【泰にして驕らず】の総経理 これでないと成功は望めない

大連・勝利広場前の中山路(2,013年9月)

 

日本で中間管理職として「少々できる」だけの社員が、ある日、突然、中国現地会社の総経理(社長)として赴任。そして、そこから勘違いとの戦いが始まる…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

下情 上に達す(下情上达)

  • 中国語:下情上达   [ xià qíng shàng dá ]
  • 出典:管子(明法)
  • 意味:下の者の状況や意見が上位に届くこと。

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風を借りて船を使う(借風使船)

  • 中国語:借风使船   [ jiè fēng shǐ chuán ]
  • 出典:紅楼夢
  • 意味:風の力で舟を進める。転じて、人の力を借りて自らの目的を果たすこと。

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君子は泰(やすらか)にして驕らず

  • 中国語:君子泰而不骄   [ Jūn zǐ tài ér bù jiāo ]
  • 出典:論語(子路編)
  • 原文:君子泰而不骄。小人骄而不泰。(君子は泰にして驕らず。小人は驕りて泰ならず。)
  • 意味:君子は泰然としながらも謙虚である。凡人は傲慢であり威張り散らすこと。

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高きこと攀(よ)じるベからざる(高不可攀)

  • 中国語:高不可攀   [ gāo bù kě pān ]
  • 出典:陈政事疏(治安策)
  • 意味:高くて登れないこと。登るには高すぎる、到達するのが難しいこと。転じて、高くて手が届かない。高根の花である。

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目空一切(もっくういっさい)

  • 中国語:目空一切   [ mù kōng yī qiè ]
  • 出典:镜花缘
  • 意味:目の中には自分以外に何も無いとの意。眼中に人なし。傲慢この上ないこと。

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記事:【泰にして驕らず】の総経理 これでないと成功は望めない

それ、勘違い

ある人は、中国現地会社の総経理(社長)というのは、言わば「雲の上の人」だと言った。なぜなら、中国は縦社会であるので、上に立つ者は絶対なのだ、つまり、「高不可攀」であると。

 であるから、小さな会社であったとしても、総経理の立場はその組織のトップであり、一般社員からは手の届かない高嶺の花であることには違わない。

 なるほど、総経理は運転手付きの専用車両で通勤、出勤しデスクに座るとお茶が出てくる、等々の毎日である。実は、この辺りから勘違いが始まる。

 

不幸な傲慢

 総経理としての「特別な待遇」に慣れ溺れ、次第に社員達を睥睨しつつ任された会社運営を行おうとする。

 しかし総経理だとは言っても、日本ではごく普通の中間管理職であった人が、ある日突然中国に赴任しただけで、別に偉くなったわけではないのに。

 そんな勘違いの行きつく先は「目空一切」、傲慢この上ない総経理の出現です。ピラミッドの頂点に立つ総経理が、自分の目に何も入らないようになってしまっては、その組織にとって悲劇でしかありません。

 

成否のポイントは何処に

 例えば、現場の社員達は何を考えているのか、会社運営の現状をどう思っているのか等々、さっぱりわかりません。もちろん現地の顧客への対応の適否は想像もつかないでしょう。そうなると、打つ手打つ手がピント外れとなってしまい、適切な施策や方針などは望むべくもありません。

 総経理自身が現場の状況や意見を知ることから、適切な会社運営が始まる。しかし、一般社員からは近寄り難いのが、トップである総経理である。「下情 上に達す」ということを実現するために、総経理は待っているのではなく、時として自らが雲の下に降り立つことが求められる。

 会社としての適切な施策、方針を打ち出すには総経理自身の対応がポイントとなりそうです。

 

社員を頼る

 権威主義に陥る失敗を防ぐためのもうひとつのポイントは、現地の幹部社員の活用です。総経理にはなかなか見えずらい顧客や一般社員の状況を把握、社内イベントの仕切り役等、幹部社員の活躍は会社運営の大きなファクターです。

 現地の中国人スタッフを頼るということは、その社員にスポットライトを当てることに他なりません。その社員も自分にスポットライトが当たっていることを感じるはずです。その結果、その社員のやる気を引き出すことになります。

 総経理にとって彼らを頼ることは「借風使船」であるとも言える、会社運営成功のためのある意味で「肝」なのです。

 

成功の芽吹き

 リーダーたる総経理が組織の頂点にいて、ふんぞり返っていたのでは、社員は「やらされている」感が強く、それでは仕事にも大した効果はありません。

 中国に派遣され仕事を始めた途端に、上から目線で中国人社員に接する日本人が間々います。そんな、心が貧しい人間はいずれ自滅するということです。

 大切なことは責任者自身が謙虚であることが必要であるのは論を待ちません。

 トップが驕っていたのでは御里が知れるというもの。卑しい姿を晒すことなく、立場の高さと背中合わせに謙虚さを合わせ持とうと思い、努力を始めたところから成功の芽吹きが始まる。そう、「君子は泰にして驕らず」との姿勢でマネジメントに臨むべきなのです。

 ところで、「雲の上の人」と言った件の人は、実は「そうであるからこそ、日頃から意識して謙虚であるべきだ」と言いたかったのかもしれませんね…

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