【百尺の竿頭】 昨日より今日 今日より明日という努力が成功の因

大連・労働公園のハス池 夏場はハスで覆われます(2015年9月)

 

中国現地会社の総経理(社長)として赴任することになった。日本で中間管理者として努力精進してきた事が評価され、サラリーマン冥利に尽きるというもの。しかし、喜んでばかりいられない…

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

敬老尊賢

  • 中国語:敬老尊贤   [ jìng lǎo zūn xián ]
  • 出典:説苑(修文)
  • 意味:老人を敬い、賢人を尊ぶ。年長者を敬い、賢明、徳のある人を尊敬する、との意。

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慈烏返哺(じうはんぽ)

  • 中国語:慈乌返哺   [ cí wū fǎn bǔ ]
  • 出典:梁武帝(孝思賦)
  • 意味:「慈烏」は、カラスの一種。「反哺」は口移しで餌を与えること。成長したカラスが、口移しで老いた親に餌を与えて幼時の恩を返す、といわれていることから。子が親の恩に報いること、つまり親孝行をすることの例え。

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士は以って弘毅ならざるべからず

  • 中国語:士不可以不弘毅   [ shì bù kě yǐ bù hóng yì ]
  • 出典:論語(泰伯章)
  • 意味:リーダーたる者、「弘毅」でなければならない、との意。「弘」は、見識が広い事、「毅」は意志力が強いこと。

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動盪不定(どうとうふてい)

  • 中国語:动荡不定   [ dòng dàng bù dìng ]
  • 出典:陶菊隐(北洋军阀统治时期史话)
  • 意味:「動盪」は、波のように激しくうねることや、情勢が不安定であること。情勢や状況などが不安定で、定まらない状態のこと。

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百尺の竿頭、更に一歩を進む

  • 中国語:百尺竿头,更进一步   [ bǎi chǐ gān tóu,gèng jìn yī bù ]
  • 出典:吴融(商人)
  • 意味:百尺(約30メートル)もある長い竿の先端にあっても、更にもう一歩踏み出す、との意。例え高い地位に達していても、留まることなく更に向上するよう努力することの例え。

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記事:【百尺の竿頭】 昨日より今日 今日より明日という努力が成功の因

息子の恩返し

 年老いた母を負んぶした息子と、二人を取り囲むような何人かのグループが、とあるレストランに入ろうとしていた。察するに、子供達や親戚が集り、その老いた母の誕生日のお祝いのため楽しい食事をしようとしているようだ。

 上海駐在時代に偶然、街で見かけた光景ですが、見た目にも親思いに溢れた姿であったことを思い出します。

 負んぶしていた息子さんにとっては、まだまだ発展途上で豊かとは言えない中、苦労して育ててくれた親に、「慈烏返哺」と、今度は自分が親孝行するのだという、親を大事にする気持が伝わってきます。

 

麗しい体験

 一般的にも、年長者を大事にする風潮はそこここに感じることができます。

 大連時代、路線バスに乗った時の体験です。その日は休日で、座席は満席であったので、吊り革を握って立っていたところ、前に座っていた学生らしき女性から、どうぞと席を譲ろうとしてくれたのです。思ってもいなかった出来事に気恥ずかしさを感じながら、内心では、まだそんな年齢ではないのだが、と思いつつ、生まれて初めての体験をしました。日本では、未だに席を譲ってもらったことはありません…

 中国では、生活の中に「敬老尊賢」の考え方が根付いているのです。

 

実力だけでは

 中国現地会社の中でも年長者を大事にするのは同様です。

 自分よりも年上の男性社員に対して、「老」という年長者に対する尊称をつけて呼んだりしています。例えば、李さんには「老李」と声をかけるという具合です。

 また、会社組織を構成するうえで、留意すべきは責任者の年齢です。一部門の責任者然り、会社の責任者である総経理(社長)も然り。

 構成者の中で、能力もあり年長者でもある人が責任者を務めるのが最もよい姿ですが、そうではない時は、「動盪不定」、ギクシャクした組織になってしまいかねません。マネジメント力はあるが、構成メンバーの中では年齢が若い場合などが要注意です。実力主義一本槍では現地会社はうまく回らないことがあります。

 

肝に銘ずべき

 では、それなりの実力を持った年長者を日本から総経理として送り込みさえすればよい、というのであろうか。

実はそうとはいえません。何しろ、本人は「中国一年生」なのですから、広い意味での実力は現地社員には及びません。一刻も早く現地理解など、総経理としての能力を身につけなければなりません。

 体制や習慣が大きく異なる中国における日本人総経理は、特に「士は以って弘毅ならざるべからず」との言葉を肝に銘じ実践しなければならないといえます。

 

不退の決意で

 そして、総経理として、そこそこの力を身につけ、現地社員達からも認められ、そこで、もし「これでよし」などと思ってしまったのなら、それは失敗への始まりに過ぎません。

 そうではなく、「百尺竿頭」、現状に満足せず、更に前へ、もう一歩先へ、という努力が求められます。大事なことは不退転の決意であり、その基本には謙虚な考え方が無ければなりません。

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