上海は【飛竜雲に乗る】 満ち溢れる自信と誇り だがひとつだけ無いものが
「飛竜乗雲」とは、竜が雲に乗って空を行く。賢者や英雄、豪傑が才能や権力を発揮し、誇らしげな自信満々の様子を表した言葉。正に上海の街は誇りと自信が溢れている。しかし、残念なことに上海には無いものが…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
恍如隔世
- 中国語:恍如隔世 [ huǎng rú gé shì ]
- 出典:吴船录下
- 意味:さながら隔世の感がある、との意。
十全十美
- 中国語:十全十美 [ shí quán shí měi ]
- 出典:雪月梅传
- 意味:完全無欠で申し分ないこと。
飛竜雲に乗る
- 中国語:飞龙乘云 [ fēi lóng chéng yún ]
- 日本語表記:飛竜乗雲
- 出典:韓非子(難勢)
- 意味:竜が雲に乗って空を行く。賢者や英雄、豪傑が才能や権力を発揮する例え。誇らしげな自信満々の様子。英雄が時に乗じて勢いを得るたとえ。
目光 豆の如し
- 中国語:目光如豆 [ mù guāng rú dòu ]
- 出典:钱谦益(列朝诗集小传·丁集下·茅待诏元仪)
- 意味:見る目が豆のように小さいこと。見識が浅く目先がきかない、との意。
記事:上海は【飛竜雲に乗る】満ち溢れる自信と誇り だがひとつだけ無いものが
無いものは何も無い
「ハクモクレン(中国名は白玉蘭)」は、1986年に制定された上海市花です。ハクモクレンは、冬が過ぎ春の到来と共に逸早く開花することから、「先頭に立って道を切り開き、奮い立つ向上の精神」を象徴するという意義が込められているそうです。
ところで、上海は10世紀ごろには漁村でしたが、その後、南宋の時代に街が大きくなり、13世紀ごろからは飛躍的に発展しました。その後、途中には負の歴史もありましたが、この200年余りずっと「竜頭」として中国経済を牽引しているのです。
今では地下鉄網が張り巡らされ、街を歩いてもオシャレなお店が軒を並べ、上海には無いものは何もない「十全十美」の巨大都市です。こんなラグジュアリーな街はないのでは、と思わせます。
突如の変貌
しかし、2000年以前上海のその当時はというと、お昼の弁当の発泡スチロールの容器や割りばしが歩道上に散乱していて、それらを跨ぎながら歩いたものです。それに、市内を走る高架道路の建設の真っ最中で、どこに行っても埃っぽいこと。
それが、2001年にAPEC首脳会議が上海で開催されたことを契機に上海の街は、見る見る綺麗になって行きました。上海のような中国の巨大都市は一旦変化を始めると、ものすごいスピードで変化するのでビックリです。
ほんの数カ月前で街の状況が一変していることが当時は珍しくありませんでした。都市部への進出や事業展開、出店を計画する場合、もう少しそのエリヤの経済が発展してから、などと考えているとおそらく乗り遅れることになると思います。まだ早いのではというくらいが、実はちょうどいいのです。
今では常住人口は2400万余人、しかもそのうちの約1000万人は外来人口ということですから、人を引きつけ飲み込でいくパワーには驚愕します。ごみを跨いで歩いた時代から、わずか二十年余しかたっていませんが、さながら「恍如隔世」。
溢れる自信と誇り
「プール付きのマンション」が発売されたと聞いて、まあ、中にはそういう高級物件もあるだろうと思いきや、そうではなくマンションの一戸の占有エリヤの中にプライベート・プールが付いたマンションだと聞かされ、度肝を抜かされました。
上海の不動産価格の高騰も、別の角度から見たら人々の自慢の種になるのですから大変なものです。
「竜頭」を自認する上海は、正に「飛竜乗雲」、自信が溢れ誇らしげな様子が、街を行きかう人たちからも伝わってきます。物価は高くて生活は大変ですが、それを凌駕する魅力が満々としてあるのではないでしょうか。
上海で中国戦略
約20年前には既に超高層ビルが林立していて、目を見張る光景が広がっていました。常に変貌と発展を続ける上海の姿を目の当たりにすると、どんな商売でも当たりそうな気がするから不思議です。
だからと言って、中国という膨大なマーケットの開拓をするべく、戦略を上海で考えるのなら、それは実は詮無いこと。上海の片隅で商売をするのなら別ですが…
上海には無いものが何も無いと言うけれども、実は、たったひとつ無いものが「中国のスタンダード」です。
上海は中国の中では、ひとつどころか四つも五つも頭抜けた巨大都市、言わば別世界です。
何とも皮肉なことですが、上海の中に居ては中国全体の状況は見通せないのです。「目光如豆」との謗りを受けかねません。
上海で中国ビジネス全体を考えようとするのは、例えば、東京で中国戦略を考えるのと同じようなもので、決して妥当な答えが出るとは思えません。突出した大都会、上海でどっぷりと浸かって中国全体の策を巡らすことは、残念ながら失敗の第一歩。
ならば、中国のスタンダードは何処にあるのだろうか…