【己を推して人に及ぼす】 あんな上司は願い下げと言われるようでは…

大連労働公園の見事なふじ棚(2019年5月)
人の性格は十人十色。とはいえ、並外れた個性の上司の下では部下も大変。特に中国現地会社では、どうにもならないことにも…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
意気相投
- 中国語:意气相投 [ yì qì xiāng tóu ]
- 出典:范张鸡黍
- 意味:同じような興味や性格を持つ人。意気投合すること。
己(おのれ)を推(お)して人に及ぼす(推己及人)
- 中国語:推己及人 [ tuī jǐ jí rén ]
- 出典:論語(卫灵公)
- 意味:人の身になって考える事。他人の立場に立って自分のことのように考え、他人を思いやること。
桀驁不馴(けつごうふじゅん)
- 中国語:桀骜不驯 [ jié ào bù xùn ]
- 出典:漢書(匈奴传)
- 意味:「桀驁」とは、馴れない荒馬のことで、乱暴で服従しない人の例え。手ごわく一筋縄ではいかないこと。
出人意料
- 中国語:出人意料 [ chū rén yì liào ]
- 出典:南史(袁宪传)
- 意味:人の意表を突く。思いがけない。突飛であること。
其の能に衿(ほこ)れば、厥(そ)の功を喪(うしな)う
- 中国語:矜其能,丧厥功 [ jīn qí néng, sàng jué gōng ]
- 出典:書経
- 原文:有其善,丧厥善;矜其能,丧厥功。(其の善を有りとせば、厥(そ)善を喪い、その能に衿れば、厥の功を喪う)
- 意味:何か良いことを自分の功績として誇ると、その功績は失われる。また、自分の才能を自慢すると、その功績も失われてしまう。
不屑一顧(ぶせついっこ)
- 中国語:不屑一顾 [ bù xiè yī gù ]
- 出典:方孝孺(送吏部外郎龚彦佐序)
- 意味:ちょっと振り返って見る値打ちもない、との意。さげすむ、軽蔑すること。
- 中国語:唯利是图 [ wéi lì shì tú ]
- 出典:左傳(成公十三年)
- 意味:他のことには目もくれず、ただ利益だけを追求する、との意。
記事:【己を推して人に及ぼす】 あんな上司は願い下げと言われるようでは…
凡人には理解不能
「こんな上司とは二度と一緒に仕事をしたくない」、と思える上司が時として現れる。長いサラリーマン生活の中でのことだが、日本勤務時代にそんな上司がお二人いました。
そんなお二人ですが、何人かの部下を持つ管理者ですから、それなりの実績を挙げていることは間違いないのですが、何せ灰汁が強烈。凡人の部下にとっては、あまりにも「出人意料」な上司は願い下げといきたいところ。
部下は大変
しかし残念であるが、部下にとっては上司は選べない存在。部下社員としては如何ともしがたく、仕事上のお付き合いを始めるも、強烈な個性を前にして太刀打ちがかなわない。「桀驁不馴」には勝てなかった。
それにしても、その後もずっと管理者を張っていた所を見ると、中には「意気相投」した部下がいたのか、部下の皆は我慢強かったのであろうか、それとも…
自己中心の上司
ところで、日本本社から中国現地会社に派遣された、日本人総経理(社長)。慣れない環境の中で奮闘している人が多い中で、どうも現地のことが眼中に無いように見受けられる人が…
例えば、現地社員にモチベーションを高める働きかけをする様子も感じられない。積極的に現地顧客を訪問するわけでもない。現地会社の責任者であるにもかかわらず、だ。ましてや、社員やその家族がどんな生活をしているのかなどにはまったく興味が無い。
どうも、彼の頭の中は、早く日本に戻り、それなりの役職を得る事だけのようである。考えているのは自己の帰国と出世のみ。それでは「唯利是図」の人だと思われてもしようがない。
本人にとっては、望んではいなかった人事であったのかもしれません。しかし、そんな人の下で働かねばならない現地社員は、それこそ「望んではいない」はずなのですが・・・
偉ぶると
もうひとつ、いただけない総経理のタイプは、俺の言うことを聞け、とばかりに上から目線で部下に接する総経理。自身の日本での少しばかりの実績をひけらかすなど、お里が知れるというもの。
中国ですら、といえば大変失礼であるが、「其の能に衿れば、厥の功を喪う」というではないか。
こんなことでは、いずれ、現地社員から「不屑一顧」されることとなり、業績向上どころの話では亡くなるというもの。日本人としての謙譲の美を少しは持っておきたいものです。
成功への第一歩
現地会社において総経理(社長)は確かにトップであることは違いない。運転手付きの車で通勤し、会社では「総経理、総経理」と呼ばれ、高級マンションに居住…
しかし、そうであっても、舞い上がってしまっては奈落に自ら堕ちることになりかねない。
そこで、自分は雲上人ではない、謙虚に行こうと、冷静に思えるかどうかが、自身のミッションに対する成否の別れ道。
時に現地の日本人コミュニティで耳にする、一流人材は本社に抱え、中国に来るのは二流だとの自虐の言葉。
例え二流であろうとも、部下を持つ立場にある人は、「己を推して人に及ぼす」と社員達に寄り添う気持を持つことが成功の第一歩であろう。冒頭の、「いただけない日本人」の方々には、ハードルは少々高いかもしれませんが。