【安きに居て危を思う】 蛇から思案する成功への道 駐在員の独り言

大連にも菖蒲の花(労働公園2019年5月)
安穏な時にこそ危機を想定し備えをしておく事が大切。もし、備えを怠っていたとしたら、例えば日中関係の突然の軋み悪化等に遭遇した時、その影響をもろに受け、右往左往してしまうことになる。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
事 没きも事を找る
- 中国語:没事找事 [ méi shì zhǎo shì ]
- 出典:刘知侠(铁道游击队)
- 意味:何事もないのに故意にもめ事を起こすこと。ことさらに波風を立てる。
長虺成蛇(ちょうきせいだ)
- 中国語:长虺成蛇 [ zhǎng huǐ chéng shé ]
- 出典:洛阳伽蓝记(建中寺)
- 意味:虺長じて蛇と成す。「虺」は小さな毒蛇のこと。「反逆者」を比喩した言葉。反逆者という禍を放任すれば、結局、強大になってしまうこと。いいようにさせてしまう事の例え。
以て戒めと為す(引以為戒)
- 中国語:引以为戒 [ yǐn yǐ wéi jiè ]
- 出典:国语(楚语下)
- 意味:(他人や自分の以前の失敗を例証として引き)今後の戒めとする、との意。
安きに居て危を思う
- 中国語:居安思危 [ jū ān sī wēi ]
- 出典:左傳(襄公十一年)
- 意味:安泰な時にあっても、困難や危険なことが起きた時のことを常に考えていなければならない。現状に満足してしまうと将来の滅亡をまねく。
記事:【安きに居て危を思う】 蛇から思案する成功への道 駐在員の独り言
マンホールと大蛇
中国の街を歩くときは、人孔井盖(マンホールの蓋)の上は避けて歩け、と中国の友人が言う。
何でも、マンホールの下では大蛇が眠っているから、その上を歩いて、ひょっとして目を覚まそうものならとても厄介なことになる、というのです。「没事找事」、わざわざ寝た子を起こすことは無かろうから、マンホールの上は避けて歩くのがよいと。なるほど、言われてみれば、マンホールの上を歩いている人はあまりいないようです。
マンホールの教訓
大蛇の存在は知る由もありませんが、道路をよく見ると、マンホールの枠が路面から浮き上がっていたりして、面が平らになっていないところもあるようです。施工技術の問題かもしれませんが、これではつまづいて転んだりしかねません。
また、蓋が盗まれて塞がれていなかったり、土管内でメタンガスが爆発して蓋が吹っ飛んだりする事故もあるようです。
そんな事故に遭遇しないように、親から子への「以て戒めと為す」として大蛇を使ったのかもしれません。ならば、「マンホールの下の大蛇」の話は信じた方がいいかもしれませんね…
放置できない蛇
蛇といえば中国に「虺長じて蛇と成す」ということわざがあります。「虺」は毒蛇のことで、反逆者のことを例えたもので、その禍を放任すれば、いずれ、強大になってしまうという意味です。
現地事情に疎い日本人総経理(社長)は、つい、現地幹部社員にマネジメントを丸投げしたくなります。しかし、彼がもしも「虺]であったとしたらどうなるでしょうか。いずれ、手の付けられない組織となり、大きな問題に発展する可能性が否定できません。
また、中国現地会社の社内の小さな出来事や一社員の問題は、日本人総経理にとっては、対応が結構面倒。そこで、まあいいかと放置すると、場合によってはそれだけでは済まなくなることもある、だから放任、放置することはよくないとの教えであり警告でもあります。総経理として、事の本質を見極め、小さいうちに解決しておくことが求められます。
大事なのは平時
上海や大連、瀋陽など都会の街を歩くと、危険を感じたりすることはそうはありません。が、何が起こるかわからないのが現実。生活環境に加えて、一方では、自社の事業活動が突然影響を受けるようなことも無いとは言えません。
「安きに居て危を思う」ということわざにあるように、平時にこそ、いざというときのしっかりとした備えをしておくことが大事です。 「マンホールの大蛇」には自分の努力で対応できます。しかし、時に揺れる日中関係が自分の会社業績に与える影響は難敵です。しかも、その「難敵」は突然やってきます。人脈や顧客の力も借りながら、考えられるあらゆる対応策を事前に用意しておくべきです。その備えが、自分の身を守り、会社を守り、社員達やその家族を守る事になるのですから。
それらを思案することこそが総経理としての最も大事な使命であると考えます。
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