西遊記に【八仙過海】 個人主義でも最強チームを作ることができる…
経営者であれ社員であれ、会社組織に在って自分だけが成功者には成りえません。自分一人が仕事をしているのではない。自分の周囲や相手方にも関心を持ち気を払い協同するというチームワークの精神が必要です。皆が一緒に成功者になることが求められます。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
休戚共にす
- 中国語:休戚与共 [ xiū qī yǔ gong ]
- 出典:晋书(王导传)
- 意味:苦楽を共にすること。互いの利害が一致すること。「休」は喜び。「戚」は悲しみの意。幸福があれば共に享受し、禍があれば共同して防ぎ止める。
千人一面
- 中国語:千人一面 [ qiān rén yī miàn ]
- 出典:紅楼夢
- 意味:多くの人の顔の隈取り(中国伝統劇の俳優の顔の隈取り)が同じである、との意。どれもこれも似たり寄ったりで違いがないことの例え。
其の事 無きが如し
- 中国語:如无其事 [ rú wú qí shì ]
- 出典:官場現形記
- 意味:何事もなかったようにけろりとしていること。こともなげである。
八仙 海を過(わた)る
- 中国語:八仙过海 [ bā xiān guòhǎi ]
- 原文:八仙过海,各显神通(八人の仙人が各々の神通力を発揮して、海を渡るとの意)
- 出典:明代「西遊記」
- 意味:八人の仙人が各自の本領を発揮し競い合うこと。同じ目的を達成するために、それぞれ腕を振るって競う。
記事:【八仙過海】 個人主義でも最強チームを作ることができる…
隣はそ知らぬ顔
オフィスで、ある社員が見るからに忙しそうに。しかし、隣席の別の社員そ知らぬ顔。実は中国人社員は個人主義で、自分に与えられた範囲については責任を持つが、それ以外はケロッとしているのが普通。「如無其事」ということでしょうか。
自分の守備範囲には責任を持つとはいえ、他人のことは顧みず関心も示さない。自分だけが良ければそれでよしとする。彼らのそんな仕事ぶりは、それでいいのでしょうか。
これでは問題は…
例えば、顧客から届いたクレーム。幹部社員にその理由を尋ねても、各部門とも揃って「自分達の部門は責任を果たしている。よって問題は無い」との回答。まるで「千人一面」、みんな同じ顔。
確かにそれぞれの部門は責任をもって仕事をしているのであろうが、現実にはクレームがあるということはどういうことか。結果として顧客満足は得られないということになってしまう。
責任をもって仕事をしているというと一見して問題がないように見えるが、実はそこに問題が隠されている。「自分達の部門は責任を果たしている」と彼らが言うところのイメージはこんな感じです。
それぞれの部門が満点の仕事をしていても、会社全体から見ると真ん中に隙間が残るのです。よって自分の部門の責任は果たしても、会社としてのこの問題は永久に解決しません。
部門間の隙間を無くさないと顧客満足は得られない。顧客満足が得られなければ業容の大きな拡大は期待できない。結果として社員の生活が今以上に豊かにはなりません。
各人が本領発揮
言葉を変えるならば、自分の守備範囲には責任を持つ、というのは他のことは知りません、ということと背中合わせ。いわば個人主義そのものです。
ではどうすればよいのか。実は、それぞれの部門は仕事の範囲を少し広げると、部門ごとの重なりが現れ、同時に中央にあった隙間も解消します。これが解決の秘策です。
つまり、自分の部門が担当する範囲は専門分野として、他の部門への関心と関わりを持つことは互いの共通部分として、いずれにも責任をもって実行することを意味します。
守備範囲を広げると他の部門との関わりが発生し、どうしても協同することが必要になります。これはチームプレにほかなりません。
しかし、もともと個人主義的な色合いが濃い中で、団結しようだとか、お互いに協力しようとか言っても、それだけでは、ただ言っただけの掛け声倒れに終わってしまうのは明らかです。
中国古典の西遊記にある「八仙過海」とのことわざのようでなくてはなりません。エンジンを管理する人、甲板を掃除する人など、違う部門がそれぞれ役割を分担しそれぞれの本領を発揮し競い合うということです。
同じ船に乗り、目標とする方向に向かうには、自分の守備範囲の責任を果たすとともに、他の部門にも関心をもって協調を図ることが大切です。
個人主義に加えるべきは
会社組織も同じようなもので、たまたま同じ船に乗り合わせ仕事をしている社員。男性も女性も、中国人も日本人も、若い人も、そうでない人も、いろいろな人がいてそれぞれ受け持ち部門で仕事をしています。
一人ひとり役割は違いますが、同じ目的地に向かう船に乗っているようなものです。言ってみれば、「休戚与共」ということわざのように、苦楽を共にする仲間であり「運命共同体」とも言えます。ですから乗っている船が正しい方向に進むかどうかは、みんなの肩にかかっています。強力な個人主義だけでなく、お互いが相手を認め尊重する。仲間同士の競争を行い、同時に仲間と協調するというチーム精神が加われば最強の個人主義者チームができる。自分のことだけではなく他の人のことも併せ考える自他共の精神が不可欠です。