【先ず隗より始めよ】よくできる社員の不思議 それを見て何を考える

瀋陽・故宮の崇政殿(2018年5月)

 

比較的優秀な営業職の社員なのだが、毎月の後半になると力を抜いてしまう。何故だろうかと、考えているとはたと気が付いたことが…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

懐(かい)と安は実に名を敗(やぶ)る

  • 中国語:怀与安,实败名   [ huái yǔ ān, shí bài míng ]
  • 出典:左傳(僖公二十三年)
  • 意味:「懐」は楽をしたい、「安」は安逸をむさぼること。楽をして安逸を貪れば名誉をだめにする。

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虚有其表

  • 中国語:虚有其表   [ xū yǒu qí biǎo ]
  • 出典:郑处诲(明皇杂录)
  • 意味:外見が良くても役に立たない。見せかけだけで内容が伴わないこと。

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人を以て鏡と為す

  • 中国語:以人为镜   [ yǐ rén wéi jìng ]
  • 出典:墨子(非攻中)
  • 意味:人の成功や失敗を自分の手本にすること。

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先(ま)ず隗(かい)従(よ)り始めよ

  • 中国語:先从隗始   [ xiān cóng kuí shǐ ]
  • 出典:戦国策
  • 意味:何事も言い出した者から実行すべきである、との意。或いは、遠大な計画も身近なことから始めよ、との意も。もともとの意味は、優れた人を招聘するには、自分(隗=名前)のような平凡な者を重用することから始めるのが良い、ということ。

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身を検するも及ばざるが若(ごと)くす

  • 中国語:检身若不及   [ jiǎn shēn ruò bù jí ]
  • 出典:書経
  • 原文:与人不求备,检身若不及〈人と与(とも)にするには備わらんことを求めず、身を検するも及ばざるが若(ごと)くす〉
  • 意味:人には完璧を期待せず、自身は厳しく律し戒めよ、との意。人と接するときは、相手に完全さを期待してはならない。自身にあっては、身を引き締めてもまだ足りていないことを自覚する。

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記事:【先ず隗より始めよ】よくできる社員の不思議 それを見て何を考える

目標達成が見えると

 中国現地会社で飛び込み訪問による営業活動を担う社員。目標に向かって快調に走る中、月の後半に差し掛かった辺りから「虚有其表」、一生懸命努力しているように見せかけてはいるが、力を抜いてしまい、のんびりしている感じ。何故?

 計画経済下では必要としなかった「営業」という仕事。会社を代表して飛び込み訪問をして、会社の紹介、商品の必要性を説得し、クロージングをするという仕事は、彼らにとっては、どちらかというと慣れない仕事です。

 比較的新しい職種でもあるので営業理論を学び、月々の新規顧客開拓目標も設定。少し経験を積むと中旬になると今月は目標達成できそうかどうか、感覚でわかってきます。勿論、苦戦している営業員は、目標に向かって努力を続けますが、目標達成の目途が立ったと感じた比較的よくできる営業員は、そのあたりで力を抜いてしまうのです。

 

楽をしたい

 つまり、月の後半にもなると個人目標の達成が見えている社員は来月のことを考え、自分でコントロールし目標件数以上に成果を出そうとしなくなるのです。

 例えば、当月、目標以上の成果を出しても、その次の月に目標を下回ると上司から叱責される。であるならば、今月は目標通りの成果に止め、余力は来月に回せば上司からの責めは免れる。その方がプレッシャーも少なく楽だと考えたのでしょう。

 懐と安は実に名を敗る」とあるように、そんなことでは良い仕事ができるはずがありません。月の最後まで走り抜ける努力、限界を突き抜けようとする突破力が無いと、いつも「そこそこ」の成績で終わってしまいます。

 “常に全力で”という姿勢ではなく、いわば小手先で小利口を働くようなやり方では、結局、中途半端な人間に終わってしまいます。

 

人が手本

 偉そうにそんなことを言っていますが、自分も日本では同じようなことをしてきたではないか。ということに、はたと気がついた。ここは、「人を以て鏡と為す」、反省し、今後の手本にしなければ…

 このことは実は会社でも同じことがいえます。月の後半にさしかかり、月の販売予算達成の見込みが見えてくると、後は次月に回し、今月はこのあたりで… と悪魔のささやきが心に聞こえてくるのです。

 総経理(社長)がそれに負けてしまうと、途端に社内組織に緩みが出てくるのが怖いところ。

 

自己を律する

 それは同時に、営業員にも、総経理自身にも、そして会社にとっても、自分の手で「限界の壁」を作ってしまうことになってしまいます。将来の伸びしろを自分で摘んでしまうことと同じです。

 身を検する及ばざるが若くす」と自らを厳しく律することが大事だということです。社員の成長のためにも、会社の更なる発展のためにも、指導者として総経理は常に戒めていかねばなりません。このような姿勢こそが、社員からの信頼を得ることにもなるのです。

 

限界は無い

 どうなるかわからない来月の心配などしないで、今月は実力の出し惜しみをすることなく、常に力を余さず発揮することが、会社の成長にとっての大事であると考えます。

 営業員にはっぱをかける前に、総経理は会社の成績を調整したりせずに、常に「出し切る」ことを実行すべきです。「先ず隗より始めよ」を肝に銘じたい。

 営業社員個人、また会社として力を常に出し切ってこそ、真の「限界」が見えます。常に力を出し切ることによって、「限界」という壁を上回ることができ、そしてその時の苦労が、次の成長への展望を開けてくれることを信じたい。つまり、成長に限界は無いということです。

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