【直木は先ず伐られ、甘井は先ず竭く】 B級社員だって成功者になれる
「直木は先ず伐られる」とは、有能であるために、かえって身を滅ぼすことを例えた言葉。であるならば、Bクラスは、その心配が少ない。むしろ、中国の現地で懸命の努力をすれば成功者になることも可能…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
専心致志
- 中国語:专心致志 [ zhuān xīn zhì zhì ]
- 出典:孟子(告子上)
- 意味:わき目もふらず、物事にあたること。
置身事外
- 中国語:置身事外 [ zhì shēn shì wài ]
- 出典:文明小史
- 意味:事の外に自分の身を置き、無関心な態度をとること。
直木は先ず伐(き)られ、甘井(かんせい)は先ず竭(つ)く
- 中国語:直木先伐,甘井先竭 [ zhí mù xiān fá, gān jǐng xiān jié ]
- 出典:庄子(外篇·山木)
- 意味:まっすぐな木は最初に切り倒される。うまい水が出る井戸は真っ先に汲みつくされる。有能であるためにかえって身を滅ぼすことの例え。
洞らかなること火を観るが若し(洞若観火)
- 中国語:洞若观火 [ dòng ruò guān huǒ ]
- 出典:尚书(盘庚上)
- 意味:火を見るより明らかである。誰の目にも明らかである。
無憂無慮
- 中国語:无忧无虑 [ wú yōu wú lǜ ]
- 出典:忍字记
- 意味:少しの憂いも思い煩うことの無いこと。
※卡拉OK
- 中国語:卡拉OK [ kǎ lā OK ]
- 中国で「卡拉OK(カラオケ)」と言えば、ホステスさんがついてくれ、作ってくれたお酒を飲みながら過ごすお店。勿論、歌えます。
記事:【直木は先ず伐られ、甘井は先ず竭く】 B級社員だって成功者になれる
お気楽総経理
どうせ三年もすれば日本に帰国するんだから仕事は通り一遍にして、それよりもせっかく赴任したのだから中国生活を楽しもうと、夜は卡拉OK(カラオケ)、土日はゴルフにとお気楽に「…三昧」を決め込む総経理(社長)。
そういう駐在員にとっては、もし仕事上で問題を起こせば、自分の将来に関わるから、余分なことはしないという考え方が支配的。駐在期間を無難に過ごせればそれでいいと、「無憂無慮」の現地生活。
会社の運営や社員とその家族の生活を担う総経理は、「憂」も「慮」もたくさん有るはずなのに…
楽しいことばかり考えて毎日を過ごすなどとは、人生の貴重な時間を無駄に使っていると言わざるを得ないのだが。
我が身大事
実は、A級の社員は日本国内で期待されて仕事に励み、中国に駐在員として派遣されるのはB級の社員だ、などと陰で言われていました。
日本国内の稼ぎ高は、中国現地会社のそれに比べるべくも無いのだから、A級人材は近くに置いておきたいと本社が思うのは無理もないこと。そう考えれば、件の「中国派遣人材B級社員説」は満更ではないのかもしれません。
そんなこともあってか、本社でも、中国に派遣した社員が問題を起こさず、業績は前年をクリアさえしていれば問題なしといった、風潮が見え隠れします。言ってみれば「置身事外」、我が身大切との考え方が本社に多くては。現地で駐在する総経理にも緊張感は湧いては来ません。
お見通し
お気楽総経理の部下の中国人社員も、心では「この日本人、いったい何をしに中国に来たのか」と思っているに違いありません。「今度の総経理はただの腰掛。その内帰国するよ」、と彼らにとっては「洞若観火」、腹の内は火を見るよりも明らか、なのでありましょう。
その結果、地元社員も仕事が適当にこなすだけの状態になり、社内には緊張感は無くなってしまいます。
責任者は何年か経てば日本に戻ることができますが、現地の中国人社員はそんな場所はありません。自分や家族の生活が懸かっているのですから、そんなのんびりしたことは。言っていられない。
経済成長に沸いていたころの中国であれば、放っておいても「自然増」としての伸びはあったのでしょうが、そんな時代では無くなった今では維持するのが精いっぱい。
お気楽総経理のしわ寄せが、結局は現地中国人社員に向かっていきます。可哀そうなのは業績の伸び無くなった会社の社員達ということです。
B級上等
本社の好きな「A級」人材が必ずしも成功するとは限りません。「直木は先に伐られる」ということわざがあるように、優秀であるがために日本国内で潰れることだってあるのです。
それに比べて、例え本社のお膝元から出された「B級」社員であったとしても、中国の現地で懸命の努力をすれば成功者になることも可能です。
場合によっては「B級」であったからこそ中国で努力することができたのだと、後から思えるかもしれません。サラリーマンにもチャイナドリームは間違いなくあるのです。「B級」のままに甘んじるか、最後は「A級」になるかは、自分にかかっています。
第一人者に
自分のことだけしか考えない日本人総経理はリーダーとしては失格と言わざるを得ません。
会社のリーダーたる総経理として、社員に対し経営方針やビジョンを明示することで、社員にこの会社に入ってよかったという満足と希望を与え、彼らが誇りを持ち積極姿勢に転じた時、結果として業績が向上することになります。
つまり、業績が伸びるか否かのポイントはリーダーである総経理の真剣さ、懸命さにかかっているといえます。「専心致志」の精神で職務に挑む、その努力がいつかは実を結ぶはずです。そして、日本本社でも「中国第一人者」という評価が得られるのではないでしょうか。
リーダーの真剣さは会社の発展・成功には欠かせません。一生、中国現地会社にいるわけではないのですから、いるときくらいは地元社員と共に汗を流し、地元の社員のために一心不乱に頑張るリーダーになりたいものです。