【習い性と成る】 善い習慣でできた第二の天性なら良いけれど…

大連・中山広場のイルミネーション(2017年5月)

 

「習い性(せい)と成る」とは、毎日、続けている習慣が、やがて、その人の生まれつきの性質のようになる、との意の書経にある言葉。しかし、それが善い習慣ならいいのだが、そうでない場合は…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

言 之理を成す

  • 中国語:言之成理   [ yán zhī chéng lǐ ]
  • 出典:荀子(非十二子)
  • 意味:主張に根拠があり、道理にかなっていること。

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心腹之言

  • 中国語:心腹之言   [ xīn fù zhī yán ]
  • 出典:三国演義
  • 意味:胸中にしまっている、軽々しくは話せない本心のこと。

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習い性(せい)と成る

  • 中国語:习与性成   [ xí yǔ xìng chéng ]
  • 出典:書経(·太甲上)
  • 意味:毎日、続けている習慣は、やがて、その人の生まれつきの性質のようになってしまう、との意。習慣が第二の天性となる。

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反面教員

  • 中国語:反面教员   [ fǎn miàn jiào yuán ]
  • 出典:毛沢東(我们党的一些历史经验)
  • 意味:悪い手本、悪い見本のこと。日本語「反面教師」の元となった言葉。

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怜悧乖巧(れいりかいこう)

  • 中国語:伶俐乖巧   [ líng lì guāi qiǎo ]
  • 出典:冯梦龙(喻世明言)
  • 意味:機転が利いて賢いこと。さとい。

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記事:【習い性と成る】 善い習慣でできた第二の天性なら良いけれど…

思いがけない反応

 「そんな高い品質の物は要らないよ」と。大型重要顧客を訪問し、メイドインジャパンの製品を自信をもって勧めた時、先方の担当者からはそんな反応があった。

 今でこそ、中国製品の品質は随分高くなりましたが、当時は何と言っても日本メーカーの品質の高さには定評があり、「価格は高いが10年は心配なく使える」と、よく言われていました。

 思ってもみなかった反応に面喰いましたが、彼が言うには、「どんなに品質が高くても10年も使うと、経年による陳腐化は避けられない。日進月歩で発達する科学技術は、数年後には今よりもずっと魅力的な製品を生み出すはずだ。だから、“値段は高いが10年は持つ品質”は、刻一刻と発展している今の中国にはマッチしない。それよりも、リーズナブルな価格で数年使えるものの方がよい」と。

 その説には「之理を成す」、中国の当時の状況の中で、理にかなったなかなかの説得力に感心しました。日本とは違う考え方ではありますが妙に納得。

 

本音は別のところに

 しかし、あまりにも綺麗な彼の説明に、何か引っかかるものを感じていたところ、彼は、続けて「いくら安くても2年や3年で故障したのではだめだ。何故なら、もし、そんな低品質の物を採用したとしたら、上司から叱責されるのは間違いない。そう考えると5年ほど使えるものがちょうどいい」と説明。

 そこまで聞いたところてピンときました。

 要は、もし、品質の良い日本製を購入すれば、彼が手にするリベートは10年に1回だけ。もし3年しか持たない低品質のものであれば、上司から叱責されるので意味がない。その点、5年使える製品であれば、叱責はされないし、5年ごとにリベートを手にすることができる。

 物事には表もあれば裏もある。これが、彼の説得力のある言葉の裏に隠された「心腹之言」でありましょう。

 

第二の天性

 購買を担当する社員が、取引先からのリベートを手にするのは、勿論正しいことではありません。もし、それが当たり前のように行われているとすれば、会社を管理する上で、誠に困った大問題、重大な問題だと言わざるを得ません。

 また、人としても「習い性(せい)と成る」とあるように、善かれ悪しかれ続けている習慣は、やがては生まれつきの性質のようになってしまう。

 善い習慣ならいいのですが、リベートという甘い汁を吸っているうちに、それが悪い習慣化してしまう。自分の所属する部門や会社のことよりも自身の利益を優先する自己本位の考え方と、色濃い拝金主義が透けて見えてきます。

 

悪い見本

 社員が自らの立場を利用して、私腹を肥やすなどということは、到底許されることではありません。免職されてもやむを得ないそんな行為ですが、うまくやると、あの人は「怜悧乖巧」、やり手だと逆に評価されるという一面もあるというのですから、価値観の違いも相当です。

 「そんな品質の高いものは要らないよ」と言い放った担当者に半ば呆れて、そこを後にしましたが、日本人総経理(社長)としては、とんでもないことだと思います。「反面教員」としなければならないところです。

 では、我が社はどうなのだろうか。絶対大丈夫だと言い切れないところが情けない。

 どこの会社でも有り得ることであるとはいえ、自分の会社にもそんな輩が総経理の知らないところで暗躍しているかもしれないと思うとゾッとします。モラルにもとる行為であり、管理者としてはまったくもって油断はできませんぞ。

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