【哭する人に対しては笑うこと勿れ】 人生の喜怒哀楽 大切な思いやりの心

大連・中山路(2019年5月)

 

中国現地会社の総経理(社長)である自分を支えてくれている部下社員。そんな彼等にも人生の出来事が起きる。その時、どうする?

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

愁うる人に対しては楽しむこと勿れ、哭する人に対しては笑うこと勿れ、失意の人に対しては矜ること勿れ

  • 中国語:对愁人勿乐,对哭人勿笑,对失意人勿矜   [ duì chóu rén wù lè, duì kū rén wù xiào, duì shī yì rén wù jīn ]
  • 出典:呻吟語
  • 意味:憂いに悩む人に対して楽しんだり、泣いている人に対して笑ったり、失意の人に対して驕ってたりしてはならない。他者の感情に寄り添い、思いやりのある行動を心がけることが重要である。困難な状況にある人々に対しては、配慮と共感が不可欠である。

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喜気洋洋

  • 中国語:喜气洋洋   [ xǐ qì yáng yáng ]
  • 出典:范仲淹(岳阳楼记)
  • 意味:目出度い雰囲気に満ちていること。喜びが満ち溢れている様子。

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号啕大哭(ごうとうたいこく)

  • 中国語:号啕大哭   [ háo táo dà kū ]
  • 出典:周易(同人)
  • 意味:大声で泣き叫ぶこと。「号啕」はわめき叫ぶこと、「大哭」は大声で激しく泣くこと。

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尖酸刻薄

  • 中国語:尖酸刻薄   [ jiān suān kè bó ]
  • 出典:·陈抟(心相编)
  • 意味:辛辣である、との意。「尖酸」は言葉がとげとげしいこと。「刻薄」は手厳しいこと。

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悲歓離合

  • 中国語:悲欢离合   [ bēi huān lí hé ]
  • 出典:蘇軾(水调歌头·明月几时有)
  • 意味:悲しみ、喜び、別れ、出会いなど、人生の様々な出来事や移り変わりを指す言葉。

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老者は之を安んぜしめ、朋友は之を信ぜしめ、少者は之を懐かしめん

  • 中国語:老者安之,朋友信之,少者怀之   [ lǎo zhě ān zhī, péng yǒu xìn zhī, shǎo zhě huái  zhī ]
  • 出典:論語(公冶长)
  • 意味:年長者からは安心され、同輩からは信頼され、年少者からは懐かれる。

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記事:【哭する人に対しては笑うこと勿れ】 人生の喜怒哀楽 大切な思いやりの心

悲しみに

 悲しい気持ちはわかるが、それにしてもこちらが恥ずかしくなるような「大哭」のある参列者の姿。

 肉親を亡くした社員の悲しみはいかばかりであろうか。最後のお別れに際し、打ちひしがれた社員の気持を考えると、掛ける言葉が思いつかない。

 中国では「喪服」そのものが無く、ごく普通のビジネススーツで、しかも出勤途上での葬儀参列という、日本とは大きく異なる習慣。ではあるが、肉親を亡くした悲しみは誰にしても同じである。

 人前で号泣する「泣き女」という商売があるそうだが、それにも意味があるという。

 

喜びに

 中年おじさんは、人生の途上での様々な出来事を経験して、多少のことではたじろがない。しかし、現地の若い社員達にとっては「悲歓離合」のそれぞれの出来事に、時には直面し大変な思いをしているであろう。

 尤も身内の不幸事に比べれば、自分の結婚や子供の誕生は「喜気洋洋」の出来事だ。そんな時に、自分の上司である総経理(社長)から、掛けられた一声によって嬉しさをかみしめることになるであろう。

 

失意の底に

 また、自身の突然の大病や、家族が突然の事故に遭遇したりというようなことも有り得る。

 ある社員は、会社の健康診断で腎臓の異常が発見され、移植以外に助かる路はない、との診断がくだされた。また、社員の奥さんが圧力鍋を使って料理中に、締めたはずの蓋が吹っ飛び、奥様の顔面を直撃、大けがを負った、という事故もありました。そんな出来事に遭遇した社員のショックは想像するにあまりある。

 総経理としては、失意の底に落とされた当の本人や家族に対して、その気持ちを考え、彼らに寄り添い、同苦したいものです。

 もちろん、「愁うる人に対しては楽しむこと勿れ、哭する人に対しては笑うこと勿れ、失意の人に対しては矜ること勿れ」の配慮は欠かせません。

 

人間同士

 中国事業を展開する会社の総経理として、時には仕事上で「尖酸刻薄」といった厳しい言葉を発しなければならないことがあります。

 一方で、仲間でもある社員の身に事が発生した際には、総経理として寄り添うことが求められます。総経理を支えているのは彼等であることに他ならないのだから。

 それは、「コツ」や「テクニック」という概念ではなく、「人間と人間の心の関わり」という見方で部下社員と向き合うということです。

老者は之を安んぜしめ、朋友は之を信ぜしめ、少者は之を懐かしめん」という概念を体現した指導者となるために、総経理たるもの日々の精進により自分を磨くことが求められます。

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