大連と言えば清楚なアカシア 【忙里偸閑】 愛でる余裕を持ちたいもの

森茂ビルを背景に満開のアカシア(2018年5月)

 

大連の長い冬が終わると、つかの間の春がやってきます。そしてその後は一気に夏が来たかのように暑くなります。5月初旬には龍王塘や労働公園の桜が咲き、木々は芽を吹き新緑が萌え、そしてアカシアの花が咲き出します。「冬は必ず春となる」と耐え忍んだ寒さから解放され、みな息を吹き返したかのように感じるのがちょうどこの季節です。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

心曠神怡(しんこうしんい)

  • 中国語:心旷神怡   [ xīn kuàng shén yí ]
  • 出典:范仲淹(岳阳楼记)
  • 意味:心が伸び伸びととしてすがすがしいこと。

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朝気蓬勃

  • 中国語:朝气蓬勃   [ zhāo qì péng bó ]
  • 出典:毛泽东讲话(一二九运动的伟大意义)
  • 意味:若々しく、はつらつとしていること。

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忙里偸閑

  • 中国語:忙里偷闲   [ máng lǐ tōu xián ]
  • 出典:宋·黄庭坚《和答赵令同前韵》
  • 意味:忙中閑を偸む。忙しい中にも暇を見つけること。(忙中閑あり)

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善く恩を用うる者は妄(みだ)りに施さず

  • 中国語:善用恩者不妄施   [ shàn yòng ēn zhě bù wàng shī ]
  • 出典:呻吟語
  • 意味;恩を善用(悪用の反対)する人は、ちょくちょく物を施し与えるようなことはしない。(ここぞというときに豪華にやる)。会社でいえば、社内イベントなどの際に、ちまちまとやるのではなく、どうせやるなら思いっきりやった方が社員に記憶に残り効果が高い。

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記事:大連と言えば清楚なアカシア 【忙里偸閑】 愛でる余裕を持ちたいもの

少しの余裕を

 アカシアといえば大連、大連と言えばアカシア。日本の歌謡曲やポップスにも歌われ、また小説も刊行されています。

 「アカシア」の中国名は「槐花」。5月の中旬から下旬にかけて、大連の街のあちこちで見かけます。白いアカシアの花ことばは「優雅」だそうで、なるほど、アカシアの花はとても上品で清楚な花です。

 異国の地にあって、昼も夜も事業の発展のことばかり考える忙しい毎日の中で、オフィスから街に出た時には下を見ないで上を見ては如何でしょうか。

 ちょっと見上げるとそこには爽やかな風に揺れる白いアカシアの花が目に入ります。

 中国では「忙里偸閑(忙中閑あり)」。どんなに忙しくても、時には少し立ち止まり、上を見上げてアカシアの花に癒されてみる。そんな心の余裕を少しは持ちたいものです。

 

人も躍動

 森羅万象が蘇るこの季節。当時の大連では大連国際マラソンと国際徒歩大会というビッグイベントが続きます。大連ブルーの爽やかな青空の下で、花だけでなく寒い冬を耐え越えた人々も「朝気蓬勃」と躍動する季節です。

 いずれも政府主導のイベントですが、社員達の団結心醸成の一助とするために、マラソン大会の駅伝の部にエントリーすることにしました。もとより陸上競技経験者などは誰もいないのですが、参加することに意義を持たせたのです。

 前年の秋ごろから社内予選を行い、その中で選ばれた社員によってチームを構成。普段は営業や財務、現場の業務系社員など、マラソンなどには縁のないまったくの素人ばかりです。でも、目標タイムを自主設定し、冬場には毎週のように練習を重ねてきました。

 レース当日は一般社員も中継点で応援を行い、社員の団結という当初の目的は十分に果たすことができました。

 出場した社員達にはレース終了後、昼食をともにするご苦労さん会を設け、選手(社員)たちとの貴重な交流機会としても役に立ちました。

 

何と清々しい

 大連国際徒歩大会(ウオーキング)は、参加者が20万人にもなる大規模大会です。あまりにも規模が大きいので、その一週間前くらいに同じコースを歩く、会社独自のウオーキング大会を開催しました。

 社内で希望者はだれでも参加できるようにとの設定で約10キロを皆で歩きます。コースの途中には黄海を望む滨海路というドライブウエイがあり、その両側にはアカシアの花がちょうど満開になる、一年の中でも最もすがすがしい季節です。

 私も社員達と一緒に歩くこと約3時間。「神怡」、社員の仲間たちと語らいながらゴールを目指します。お昼ごろにはゴール地点に到着し、近くのレストランで参加したすべての社員と昼食を取ります。普段の仕事現場では難しい直接のコミュニケーションですが、オフサイトでは結構楽しいものです。

 

どうせなら

 さほども儲かっていないのに、社内リクレーションにお金をかけるのは如何なものかと、日本本社から言われたって気にしない。

 中国の呻吟語には「善く恩を用うる者は妄りに施さず」とあります。社員に対してちびちびと何回もお金を使うよりも、どうせなら年に一度の豪華版の春イベントにした方が効果的。

 意気に感じた社員達は喜びをもってその後の仕事に励み、投下したお金はちゃんと業績になって帰ってくるのですから。

 街のど真ん中にある森ビル(森茂大夏)の周辺にも街路樹としてアカシアが植えられています。忙しさにかまけて気づきにくいですが、実はあっちにもこっちにもアカシアが咲いているのです。清楚なアカシアの花を愛でる余裕が現役時代にもあればなあ、と反省。

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