【開門見山】は単刀直入 意思や考えを伝えるには曖昧では…

ライトアップされた大連・中山広場歴史建造物(2018年5月)

 

「開門見山」とは、回りくどくないことの例えで、単刀直入に話すこと。日本人同士なら曖昧な表現であっても大体の一致はできるのでしょうが、中国では残念ながらほぼ無理。むしろ、日本人はいつもはっきりとものを言わないと不興を買ってしまう。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

可否を置かず(不置可否)

  • 中国語:不置可否   [ bù zhì kě fǒu ]
  • 出典:李宝嘉(官场现形记)
  • 意味:いいとも悪いとも明言せず、態度がはっきりしないこと。

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開門見山

  • 中国語:开门见山   [ kāi mén jiàn shān ]
  • 出典:刘得仁(青龙寺僧院)
  • 意味:門を開けたらすぐに山が見えること。話や文章が前置き無しにすぐに本題に入ること、回りくどくないことの例え。単刀直入に話す。

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禍に因りて福を為す、成敗の転ずるは、譬えば糾(あざな)える纆(なわ)の若し

  • 中国語:因祸为福、成败之转、譬若纠纆   [ yīn huò wéi fú,chéng bài zhī zhuǎn, pì ruò jiū mò ]
  • 出典:史記(南越列伝)
  • 意味:禍が福となったり成功が失敗に転じたりすることは、より合わせた縄のように表裏一体のことである。禍福、成否は変転して定まらないとの意。一般的には「禍福は糾える縄の如し」と。

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打抱不平

  • 中国語:打抱不平   [ dǎ bào bù píng ]
  • 出典:曹雪芹(红楼梦)
  • 意味:不公平なことを見かけたら、弱い者に味方して強い者を打ち負かすとの意。判官びいき。

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記事:【開門見山】は単刀直入 意思や考えを伝えるには曖昧では…

曖昧な態度

 「日本人は、はっきりとものを言わない、曖昧だ」と中国のある友人は言う。一般的に決断が遅いことと曖昧であることが、日本人に対する印象であるそうです。

 曖昧表現は、相手の気持ちを考えて、ものを言う日本人としての美徳だ…などと反論したりもしますが、なるほど中国人は要る、要らない、好き、嫌いなどはっきりとものを言うことが普通のようです。

 しかし、「不置可否」という良いとも悪いとも明言しないことを意味することわざのように、中国には「曖昧」ということに関することわざが思いのほか多いのです。ひょっとしたら、昔の中国は「曖昧」なことが少なくなかったのかもしれません。であるならば、何故、現代の中国では曖昧さが少なく、Yes、Noをはっきり言うようになったのでしょうか…

 

判官びいき

 そうかどうかは別として、現在の中国人現役世代は曖昧表現が苦手のようです。どの日系企業にもある就業規則の中には禁止事項があって、これに反すると場合によっては労働契約を解除することになっています。禁止事項の具体例が明示されていて、その最後には「その他、会社の社員としてふさわしくない行為をした場合」などと記されているのですが、これが問題の種。「ふさわしくない行為」とは具体性に欠けた曖昧な表現なのです。

 例えば、社員としてふさわしくない違反行為を起こした社員に対して解雇(労働契約解除)を通告したとします。その問題社員は自分が犯した違反行為が、就業規則に記載されているどの禁止具体事例にも合致していないと反論。結局双方の折り合いがつかず、その問題社員は労働仲裁処に提訴することが考えられます。

 仲裁処の判断は往往にして「打抱不平」、つまり会社が、立場上弱い社員いじめをするなというものです。問題の本質とは別のところの判断ではあるが、結局会社の負け。その社員は大喜び。

 

勝っても負けても

 しかし、その話には続きがあります。中国での雇用関係は契約に基づきます。会社と社員が労働契約を結び、成り立っています。労働契約は無期限でない限り、双方が同意して一年とか二年などの期限を設け、満了時点で双方が同意すれば契約を更新することになります。

 つまり、その問題社員との間の労働契約は、一旦は「解雇が無効」になり、継続されたのですが、いずれ更改時期が来るのです。その時に更新するか否かは双方の意見が一致しなければなりません。そこで会社側は合法的に労働契約を更新しないことができます。

 史記には「禍に因りて福を為す、成敗の転ずるは、譬えば糾える纆の若し」との格言があります。人生における禍福や勝ち負けは、まるで、より合わせた縄のように表裏一体のことである、というのです。勝ったとしても喜んでばかりはいられない、負けたとしても必要以上に悲観することはない。

 

単刀直入

 中国古典にある「開門見山」とは、前置き無しでいきなり本題に入ることの例えです。現代の中国では、人にものを言う時にはあいまいな表現ではなく、要る、要らない、好き、嫌い、やってもよいこと、ダメなこと、等々はっきり表現した方がよほど通じやすい。日本式の奥ゆかしい態度は中国には似合わないようです。

 曖昧表現に慣れた日本人には、はっきりものを言うのは少しばかり勇気が要りますが、慣れたら何ということはありません。はっきりとした意思表示は、むしろ、支持者、理解者を増やすことにもなります。

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