【呉越同舟】 できちゃった婚のような日中合弁 どうして破綻を回避する?

真冬には凍結する労働公園荷花池(2014年2月大連)

 

「呉越同舟」とは孫子の言葉で、仲が悪い者同士であっても、同じ困難に遭遇した時には互いに協力するとの意。できちゃった婚のような日中合弁であっても、協力して事業を進めたいのだが、お気楽・日本本社とわがまま・中国側パートナーの間に挟まれて…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

呉越同舟

  • 中国語:吴越同舟   [ wú yuè tóng zhōu ]
  • 出典:孫子(九地)
  • 意味:仲が悪い者同士であっても、同じ困難に遭遇した時には互いに協力すること。

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子を奉じ婚を成す

  • 中国語:奉子成婚   [ fèng zǐ chéng hūn ]
  • 意味:できちゃった結婚。「先上车后补票(先上車後補票=まず乗車し、後から切符を買う)」とも。(ことわざではありません)

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心領神会(しんりょうしんかい)

  • 中国語:心领神会   [ xīn lǐng shén huì ]
  • 出典:送傅德谦还临川序
  • 意味:言葉に出さなくても心の中で理解すること。神は心の意。領、会はいずれも理解すること。

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天窓を開け亮話を説す

  • 中国語:打开天窗说亮话   [ dǎ kāi tiān chuāng shuō liàng huà ]
  • 出典:官场现形记
  • 意味:窓を開けてはっきりした話をする。腹を割って話すこと。ざっくばらんに話す。率直に話すことの例え。

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日を久しくして人心を見る

  • 中国語:日久见人心    [ rì jiǔ jiàn rén xīn ]
  • 原文:路遥知马力、日久见人心(路(みち)遥かにして馬の力を知り、日を久しくして人の心を見る)
  • 出典:争报恩(元の時代の芝居)
  • 意味:長距離を走らせれば馬の力が分かり、長く付き合えばその人の心が分かる。

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記事:【呉越同舟】 できちゃった婚のような日中合弁 どうして破綻を回避する?

人柄不明のパートナー

 悠久の大地で事業を展開しようと大きな希望をもって設立した現地の合弁会社。中国側のパートナーの協力を得て発展させたいとの願いもあるが、現実はその両者の関係が時としてぎくしゃくし、途上で破綻することが少なくない。

 人を介して、実力者だ、資本家だ、等々良いことばかり聞かされて合弁を組むことが多く、パートナーの人となりすら、あまりわかってはいないのですから。

 注意すべきは、得てしてそういう風に紹介された場合、紹介をした人との間には利害が働いているものです。

 中国のことわざに「日久见人心」とあります。人から紹介をされ、何度か面談しただけでは、共同して経営するパートナーとしてふさわしいかどうか、よくはわかりません。

 

できちゃった婚の如し

 とは言っても、人となりがわかってから合弁することを決める、などと悠長なことでは話がまとまるわけがありません。

 もともと、中国で合弁を組むということは、「奉子成婚」、いわば、できちゃった婚みたいなもの。先に切符を買うのではなく、まず乗車してからそのあとで切符を買う。きわめて卑近な例ではありますが、つまり、当たり外れがあることは覚悟しておかねばなりません。

 もっとも、中国側でも日本側のことを、当たりだ、はずれだ、と思っているかもしれません。まあ、お互い様ですかね。

 

発展に欠かせない

 せっかく組んだタッグですから、少々のことがあっても何とか前に進め、願わくは発展させたいところです。そのために欠かせないのが双方のコミュニケーションです。破綻例の多くはコミュニケーションが決定的に不足しているのではないでしょうか。

 言葉に出さなくても理解できる「心領神会」ということわざがあります。しかし、それは限りなく不可能に近いのが現実。言葉や習慣の違う双方が、意志を伝え理解しあえることは簡単にできるわけがありません。

 経営方針の基礎となる考え方や手法は、一回や二回説明しても相手側には十分には伝わらない。自分の思いをパートナー側に伝え理解を得るには、何回も繰り返し説明し、意見を交わす努力が欠かせません。

 

ざっくばらん

 中国には「打开天窗说亮话」という言葉があります。差し詰め、「腹を割って話す」ということになるでしょうか。

 会社運営状態、問題点、営業成果等々の情報を合弁パートナーと常に共有し、改善策を相談することができる協力関係が不可欠です。それは出資比率とは関係なく大事にしなければならない事項です。

 意図しない合弁の破綻の原因の多くが、互いの理解不足であることを考えれば、双方のコミュニケーションは過剰と思うくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

 

仲が悪くても

 考えてみれば、もともと合弁契約というのは締結時から問題を抱えているわけですから、成功のツボはむしろ合弁成立以後にあるといえます。共同経営がスタートして、いずれそのうち日中双方の投資者間で思惑の違いから関係がギクシャクするときが必ず来ると想定しておくべきであると。

 そんな時には孫子の「呉越同舟」ということわざを思い出す事が必要です。仲の悪い者同士であっても同じ船に乗り合わせたのですから、協力して困難を乗り越える努力が求められる、ということです。

 お気楽な日本本社サイドは、「えいやあ」で決めて見切り発車し、後は頼むぞと肩をたたかれ派遣された総経理(社長)は、後々大変な重責を背負い込んだことに気がつきます。

 しかし、パートナー側との毎日のようなコミュケーションが取れるのは、現地会社の総経理以外には無いのも事実。そう考えると、合弁事業の成否は現地総経理の肩にかかっているといっても過言ではないのです。

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