【煥然一新】 元旦・春節の時節 スタートダッシュを利かせたいのだが
中国では1月から始まる新会計年度。そこで、スタートダッシュを利かせたいのだが、如何ともしがたい浮ついた空気が社内に漂う…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
海底の月を撈(すく)う(海底撈月)
- 中国語:海底捞月 [ hǎi dǐ lāo yuè ]
- 出典:释元觉(永嘉证道歌)
- 意味:海底の月をすくう、との意。転じて、全く望みの努力をすることの例え。無駄骨を折ること。
煥然一新
- 中国語:焕然一新 [ huàn rán yī xīn ]
- 出典:唐・張彦遠
- 意味:目を見張るほど物事が新しくなること。「新年」を形容した言葉。
心浮気躁
- 中国語:心浮气躁 [ xīn fú qì zào ]
- 出典:京华烟云
- 意味:浮ついていて落ち着いていないこと。
洗耳恭聴(せんじきょうちょう)
- 中国語:洗耳恭听 [ xǐ ěr gōng tīng ]
- 出典:皇甫谧(高士传·许由)
- 意味:丁重に相手の話を聴くこと。
独り蹊径を闢(ひら)く
- 中国語:独辟蹊径 [ dú pì xī jìng ]
- 出典:原诗(外篇上)
- 意味:独自に道を切り開くこと。「闢」は切り開く、開拓する、との意。「蹊径」は路、やり方、やり方などの意。
記事:【煥然一新】 元旦・春節の時節 スタートダッシュを利かせたいのだが
新年2度目の決意
中国で「新年」といえば、勿論旧正月の春節。「煥然一新」といわれるように、春節を以って旧新の切り替えが行われます。春節が年越しであり、そこでひとつ歳を取る。全てのものが、光輝く新しい年に一新されるのです。
旧暦の春節は概ね毎年1月中旬から2月上旬にやってきますが、そこに焦点が当てられ、世間の流れは一気に春節旧正月モードに。年に1度の、最大にして最高の中国の行事ですから、街ではイルミネーションが輝き、ショッピングセンターでは新年の飾り物が大量に売られています。
1週間の春節長期休暇が明けると、総経理(社長)も現地社員も、ようやく新しい気持ちで仕事始めに臨みます。この1年、仕事に頑張るぞと決意するのは、新年度に入って実は2回目のこと。
気もそぞろの中で決意
中国では1月1日から新しい会計年度が始まります。従って、短い元旦休みが明けた新年度初出勤の日、今年も頑張るぞ、と1回目の決意をするのです。
新年早々に、今年の会社方針や目標、また達成のための具体策等について、社員の皆に説明し、精一杯の努力を訴えて新年度がスタート。
しかし、どうにも反応が鈍い。懸命に話しているのだから「洗耳恭聴」してくれよ、と腹の中で思うが…
実は、元旦と言っても単なる普通の祝日に過ぎず、特に改まった気分、雰囲気は感じられません。むしろ、間もなくやってくる年間最大イベントの春節が気になって、総経理の話に気分が乗らないのも無理からぬこと。
社内でも故郷に帰る準備をする社員や長期休暇を心待ちにする社員達。彼らに何を言っても、もうどうにもなりません。
2か月続く「おめでとう」
この時期、しゃかりきになっても、所詮は「海底撈月」。頑張ろうとの掛け声は空しく響くだけ。社員達は気もそぞろ。早めの休暇を取って田舎に帰る社員がちらほら出てくるころには、その空気が顕著に。
ほんの2か月前の前年の12月は年度末であったと同時に新年度の予算作成など多忙を極めていました。そして元旦を迎え、現地の日本人コミュニティでは「新年おめでとう」の挨拶が飛び交い、松の内には現地日本商工会主催の新年賀詞交換会が開催。
その後間もなく、今度は春節を迎え、中国人社会では「過年好」、「年越しおめでとう」と。
2か月の間ずっと、「おめでとう」と言っているのです。
3度目の決意
その頃、日本では3月末の決算に向けて、躍起になって業績拡大に励んでいます。そんな日本に頼ることはできません。まして、現地事情は知る由も無く、結局、現地会社の運営は、「独り蹊径を闢く」ことになります。
年初の2か月ほどは「おめでとう」で過ぎてしまい、春節が終わって田舎に帰っていた社員達が戻り、顔ぶれがそろった頃には、第1四半期の終わりが目の前。
想像以上に盛り上がる春節休暇のあおりで、会社業績はきわめて平凡なものとならざるを得ません。
その緩んだ軌道を、残り9か月間で年間目標を達成すように計画修正。そのことを社員たちに説明し、ここで3回目の決意を促す時期でも有ります。
いっそのこと
春節前後の3か月間、ピリッとしない社員達を前にしてゴリゴリ責め立てるのも、如何なものか。春節のために1年間頑張ってきたと言っても過言ではないと考える社員達。その気持ちに理解を示すのも総経理(社長)のあるべき姿ではないでしょうか。
いっそのこと、総経理自身もこの時期の「心浮気躁」を味わうのもよいかもしれません。社員達の気持ちになって…