【安くして危うきを忘れず】 またか!日中間の軋み 対応の極意は…

日中国交正常化を記念して、1972年10月28日中国から2頭のパンダが贈られました(写真は2011年4月中国成都にて)
中国・現地会社の総経理(社長)として、自身の采配の誤りや力不足が原因で業績悪化を招くことになるのはまだしも、日中両国間の軋みによって経営に影響が出るようなことになれば、受容できようはずはありません。ならば…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
此起彼伏(しきひふく)
- 中国語:此起彼伏 [ cǐ qǐ bǐ fú ]
- 出典:魯迅(坟·论‘费厄泼赖’应该缓行)
- 意味:こちらで起きるとあちらで静まる。絶え間なく起きる例え。
始終不渝(ししゅうふゆ)
- 中国語:始终不渝 [ shǐ zhōng bù yú ]
- 出典:普書(谢安传)
- 意味:終始一貫すること。最初から最後まで態度や気持ちが変わらないこと。
平淡無奇
- 中国語:平淡无奇 [ píng dàn wú qí ]
- 出典:涂家埠
- 意味:ありふれていて面白くない、単調で奇抜さがないこと。
躬自ら厚くして、薄く人を責むれば、則ち怨みに遠ざかる
- 中国語:躬自厚而薄责于人 [ gōng zì hòu ér bó zé yú rén ]
- 出典:論語(卫灵公)
- 意味:自分に厳しく、他人には寛容であれば、他人の怨みを買うことも少なくなる。
安くして危うきを忘れず
- 中国語:安而不忘危 [ Ān ér bù wàng wéi ]
- 出典:周易(系辞下)
- 原文:安而不忘危,存而不忘亡,治而不忘乱(安くして危うきを忘れず、存して亡ぶるを忘れず、治まりて乱るるを忘れず)
- 意味:(君子は)安泰な時にあっても危うさを忘れず、存続している時も滅びることを忘れず、(世が)治まっている時も乱世を忘れない、との意。
記事:【安くして危うきを忘れず】 またか!日中間の軋み 対応の極意は…
シーソーみたい
「またか!」と言いたくなるような、日中両国間の軋みが発生したのだ。2000年に大連に赴任してからのことです。
1972年9月に日中国交正常化がなされたとはいえ、その後は「此起彼伏」、まるでシーソーの如く、両国間の関係悪化と改善が繰り返されてきました。
中国現地でビジネスに取り組んでいる身としては、「軋み」の内容によっては自社の業績にも影響しかねないのですから、「ほんま、頼むで…」と呟きたくもなるというもの。
日中両国は、引っ越しできない隣国同士。加えて、様々な違いが絡み合って、時には何らかの事象をきっかけにして、関係が悪化することになってしまうのかもしれません。
関係諸兄に叱られることを恐れずに言うと、そんな両国間の軋みの発生は「平淡無奇」。これくらいは当たり前の現象ではないかと考えます。
だからこそ、常に「日中友好」が叫ばれているのであろうと考えられなくもありません。
思えば中国に赴任していた15年間も、良くなったり悪くなったりの繰り返しでした。日中間の関係は、そもそもそんなものだと考えれば、対策が出てこようというもの。
そのような環境下で事業を行い、発展させるには、責任者としてどう考えるべきなのでしょうか。
「安くして危うきを忘れず」という思考が、まずは求められます。例え、良好な関係の中で事業を進めていても、いずれは悪化する時が来るであろうと考え、その時に自身の事業への影響を最小限に止めるための策を準備しておくことです。これこそが、中国での成功を勝ち取る必要条件です。両国間の関係が悪化しても慌てなくてもよい。「想定内」の対応をすればよいのですから。
何があろうと続けること
現地会社の責任者の仕事は、勿論国レベルというものではなく、むしろ「草の根」レベルですが、自身の事業の中で、日中間の友好交流の流れを止めないことが求められます。
国同士の関係が良かろうと悪かろうと、自分は「始終不渝」、変わらぬマインドで自身の事業拡大への取り組みを続けることが肝要であります。
継続は宝、なのです。自身が責任者である間は、一途に発展させるべく取り組むことです。
自他共に
総経理として、「躬自ら厚くして、薄く人を責むれば、則ち怨みに遠ざかる」との言葉を実践したいものです。政治を動かす訳ではありませんが、この考え方で事業拡大に臨むのです。
それを続けていると、総経理の周りの現地社員達、現地の顧客など、理解も得られることでしょう。
両国関係とは別に、自分の立場での日中友好を考え、実践を続けることです。いつになるかわかりませんが、いつかは双方が同じ考え方で相対すれば、正に良き隣人となるでありましょう。要は「自他共に」の思想であります。