【桃李もの言わず】とのことわざ 中国で失敗する人成功する人の違い

大連・労働公園のアカシアの大木(2017年5月)

 

会社組織の先導者として、自分のことだけではなく人のことも考えることのできるように、人間性を磨かねばなりません。そういう総経理(社長)の努力は、社員達からの共感と支持を得、結局、業績は向上することが期待できます。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

活きて老いに至り、学びて老いに至る

  • 中国語:活到老,学到老   [ huó dào lǎo, xué dào lǎo ]
  • 出典:古代アテネの政治家であるソロンの言葉を中国語訳したもの。中国古来の諺ではありません。
  • 意味:青年時代、中年時代、老年時代といずれのときでも目的は違うが学ぶことが肝要である。つまり人生は死ぬまで勉強。人間、一生勉強だとの意。

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喫喝玩楽

  • 中国語:吃喝玩乐   [ chī hē wán lè ]
  • 出典:魏巍(路标)
  • 意味:飲食と享楽にふけること。ひたすら物質的な享楽を追い求めることを言う。「吃」はごくつぶし、見栄を張り浪費することの意味。「喝」は酒を飲むこと。「玩乐」は遊ぶこと。

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春秋に義戦なし

  • 中国語:春秋无义战   [ chūn qiū wú yì zhàn ]
  • 出典:孟子(尽心下)
  • 意味:中国の春秋時代には正義の戦争はなかった、というのが元の意。現代の食うか食われるかの社会では、少しでも隙を見せるとすぐにつけ込まれる。

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桃李 言(ものい)わず、下 自(おのずか)ら蹊(こみち)を成す

  • 中国語:桃李不言、下自成蹊   [ táo lǐ bù yán, xià zì chéng qī ]
  • 出典:史記(李将軍列伝)
  • 意味:桃や李は何も言わないが、その花や実に引かれて人が自然と集まり、いつの間にか下に小道ができる。多くを語らずとも徳のある人のもとには自然と人が集まる。口下手であってもそんなことを苦にすることはないということです。「成蹊」の語源。

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陽奉陰違

  • 中国語:阳奉阴违   [ yáng fèng yīn wéi ]
  • 出典:官场现形记
  • 意味:表向きは服従するように見せかけ、裏では反対すること。面従腹背。(勝つためのひとつの戦略とも理解できます)

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記事:【桃李もの言わず】とのことわざ 中国で失敗する人成功する人の違い

隙を見せられない

 中国戦国時代の思想家である孟子は「春秋に義戦無し」という言葉を残しています。春秋時代は、紀元前770年から紀元前403年の間ということですからずいぶん昔の話です。春秋時代の後の戦国時代になって、孟子は春秋には正義の戦はなかったと言ったのです。

 翻って今の世の中はいわば経済の戦争。食うか食われるかの競争が繰り広げられることも日常茶飯事です。日本国内であれば「正々堂々」と、時には「敵に塩を送る」ことだってありますが、中国などではそんなことは言っていられません。自軍が有利になるためには人を欺くことも厭わないというのですから、少しの隙を見せようものなら勝利は彼方へと遠ざかるのは必至。そんな中に放り込まれた日本人総経理(社長)は…

突然経営者に

 日本本社の命を受けて、中国現地に乗り込んでみたものの、当初の期待や意気込みに反して、不本意にも途上でお役御免、帰国の憂き目に会うことも珍しくはありません。

 例えば、日本では一人の中間管理職にすぎなかったのに、ある日突然中国現地法人の総経理(社長)に任命され、自分は偉くなったのだと大きな勘違いをしてしまった人。

 赴任しすぐにでも業績を上げたい気持ちはわかりますが、強権を振りかざし唯我独尊と言わんばかりの言動。一般社員は支持をするわけは無く、ましてや心から服すことにはなり得ません。「陽奉陰違」という中国の古くからのことわざ。表向きは服従するように見せかけ、裏では反対するということです。元はと言えば自らの勘違いからの強権運営であって、結果として業績の向上など望むべくもありません。

 

抑鬱の破裂

 日本では中間管理職というと、上からはプレッシャーをかけられ、下からは監視され、休まるところがありません。そんな人が総経理になると、中には日本時代の抑鬱された気持ちが一気に破裂してしまう人が。例えば、高級店でしかも会社経費で飲み食い。言葉ができないストレスを夜の店で発散しようと勝手な理屈をつけ、夜な夜なお店に繰り出し遊興三昧の生活。お相手をしてくれるのは少々の日本語ができる綺麗な女性。

 喫喝玩楽」とのことわざのとおり、飲食と享楽にふけることを実践。一応企業トップですから、何をしても文句を言う社員はいません。しかし、そんな生活は、部下社員からすぐに見透かされていまいます。その結果、業績がどうなるかはいうまでもありません。

 もう一つのパターンは何もしようとしない「不作為の総経理」。そりゃあそうです。新しいことに挑戦するというリスクを冒す必要はサラリーマンにはありません。むしろしない方が自分にとっては得策。従来の延長線上で現状を維持しておけば、いずれに本帰国命令が出て、日本でそれらしい職務を得ることができるのですから。そう考える人が少なくありません。

 

自己を高める

 それらの人に共通するのは、自分を高めようとする姿勢が見えないこと。史記には「桃李もの言わず、下自ずから蹊を成す」とあります。多くを語らずとも徳のある人のもとには自然と人が集まる、という意です。

 そういう総経理に成ろうとする努力は社員達からの共感と支持を得、そして社員の自主的能動的な働きが定着し、結局、業績は向上することが期待できます。

 総経理がやるべきことはそのような徳を身につけることです。

 有名経営者のようなカリスマ性を求めらては辛いですが、ひたすら努力を続けることはできそうです。「活到老,学到老」とは中国でよく聞く言葉。人間死ぬまで勉強。こういう謙虚な姿勢で社員に相対し仕事に取組み、日常生活を心がければ、不本意な帰国お役御免は起きない。成功を得る極意は、自分の人間性を磨きこみ、感謝に通じる謙虚さを身につけることに尽きます。

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