【銭を見て眼開く】拝金主義の中で中国の現地会社総経理はどうする?

大連・東港(2015年9月)

 

拝金主義に走る社員達に、給料UPで応えようとしても、すぐに行き詰まる。現地会社・総経理(社長)としてどうしたものか…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

恒産有る者は恒心有り、恒産無き者は恒心無し

  • 中国語:有恒产者有恒心,无恒产者无恒心   [ yǒu héng chǎn zhě yǒu  héng xīn, wú héng chǎn zhě wú héng xīn ]
  • 出典:孟子(梁惠王上)
  • 意味:一定の財産や収入がある人は一定の道徳観念があり、一定の財産収入が無い人は道徳観念や行動原則は無い。「恒産」は一定の財産・収入。「恒心」は人間として持つべき心、節操。

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銭を見て眼開く(見銭眼開)

  • 中国語:见钱眼开   [ jiàn qián yǎn kāi ]
  • 出典:金瓶梅
  • 意味:金を見たら眼を見開くこと。貪欲に財貨を求めるとの意。

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徳は身を潤す

  • 中国語:徳潤身   [ dé rùn shēn ]
  • 出典:大学(伝6章)
  • 原文:富潤屋,徳潤身(富は屋を潤し、徳は身を潤す)
  • 意味:財産が有れば(家屋に様々な調度や装飾が備えられ)潤いが加わる。人に徳があればその身に潤いが加わる。徳が内に充実すれば外にまで現れる。

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悲喜 交(こもごも)集る

  • 中国語:悲喜交集   [ bēi xǐ jiāo jí ]
  • 出典:晋書
  • 意味:悲しみや喜びが一度にやってくることの例え。

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隴(ろう)を得て蜀(しょく)を望む

  • 中国語:得陇望蜀   [ dé lǒng wàng shǔ ]
  • 日本語表記:得隴望蜀
  • 出典:後漢書(岑彭传)
  • 意味:「隴」は隴西(ろうせい)。今の甘粛省にある。「蜀」は、今の四川省。ひとつのものに満足できずに、更により以上のものを求め望むことの例え。欲にはきりがないこと。満足を知らないことの意。

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上班族

  • 中国語:上班族   [ shàng bān zú ]
  • 意味:「上班」とは、出勤する、出社するとの意。企業に雇用されているサラリーマン層のこと。

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記事:【銭を見て眼開く】拝金主義の中で中国の現地会社総経理はどうする?

喜びの言葉

 オフィスの廊下ですれ違った社員が「総経理、謝謝!」と嬉しそうに語りかけてきた。年に一度の給与改定があり、平均以上の評価を得たことに対する喜びの意思表示なのであろう。

 以前の「大鍋飯時代」とは違って、ひとり一人を評価、査定し改定額に差をつけるようにした。その結果、大幅に上がった社員、そうでもなかった社員等々、「悲喜交集」。

 頑張っただけのことはあった、或いは来年は頑張るぞといった違いがあれども、それぞれのモチベーションアップに繋がれば、との思いからでありました。

 

際限無し

 差こそあれ、給料はとにかく上がったのだから、結果はまずまずであったと、社員それぞれが納得しているような、社内の空気であったのです。

 しかし、それもつかの間。2ヶ月も過ぎると、アップ後の給与額が当たり前のようになってしまい、あの時の喜びはどこへやら。そして、うちの会社の給料は安いなあ、といった愚痴が再び漏れ聞こえてくるくるようになりました。

 ひとつを手に入れたら更に次を、とばかり。「隴を得て蜀を望む」、人間の欲には際限が無いということでしょうか。

 

サラリーマンの大事

 医療保険や年金制度などの社会保障が十分ではないと考えているのか、自分の将来に不安を感じ、何よりお金が大切と思う気持は理解できなくはありません。

 とはいうものの、一度きりの人生で「見銭眼開」のように。お金がすべてということでは寂しい限りではないだろうか。

 経営側としても社員たちの要望を叶えてやりたいという気持ちはやまやまでありますが、会社には財源に限度があり「はいはい」といつも要望を聞き入れることは不可能です。

 上班族」にとって給料はとても大事だけれども、お金以外にモチベーションを少しでも上げる方法は無いものか。それも一過性ではなく持続性のある方法は…

 

心の財

 社員のみんなは自身のために、また家族のために、一段、二段上の暮らしを求めて努力している事はよくわかります。

 そこで、「恒産有る者は恒心有り」とあるように、道徳観念をもう少し合わせ持ってもらえたらなあと思います。

 道徳だけではお腹がいっぱいにはならないのも事実ですが、人生の金銭面充実のための努力に加えて精神面の豊かさも併せ持ってもらいたいものです。実は「心の財」こそが第一なのです。

 

まず総経理

 社会に満ちる拝金主義を払拭することなど出来ようはずがありません。しかし、そんな中にあっても、人はお金だけで動くわけではないことを信じたいと思います。

 給料に対する切りの無い欲求は満たすことができませんが、社員との隙間は会社としての「ハート」で埋めることならできる、きっと!

 つまり、福利厚生を充実させることはもちろん、社員たちが喜びそうなイベントをいくつも計画実施することなどが考えられます。社内の「部活」や地域行事への参加も。

 「お金お金」というぎすぎすした生活の中に少しでも潤いを見出してもらうこと。社員を思いやる気持ちを思いっきり持つこと。そして「ハート」を感じてってもらうことができたら、少しは隙間が埋まるのではないでしょうか。

 その始まりは「徳は身を潤す」、総経理(社長)の身体から滲み出るような、徳を身につける努力をずっと続けるべきでありましょう。

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