【善く游ぐ者は溺れ善く騎る者は堕つ】この罠にはまらないために卑譲の心を

瀋陽市の故宮の一角(2008年6月)

 

「善く游ぐ者は溺れ善く騎る者は堕つ」とは、自信があると、反って油断し思わぬ失敗をすることがある。よって、自信過剰になってはならない、との戒めの言葉。そのために、リーダーはどうすれば…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

趨炎附勢(すうえんふせい)

  • 中国語:趋炎附势   [ qū yán fù shì ]
  • 出典:晋書(王沈传)
  • 意味:権勢に迎合する、権力のある人に取り入ること。

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盛気凌人

  • 中国語:盛气凌人   [ shèng qì líng rén ]
  • 出典:清・曾国藩(求阙斋语)
  • 意味:威張り散らすこと。威張って人を抑えつける。

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卑譲は徳の基なり

  • 中国語:卑让德之基也   [ bēi ràng dé zhī jī yě ]
  • 出典:左傳
  • 意味:「卑」は自分を低いところにいて相手を立てること。「譲」はゆずること。卑譲はりっぱな人格を作る基本であるとの意。謙遜して人に譲ることは、徳の基本となることである。

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善く游ぐ者は溺れ善く騎る者は堕つ

  • 中国語:善游者溺,善骑者堕   [ shàn yóu zhě nì, shàn qí zhě duò ]
  • 出典:淮南子•原道训
  • 意味:水泳に長じている者は溺れ、乗馬に長けた者は落馬する。自信があると、反って油断し思わぬ失敗をする。自信過剰になってはならないとの戒め。

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記事:【善く游ぐ者は溺れ善く騎る者は堕つ】この罠にはまらないために卑譲の心を

上から目線の物言い

 「こんなことも知らないのか!」「こんなこともできないのか!」と現地の社員に向かって、声高に言い放つ新進の日本人総経理(社長)。

 日本本社の大きな期待を背に、現地に洋洋として乗り込んだのだが、自分が思い描いていたものと違う眼前の状況に、思わず「盛気凌人」の体となった。実は、現地社員からは、威張り散らしているとしか見えないのに。

 自分にできることは他の人もできるはずだ、という思いが背景にあってか、上からの目線での物言いは、どれだけ現地の一般社員の心を傷つけた事か。

 挙句の果てに、うまく事が運ばない責任を部下のせいにするようでは、周囲の理解や部下からの支持が得られようはずがありません。

 

罠にはまらない

 日本では、社内の誰もが認める実績を上げ、そして選ばれて中国現地に送り込まれた。プレーヤーとしては一流の人や高い能力を持つ人が、間々犯しがちな誤りが潜んでいた。

 いわば「善く游ぐ者は溺れ善く騎る者は堕つ」。自信があると、反って油断し思わぬ失敗をやらかすのだ。

 彼は優秀な社員ではあったが、残念なことに、部下社員や顧客と相対する現場でのマネジメント経験が全くと言ってもいいほど無かった。つまり優秀なプレーヤーが、突然、中国現地会社の総経理という高級管理職に就いたということです。

 日本とは大きく異なる中国というビジネス環境の中で、マネジメント未経験者が、いきなり会社業績を伸ばせるほど甘くはないのです。日本でマネジメント経験がないと、中国赴任後の大きなハンディになり得るということです。

 彼は本社の期待に応えようと、頑張れば頑張るほど深みにはまってしまい、失敗のシナリオのとおりに彼は破綻に向かって歩みを運んでいるといえます。

 

イエスマンには

 もうひとつ大事なことは、総経理は「趨炎附勢」の人からの攻勢に負けてはならないということです。

 総経理は自分を取り巻く経営幹部を、自分好みのイエスマンばかりを集めたくなるのですが、そのことの危うさを知らねばなりません。

 会社を一段大きくしたいのであれば、経営スタッフの中に総経理に対して、敢えて「物言う幹部」を是非加えるべきであると強く思います。

 時には総経理にも反対意見を出し議論をすることもいいではないですか。日本人には気がつかない現地のことも少なくないからです。

 物言う幹部は、実は総経理の右腕足り得る存在であり、名脇役として極めて重要な働きをしてくれるはずです。総経理は意識して、そんなバイプレーヤーを見出し、育成しなければなりません。そのことが事業拡大の鍵を握っているといっても過言ではありません。

 「イエス」しか答えようとしない幹部では、よりよい戦略の組み立てや会社の運営には心許ない限りです。

 

リーダーは

 現地社員にとって総経理は雲の上の人。だからこそ、中国の現地会社の総経理が現地の社員と目線の高さを揃えてマネジメントすることが、奏功への第一歩です。

 そのためには、リーダーは謙虚さを身に着けることが必要です。

 卑譲は徳の基なり」と、相手を尊重し自分は一歩譲るという「卑譲」の姿勢、態度が求められます。経営トップの総経理に限らず、人の上に立つリーダーは、考え方、仕事における基本姿勢は謙虚であるべきです。上から目線では部下社員は喜んでは動かない。ふんぞり返るような態度では成功しない。

 そして、優秀な人が陥りがちな罠から遠ざけてくれるのが、物言う幹部の存在です。彼は総経理に緊張感を与え、きっともう一段高みに押し上げてくれるに違いがありません。

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