだとはいえ、弊社の業務内容については門外漢も同然。

 そこで、会社発展の阻害要因、ビジョン等々について、胸襟を開き話し合う機会を持ったのです。

 

意気投合

 その結果、人材教育会社の総経理は最大の理解を示してくれ、自らが研修の講師として臨んいただくことになりました。

 事前の話し込みによって「志同道合」、その後、約三年間に八回にわたってマネジメント、リーダーシップ、人間力などをテーマにして選抜された社員に対して社内研修を、すべて思いどおりの内容で実施することができました。もちろん以後のリーダーとしての人材育成に大きく寄与したことは言うまでもありません。そして、会社発展を支えてくれる事となったのです。

 

利他の精神

 研修が終了後、その人材教育会社の総経理と時間のたつのも忘れて会社経営や人の育成などについて議論をしたことがあります。

 自分の会社の発展、自身の利益などを優先して考えるといずれ行き詰まる。まず人のことを考えるべきである。そうすれば結果的に自分も一緒に成長し利益を得ることができる。

 そういう結論に達しました。

 論語には「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す」と。○○ファーストといった考え方が目立つ昨今ですが、実は永遠の発展の原理は「自分よりも人」という考え方にあると深く思いました。

 

日々精進すべき

 真摯な議論を重ねたその総経理をはじめ、中国において多くの友に恵まれました。このことは大変喜ばしく掛け替えのない生涯の宝になりました。

 孔子が残した「益者三友」との言葉。どうせなら付き合ってためになる友人を持ちたいものです。それとは反対に「損者三友」というのもありますが、こちらは避けるのが得策。

 ひとつの会社を経営する総経理は、本社から派遣されたサラリーマン社長であれ、自分がオーナーであれ、その会社が発展するか否かは総経理の人間性にかかっていると確信します。人から「益者三友」と言われるように日々精進するのが真の総経理です!

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