降りかかる突然の禍 【遠水近火】火急の時に頼りになるのは誰

のんびりパンダ(成都2011年4月)

 

「遠水近火」とは、遠くにある水では近くの火事を消すには間に合わない、つまり、火急の時には遠方の知人に助けを求めても間に合わないとの意。中国にあって、困ったときに助けてくれる友を普段から作っておくことが大事。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

遠水は近火を救わず

  • 中国語:远水不救近火   [ yuǎn shuǐ bù jiù jìn huǒ ]
  • 出典:韓非子
  • 意味:遠くにある水では近くの火事を消すには間に合わない。火急の時には遠方の知人に助けを求めても間に合わないとの意。「遠くの親戚より近くの他人」と同義。

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飛来横禍

  • 中国語:飞来横祸   [ fēi lái hèng huò ]
  • 出典:後漢書(周荣传)
  • 意味:「横禍」は思わぬ災難のこと。突然降りかかった思ってもみなかった災難。

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不可名状

  • 中国語:不可名状   [ bù kě míng zhuàng ]
  • 出典:老子
  • 意味:言葉では表現出来ないことの形容。名状しがたいこと。

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已むべからざるに於いて已むる者は已まざる所なし

  • 中国語:於不可已而已者、無所不已   [ yú bù kě yǐ ér yǐ zhě, wú suǒ bù yǐ ]
  • 出典:孟子
  • 意味:やめてはならない所でやめてしまっては、何をやっても中途半端にしかならない。「已むべからざる所」とは、ここで踏ん張らなければ、せっかく今まで築いてきたものを、失ってしまうといった時のことです。

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記事:降りかかる突然の禍 【遠水近火】火急の時に頼りになるのは誰

人世初

 大連に赴任し4年を経過したころのある日。突然、胸のあたりに強烈な違和感に襲われ、ただ事ではない事態に病院へ急行。そして、問答無用で緊急入院。

 病院で聞かされた病名は冠心病(日本では狭心症)。

 血液凝固を防止する注射をお腹に打たれ、ベッドサイドには脈拍や血圧などが波形とともに表示される機械が置かれ、何本ものケーブルが体とつながれています。テレビでしか見たことのない光景が、すぐそこにあるのですから不安が掻き立てられます。

 医師の話しでは、カテーテルを入れて、狭窄を起こしている冠動脈を拡張する手術が必要とのこと。

 それまで一度も大きな病気はしたこともなかったのだが、よりによって中国で人世初の入院とは! 頭の中は真っ白… 「不可名状」、言葉では言いようの無い不安に苛まれ、眠れない入院第一夜を過ごしました。

 

慣れない中国入院事情

 入院手術が不可避ならばせめて日本でと思い、翌日、日本のかかりつけの医師に電話。医師からは、中国の病院とはいえ、飛行機に乗るよりリスクは低い、との予想に反するアドバイス。やむなく、腹をくくりそのまま入院、手術をすることにしました。

 早速、始まった点滴の滴りを見上げつつ、「飛来横禍」、えらいことになったと嘆息しきり。

 しかし、それからがたいへん。入院手続きや検査、診察その他の「中国流」がいくつもあります。患者とその付添いや家族なども一緒に来るからかもしれませんが、中国の病院はいつも多くの人でごった返しています。

 通院の際にも、受付から始まり検査や診察のどこも行列で、おとなしく待っていたのでは自分の順番はいつになるかわかりません。それに、先にお金を払うのが原則ですから、病院内のあっちへ行ったりこっちへ行ったりと、もう大変です。

 さらに外国人の場合は言葉も大きな問題です。そんなことで単独で病院へ行くのはなかなかしんどいことなのです。

 

病気のおかげ

 「人は病気を患うことによって人生の意味を見つめ、生命の尊厳に目覚め、そして充実した人生を歩むきっかけにしていくことができる」といいます。

 また、孟子は「已むべからざるに於いて已むる者は已まざる所なし」と言っています。人生の中の一つの正念場ともいえるこの出来事。ここを突破すると大きな自信につながり、一回り大きく成長でき、大きく展望が開けるはずです。

 もしそこで踏ん張れずに挫折したら、一生それを引きずって生きていかねばならなくなります。そこで人生の明暗が分かれるとその格言は教えています。

 小さなインシデントもありましたが、結局、手術は成功し、二十日余りで入院生活は終わりました。この病気入院によって、その後の仕事に対する考え方や、生き方が大きく変わりました。

 そして、入院したことが、大連での事業が一瀉千里の大発展につながっていくことになったのです。入院・手術という大きな出来事は決して無駄ではありませんでした。

 

頼れるのは

 このような緊急事態を乗り越えることができたのは、入院先の医療関係者の努力は勿論、中国人の友の協力があったればこそと、感謝の思いを禁じ得ません。

 命がかかった事態に際し頼りになるのは、「遠水は近火を救わず」とあるように、近くの協力者の存在です。

 仕事上の中国側パートナーが、病院側との諸々の調整をしてくれました。そのパートナーとは、大連に赴任して以来、毎日のようにコミュニケーションをとり、連携を深めてきたことで、気心が知れるようになっていたのです。

 中国の病院では日本のような完全看護ではありませんので、身の回りの面倒を見てくれる人が必要になります。単身赴任でしたので、日本から妻に来てもらおうと思いはしましたが、勝手がわからないのだから現実的ではありません。

 こまごまと世話をしてくれた中国の友人等々に大きな負担をかけてしまいました。

 いざというこの時に、駆けつけサポートしていただいた、多くの中国人の方々の協力と支えがあって私の命がつながったと大感謝です。

 中国のことについては勝手がわかっているのは中国人であり、そこで生活する外国人にとっては普段から彼らとの付き合いは大切にしなければならないということです。

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