中国ことわざ【酒入れば舌出ず】 春節は自重するのがよい 男の三欲にも…
「酒入れば舌出ず」とは、酒を飲むと人はおしゃべりになり、おしゃべりが過ぎると失言が伴い身を滅ぼすことにもなる。くれぐれも注意せよとの警告。酒は男の三欲のひとつ。中国現地で総経理(社長)にとっては、三欲に溺れないように自己規制するしかありません。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
酒入れば舌出ず
- 中国語:酒入舌出 [ jiǔ rù shé chū ]
- 出典:韩诗外传
- 意味:原文は「酒入者舌出,舌出者弃身」。酒を飲むと人はおしゃべりになる。おしゃべりが過ぎると失言が伴い身を滅ぼすことになる。
酒を飲むに酩酊を成さしむる莫れ
- 中国語:饮酒莫教成酩酊 [ yǐn jiǔ mò jiào chéng mǐng ding ]
- 出典:安乐窝
- 意味:酒を飲むのは良いが泥酔してはならない。この言葉に続いて「赏花慎勿至离披」とあります。これは、花を愛でるには花が完全に開ききる前に見るべきだ、との意。つまり、物事は絶頂の後には衰退が待っている。絶頂の手前でやめるのがよい、との教えである。行く春を惜しんで詠んだ詩の一節です。
欲は度無きに生ず
- 中国語:欲生于无度 [ yù shēng yú wú dù ]
- 出典:戦国(尉缭子·治本)
- 意味:欲望は規制のないことから生ずる。この言葉に続いて、「邪生于无禁」とあります。これは邪心は規則がないことから生じる、との意。
溜 之(これ)大吉
- 中国語:溜之大吉 [ liū zhī dà jí ]
- 出典:李宝嘉(官场现形记)
- 意味:そっと抜け出すことをもってめでたしとする。逃げるが勝ち。
記事:中国ことわざ【酒入れば舌出ず】 春節は自重するのがよい 男の三欲にも…
乾杯の落し穴
多くの方と食事をする際に出された料理をより美味しくしてくれるのがお酒。社員達との懇親会や顧客との会食など、お酒は欠かすことができません。円卓を囲みお酒を酌み交わすことで、語らいが盛り上がり人との距離を縮めてくれるのです。
問題は、日本とは違いマイペースでちびちび飲るのは中国ではマナー違反であるということです。一口飲みたくなった時には座の誰かを相手に「乾杯」。他の人から乾杯を求められることも多くあります。そして乾杯の基本は字ずらのとおり飲み干すこと。すると、結局飲みすぎてしまうことになってしまいかねません。
中国古典にも「酒を飲むに酩酊を成さしむる莫れ」と、泥酔を戒める格言があることを忘れてはなりません。程よい酒量でコミュニケーションを深めることを心掛けたいものです。
白旗もあり
顧客との宴席で言われたこんな言葉。「飲みすぎて酔っぱらっただと? 本当の酔っぱらいは、自分で酔ったとは言わないものだ。さあさあもっと飲んで!」「何? まだまだ酔ってはいないだと? だったらもっと飲んで飲んで!」
中国の宴席で一般的に飲まれているのはアルコール度数52度の「白酒」。時にはワインのがぶ飲み。これを呑んで酔わないことはあり得ない、が、どんな場面でも醜態をさらすわけにはいきません。
まして、自分がホストの場合は飲みつぶれては御役目失格です。では、乾杯の嵐にどう対応するのがよいのか?
結論は、もう駄目だと思ったら、白旗を上げて降参するのが一番。中国古来のことわざには「溜 之大吉」とあります。こっそりと姿をくらますことをもって、めでたしとせよとのことです。中国では日本式玉砕戦法は誰からも褒められせんが、敵前逃亡もいただけません。味方である中国人幹部にも手伝ってもらって上手にその場を逃れるのがよさそうです。
春節前の危険
酒を飲む機会は年中ありますが、中でも多いのが元旦から春節の間です。旧暦で動いている中国では顧客など関係先に一年の謝意を表し、新しい年もよろしくと一席を設けるのには絶好の季節です。
この時期、世間では元旦前から「新年好」と挨拶が交わされ、春節には「過年好」と。つまり新暦の1月1日は新しい年をお祝いする「新年好」、旧暦の1月1日には年越しを祝う「过年好」と、「新年おめでとう」が約2カ月近くにわたって続きます。
新年で浮ついていているところに酒が入ればどうしても人は冗舌になります。ここに失敗の落とし穴が待っています。中国の格言に「酒入れば舌出ず」とあります。しゃべりすぎが原因で身を滅ぼすなんてことにならないようにしたいものです。
男の三欲
男の三欲とは「飲む、打つ、買う」だそうな。何かの問題が起こったとき、その裏には必ずといってよいほど酒、金、女の存在がある、といわれます。それは何も日本に限ったことではありません。中国のことわざには「欲は度無きに生ず」とあります。欲望は規制がないことから生じるというのです。
であるならば、自己規制をする以外にはなさそうです。一歩外に出ると人を惑わすことがいっぱい。溺れないように自己を高みに置くこと、常に自分を磨くことなど、中国で活躍しようと考える総経理にはやるべきことはたくさんあるのです…
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