【騎虎之勢】ぬるま湯体質からの脱却 覚悟から成功は始まる

大連・中山広場(2016年10月)

 

膨大な中国マーケットを眼前にして、「さあ、一丁やるか!」と意気込む総経理(社長)。他方、只々帰国命令を待ち、ぬるま湯に浸かっているだけの人も少なくない。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

騎虎の勢い

  • 中国語:骑虎之势   [ qí hǔ zhī shì ]
  • 原文:骑虎之势、必不得下(騎虎の勢い、必ず下るを得ず)
  • 出典:隋書
  • 意味:虎の背中に乗って走り出すと、勢いが激しくて降りられない。たとえ降りても虎に食べられてしまう。一旦やり始めたら途中でやめることはできないことの例え。止めるにやめられない激しい勢いのこと。

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現状に安んず(安於現状)

  • 中国語:安于现状   [ ān yú xiàn zhuàng ]
  • 出典:論党
  • 意味:状況に慣れ、変えたくないこと。現状に満足すること。

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鼠目寸光(そもくすんこう)

  • 中国語:鼠目寸光   [ shǔ mù cùn guāng ]
  • 出典:临川梦·隐奸
  • 意味:鼠の目は只の一寸先しか見えない。見識が極めて狭いことの例え。

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知恵有りと雖も、勢いに乗ずるに如かず

  • 中国語:虽有智慧不如乘势  [ suī yǒu zhì huì bù rú chéng shì ]
  • 出典:孟子
  • 意味:どのような知恵を持っていても、勢いに乗じた相手にはかなわない。戦いに勝つには頭を使うことはもちろんであるが、それ以上に重視すべきは勢いである。

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記事:【騎虎之勢】ぬるま湯体質からの脱却 覚悟から成功は始まる

出世大事

 本社から命を受け、中国現地会社の責任者である総経理(社長)として乗り込んで、「さあ、一丁やるか!」と意気込んだ。と、そんな人ばかりでは無いようです。

 実は赴任時から、いずれ下るであろう帰任命令を待っておけばよいと考える人が結構いるようです。

 そういった人達は、「現状に安んず」とばかりに、会社を動かそうと新しい施策を打つわけでもなく、当然のようにリスクを取ろうともせず、只々、自分の出世だけを思い描いている。

 中国市場を開拓する仕事の場合、担当エリヤがたとえローカル都市であっても普通に仕事をしていればそれなりの業績は得られます。何しろ、人口5百万、6百万をかかえる大都市は、中国にはごろごろしています。そこは日本では見たことのない膨大な中国のマーケットなのですから。

 

温くてよいのか

 現状維持で良しとするのであれば、会社業績についてそれほど心配しなくてもよいのですが、それでは広大なサッカー場の片隅で温泉ピンポンをするようなもの。寂しさだけの総経理で良いものか。

 期待されて赴任したにも拘らず、「鼠目寸光」、極めて見識が狭いとの謗りは免れないでありましょう。

 眼前に広がる巨大マーケットを目にしたとき、胸が騒ぎ武者震いを起こすビジネスマンだっているのです。男一匹、また一人の人間として、ノーリスク、現状維持という温いことで満足することなどできようがないはずです。そう信じたい。

 

どうせやるなら

 実は、総経理(社長)がそこそこの成績に満足してしまうと、周囲の幹部や一般社員達の心の中にも「そこそこ」で良しとする風潮が出てしまいます。

 結果として会社組織全体に停滞感が漂うことになり、前を走るコンペティターの背中がいつになっても近づいては来ない。これでは巨大マーケットや強権力を背景に持つ巨竜競合会社に勝てるわけはありません。

 ビジネスを手掛ける一人としてどうせやるなら、中国の巨竜に挑み、そして勝つような胸のすく戦いを仕掛けてみたいものです。

 戦いに勝つには頭を使うことはもちろんであるが、それ以上に重視すべきは勢いである。孟子は「知恵ありと雖も、勢いに乗ずるに如かず」と。戦いに当たっては勢いこそが重要であるとの格言です。

 会社組織内に、競争に打ち勝つ勢いをつけることが肝要であると言えますが、そのためには「現状維持」という安逸な姿勢から脱却しなければなりません。

 自分の会社では具体的にどのようにすれば勢いがつくのか、これは総経理が考えるべき問題です。例えば、とにかく販売量を増やすことを最優先に考える。内容はさておき、販売数が増えると、社内が活気づいて社員は喜び元気が出てきます。これが好循環に入るトリガーとなるのではないでしょうか。

 

走り出せば

 勢いの浪を起こすために、先ずは総経理(社長)自身が、現状維持に満足するという考えから脱却する、そこから成功は始まるのです。組織のリーダーとして部下社員や日本本社に対して依存心を無くし、腹をくくらなければなりません。

 実は現地に赴任した時から、総経理は虎の背中に騎って走り出しているのです。もし途中で降りると、たちまち虎に食われてしまうというではないですか。「騎虎之勢」とのことわざのとおり、途中でやめることができないのです。であるのなら、ケチなことは考えず走りきることが最善の策です。

 ぬるま湯につかり、帰国命令を待つなどという安逸な自分の心に挑戦し、妥協せず覚悟を決めて、事に当たるべきなのです。

 相手に勝つことを考える前にまず自分に勝つこと。そうすると巨龍の背中に手が届く時が来る。巨大マーケットの中で、巨竜に挑むのが中国ビジネスの醍醐味。そして勝ちが見えてきたときには武者震いするのです!

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