【時に順じ而して動く】 中国で白酒ではなくワインのソーダ割りだと…

ほどなく開く宴席 大連のレストラン(2017年11月)
中国・東北部でよく飲まれる「白酒」。宋王朝時代を淵源としているだけあって、生活に根付いている。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
瓊漿玉液(けいしょうぎょくえき)
- 中国語:琼浆玉液 [ qióng jiāng yù yè ]
- 出典:九思(疾世)
- 意味:美しい翡翠から作られた液体。美酒のこと。古代中国では、これを飲むと不老不死になれるという伝説がある。
酒 極まれば則ち乱る(酒極則乱)
- 中国語:酒极则乱 [ jiǔ jí zé luàn ]
- 出典:史記
- 原文:酒极则乱、乐极则悲(酒極まれば則ち乱れ、楽しみ極まれば則ち悲しむ)
- 意味:酒を飲みすぎると乱れることがあり、楽しみを極めると悲しみに変わることがある。何事も度を越すことはよくないことの例え。
神采飛揚
- 中国語:神采飞扬 [ shén cǎi fēi yáng ]
- 出典:李东阳·
- 意味:表情が生き生きとしていること。「神采」は、優れた風貌のこと。「飛揚」は、飛んで高く上がること。
坦然自若
- 中国語:坦然自若 [ tǎn rán zì ruò ]
- 出典:紅楼夢
- 意味:静かで落ち着いていて、常態であること。
時に順じ而して動く(順時而動)
- 中国語:順時而動 [ shùn shí ér dòng ]
- 出典:左傳(隐公十一年)
- 意味:時勢や状況、機運に順応して行動する、との意。
百里にして習わしを異にす(百里異習)
- 中国語:百里异习 [ bǎi lǐ yì xí ]
- 出典:晏子春秋·问上
- 意味:百里も遠く離れていると、その土地によって風俗や習慣が異なる、との意。
「白酒」についてはこちら
https://jita-tomo.net/2022/04/16/feast/
記事:【時に順じ而して動く】 中国で白酒ではなくワインのソーダ割りだと…
顔をしかめる美酒
「まずは生」、日本の飲み会ではこれが定番。中国・東北部での飲酒を伴う会食の時は、それが社内であれ取引先との宴席であれ、専ら「白酒」の乾杯から始まる。白酒こそが「瓊漿玉液」とばかりに。
「白酒」は中国発祥の蒸留酒で、多くの銘柄の中でアルコール度数50度を超えるものもあります。乾杯用の小さなグラスとはいえ、注がれた白酒は独特の香りで、しかも相当きつい酒なのです。同席の中国人の皆さんも、慣れているはずなのに、顔を顰めながら乾杯を繰り返しています。尋常ではない白酒愛を感じたものです。
過ぎると
会社のある古参の中国人社員の酒に纏わる出来事。いつもは「神采飛揚」、元気いっぱいで出勤してくるのだが、その日は、どこか浮かない顔つきで元気もない。
聞いてみると、その前夜、友人たちと飲みすぎて意識を失い、気がつけば財布などの貴重品が無くなっていたとのことであった。いつもの元気はどこへやら、しょげかえっていた。白酒には慣れ親しんでいる彼らでさえ「酒 極まれば則ち乱る」との結果となるのだ。
ぬるいビール
そして、宴席の最初に注文した白酒の瓶が空になると、「次はビールを」ということになります。注文するのは常温のビール。一般的な中国人は、冷たい飲み物は身体によくないと考えているので、常温がスタンダードなのです。
冷えていないビールなんて飲めたものじゃないと思いますが、「百里にして習わしを異にす」、飛行機で2、3時間移動しただけですが、ビールにも確かに異なる習慣があるということです。
ただ「ビール」とだけ伝えて注文すれば、出てくるのは常温ビール。冷えたビールを飲みたければ、そう告げなければなりません。
ビールに氷
ビールについてはこんなことも…
地元では名の通った中国人経営の日本料理店。日本からの友人と共に食事に行った時のこと。
日本料理店では、さすがにビールは冷えたのが主流なのだが、念のために「冷えた」を強調してビールを注文した。ところが出てきたのは冷えていない生ぬるいビール。
それを指摘すると、その店員さんは、不愛想に氷の入ったアイスペールを持ってきた。氷を入れて飲め、とばかりの態度たるや「坦然自若」そのもの。文句を言う気力も失せてしまった。友人も呆れた様子。
冷えたのを、或いは常温を、と習慣の違いを理解し、対応するのも現地生活を楽しみ、仕事を成功裏に導くことに通じるというもの、そう理解した。
ワイン炭酸割り
白酒の乾杯から始まる中国の宴会・会食ですが、2010年頃からワインが流行り出しました。経済の成長と共にハイソサエティ感を楽しんでいるようにも感じました。
ただ、飲み方がユニーク。グラスに注がれたワインを、別に注文した甘みのある炭酸飲料で割って飲んでいるではないですか!
安くないワインをそんな飲み方をするのは、何と邪道なことか、とも思いましたが、試しに同じ飲み方をしてみると、これが飲みやすくて結構美味い!
ある時、同じように「ワインの炭酸割り」を少々自慢気に飲んでいると、同席していた中国人が、「そんな飲み方をするのはワインに失礼だ。ワインとはそのままで飲むものだ」と…
「どの口が言うてんねん」と言いたかったけれど!
ことほど左様に、変化の激しい中国では何事も「順時而動」。世の中に、目を凝らしていないと、いつの間にかおいて行かれますぞ…