【尾生之信】では成功は覚束ない 中国では臨機応変で臨むのが良い

大連・中山路の風景(2019年5月)

 

表向きは法治、内実は人治。広大な国家ですから地域によって経済状況などが異なり、それに応じた運用にも差異が出て来るのはやむを得ません。全国一律ではない環境の中で、日本から派遣された総経理はどのような物差しで舵取りをすればよいのか、悩ましいところです。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

機に臨み変に応ず(臨機応変)

  • 中国語:临机应变   [ lín jī yìng biàn ]
  • 出典:旧唐书(郭孝恪传)
  • 意味:時と場合などの状況に応じて弾力的機動的に対応すること。臨機応変。

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草草了事

  • 中国語:草草了事   [ cǎo cǎo liǎo shì ]
  • 出典:涌幢小品·实录
  • 意味:そそくさと事をかたずけること。いい加減に事を済ませることの例え。

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尾生之信(びせいのしん)

  • 中国語:尾生之信   [ wěi shēng zhī xìn ]
  • 出典:荘子(盗跖)
  • 意味:頑なに約束を守り通し融通がきかないこと。真面目過ぎることの例え。
  • 故事:春秋時代、魯の国の尾生という男が、一人の女性と橋の下で会う約束を交わしたが来なかった。そのうちに川が増水してきたが、尾生は立ち去ろうとせず女との約束を守ろうとした。遂に橋げたにしがみついて水死してしまった。

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山高く皇帝遠し

  • 中国語:山高皇帝远   [ shān gāo huáng dì yuan ]
  • 日本語表記:山高皇帝遠
  • 出典:黄溥(闲中今古录)
  • 意味:山に隔てられて皇帝の威力が及ばないこと。中央から離れている地方では法律や制度の束縛を受けにくいとの意。

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記事:【尾生之信】では成功は覚束ない 中国では臨機応変で臨むのが良い

おざなりでは

 中国では会社と社員は労働契約を交わすことで雇用関係が成り立っています。契約期間は別としてよほどでない限りは更新することになるのですが、ある時、勤務態度が良くないことが原因で、契約更新しないことにした事例がありました。

 そのまま本人に対し通告すると紛糾することも予測されたので、事前に弁護士に相談することに。とある日系法律事務所のアドバイスは、現地の法律に基づいて対応すればよいと。あまりの「草草了事」な対応に、ちょっと待ってくれ、こっちは現地で会社を運営しているのだから、そんなこと言われなくたってわかっている…

 承服しない社員は、もしかしたら政府機関に対して労働仲裁を申請するかもしれません。そうなると、個人重視の色が比較的濃い社会なので、概して会社が不利。

 そこでローカルの法律事務所にも相談。そこのアドバイスは、法律規定は重視しつつも、本人が納得する条件を見いだす努力をするのがよい。例えば法律上の条件を若干上回るお金を出すことなどです。つまり法律をベースにして現実的な解決策を、ということであった。

 

ガチガチも

 一応は法治国家といわれている中国ですが、日本のように判例や仔細にわたる規則、付則などが整備され、成熟した法治がこの地で行われているわけではないようです。

 事の成否は別として、合法の範囲の中で鷹揚に構える方が合っているのではないでしょうか。ガチガチの考え方は「尾生の信」であって、真面目過ぎはしないかと感じられます。

 「現地の法律に基づいて対応すればよい」とは「尾生の信」かもしれませんね。

 法律事務所以外にも会計事務所に税務処理の相談をするときも同じようなことが言えます。感覚は同様です。現地の会計事務所の方がよほど融通が利く(柔軟性に富む)のは言うまでもありません。もちろん、法律・規定の範囲を逸脱する法に違反するような行為は論外です。

 

実際は人治

 とにかく広大な中国。国の中央から離れている地方では「山高く皇帝遠し」と言って、法律や制度の束縛を受けにくいという。この古来の考え方は、交通も通信も発達している現代でも、多少の変化はあるものの、今もなお生きているようです。

 法律が粗いせいか、それを解釈したり運用するお役人によって言うことが違ったり、同じ人でもその時によって異なったりすることが珍しくありません。

 つまり現実はちょっぴりの法治と根強い人治と言う肌感覚。表向きは法治、内実は人治とも言えます。

 広大な国家ですから地域によって経済状況などが異なり、それに応じて法の運用も差異が出てくるのは理解できます。

 

総経理の舵取り

 幅広いグレーゾーンの中では、白黒の判断は人によることが多々あります。ここは人の判断がものをいう社会であって、則ち人治で回っていることを実感します。

 日本から派遣された総経理はどのような物差しで舵取りをすればよいのか、全国一律ではないところが悩ましいところです。

 人治の色濃い社会では、状況に応じて弾力的機動的に対応する「臨機応変」という考え方が不可欠であるといえます。しかしながら、そうはいってもおのずと限界があり野放図にはできません。

 そして、許される範囲はどこまでかは、遠く離れた日本本社にわかるわけはありません。そこは、現地の総経理にしかわからないのです。もし、総経理本人にもわからないのであれば、その企業の発展は深刻な問題を抱えることになるでしょう。

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