【徳は事業の基なり】 総経理が知らない現場にあるものが

ライトアップされた森茂ビル(2017年5月大連)

 

中国現地会社の指揮者たる総経理(社長)は、現場のことをよくわかっていないことが少なくないようです。ではどうすれば会社業績を拡大させることができるのでしょうか。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

耳聞は目見に如かず

  • 中国語:耳闻不如目见   [ ěr wén bù rú mù jiàn ]
  • 出典:说苑(政理)
  • 意味:耳にするよりも目で見た真実が確かである、との意。実際の経験が重要であることの例え。

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民を貴しと為す

  • 中国語:民为贵   [ mín wéi guì ]
  • 出典:孟子(尽心下)
  • 原文:民为贵,社稷次之,君为轻。(民が最も貴く、土地と五穀の神がこれに次ぎ、君子は最も軽い。)
  • 意味:国家にとって人民が基盤であり最も貴い存在である、との意。会社でいえば社員がいなければ何もできず、会社の基盤を成す貴い存在であるといえます。

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徳は事業の基なり

  • 中国語:德者事业之基   [ dé zhě shì yè zhī jī ]
  • 出典:菜根譚
  • 意味;経営者の徳が事業発展の基礎になる。もちろん事業経営に対する優れた能力が大事であるが。経営者はこの徳を磨き能力を身につけることこそ発展の要点である。

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政を為すの要は惟(ただ)人を得るに在り

  • 中国語:为政之要惟在得人   [ wéi zhèng zhī yào wéi zài dé rén ]
  • 出典:貞観政要
  • 意味:人材を招致することが政治の要である。会社においても人材がいなければ事業の拡大はおぼつかない。

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※ 馬屁を拍つ(拍馬屁)

  • 中国語:拍马屁   [ pāi mǎ pì ]
  • 語源:昔、蒙古族の人が馬を引いているのに出会ったとき、いつも馬の尻を叩き、腰を撫で、「いい馬だねえ」と適当なことを言って、馬の持ち主を喜ばせた。このことから、おべっかを使う、お世辞を言う、こびへつらう、と言った意味でつかわれるようになりました。

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記事:【徳は事業の基なり】 総経理が知らない現場にあるものが

現場に行って

 中国の現地会社の責任者として派遣された日本人の総経理(社長)には、見えていない現場の様子。それは、例えば、中国製の事務机の抽斗がよく壊れ、そのままで社員が不便を感じていないか、といった小さなことをはじめ、仕事現場の問題や社員が何を考えているか、等々、総経理には見えていないことが山ほどあるはず。

 であるならば、「耳聞は目見に如かず」と現場の状況を自ら直接見ることが大事であると考えます。

 小さなこととは言え、現場のことを知っているかどうかは、会社運営に当たっては大きな差が出ます。何故なら、現場には問題発見と共に解決策も隠されていることが多くあるからです。

 

肌で感じる

 会社にはいくつかの営業拠点を配置しており、更には、顧客である工場施設などに社員を派遣して業務を提供するケースもあります。それらに所属する社員達は、それぞれ直接上下班(出退勤)するので、普段は直接顔を合わせる機会がほとんどありません。

 国家においては「民を貴しと為す」というのであるから、会社にとっては、社員がその基盤であり、貴重な存在であるといえます。

 だからこそ、本社オフィスとは離れて仕事に励む彼等とのコミュニケーションを図り、何を考えているのかを知り、仕事環境の課題を見つけるために、総経理自らが現場に出向くことを実行すべきである。

 現場を肌で感じ取ることで、以後の会社運営施策に役立てることが気っとできるはず。自ら現場に出向けば、見えなかったことが多少は見えるようになり、自信をもった会社運営をすることが可能になると言えます。

 社員達にとっては、めったに会うことのない、自分が勤める会社の総経理が直接訪問してくれたことで、「拍马屁」が半分かもしれませんが、たいそう喜んでくれ、心を掴むこともできるというものです。

 

右腕に委ねる

 しかし、そう頻繁には現場に行くことはできません。そこで、幹部社員に委ねて、総経理に現場状況が正しく情報として入るように仕組まねばなりません。総経理の意を体して現場の社員と交流してもらうのです。

 となると、「政を為すの要は惟人を得るに在り」と、人材が最も大事であることを痛感せざるを得ません。如何に総経理とは言え、一人でできることは限りがあります。優秀な「右腕」を育て、何人か揃えることが、成功を掴む要点であることは論を待ちません。

 

自分を磨く

 では、自身の周りに優秀な人材を集めるにはどうすればよいのか。

 社員であれば幹部であろうと一般社員であろうと皆人材である、との考えで右腕となるべき社員を見い出し育てることも総経理にしかできません。

 そのためには、何はともあれ、総経理が自身を磨き、魅力ある人になる努力を惜しまないことが重要であると考えます。

 徳は事業の基なり」といわれているように、人の上に立つ者は徳を磨かねばならないのです。

 どのようにして自身を磨くか、は別の機会に譲るとして、少なくとも緊張感をもって毎日の仕事に取り組むことが求められます。事業発展を目指すのであれば、遊びに興じる暇なんかは無いはず。

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