【跛鼈も千里】 ぬるま湯からの脱却 競争意識を根付かせたいのだが
同僚社員は仲間同士であり友人同士でもあることはもちろん理解できる。しかし、そんな社員間でお互いに競争することには気が進まないようだ…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
一攫千金
- 中国語:一攫千金 [ yī jué qiān jīn ]
- 出典:列子(说符)
- 意味:冒険的な手段によって突然大金を稼ぐ、との意。一掴みで千金を得ること。
顔面掃地
- 中国語:颜面扫地 [ yán miàn sǎo dì ]
- 出典:湖南农民运动考察报告
- 意味:「顔面」は体面、面子のこと。「掃地」は失墜すること。
足智多謀
- 中国語:足智多谋 [ zú zhì duō móu ]
- 出典:连环计
- 意味:知恵に富み知略にたけていること。
跛鼈(はべつ)も千里
- 中国語:跛鳖千里 [ bǒ biē qiān lǐ ]
- 出典:荀子(修身)
- 意味:「跛鳖」は足が不自由な鼈(すっぽん)のこと。足の悪いすっぽんでも、歩き続ければ千里の距離を移動することもできるとの意。努力を続ければ、能力が劣っていても成功するということの例え。
半斤八両
- 中国語:半斤八两 [ bàn jīn bā liǎng ]
- 出典:五灯会元
- 意味:似たり寄ったり、ドングリの背比べの意。(斤も両も重さの単位。1斤は16両、半斤は8両であることから「半斤」も「八两」も言い方は違っていても結局は同じ量であることから)
※「大鍋飯」の解説についてはこちらから »»(継続は力 「一日一銭、千日千銭」 の努力が成功に繋がる)
記事:【跛鼈も千里】 ぬるま湯からの脱却 競争意識を根付かせたいのだが
団栗の背比べ
日中合弁企業として設立され6年を経過した2000年4月に、総経理(社長)として赴任した。当時は約90名の現地社員が在籍していました。
駆け出しで、まだまだ小規模会社でもあり、外資企業といっても能力的にずば抜けた現地社員がいるわけはありません。「半斤八両」の社員達の協力を得て、右肩上がりの会社業績を挙げるにはどうすればいいのであろうか。
現状に満足してしまうと、いつまでたっても「1+1」は、よくて「2」止まり。下手をすると「2」すら出てこない。そんなぬるま湯状態から脱して、少しは緊張感のある組織にしないと、会社の発展拡大は夢物語。
そこで、社員達に個個人の能力向上のための働きかけを行うことが必要となりますが、そう簡単には…
競争を回避
社員間に競争意識を芽生えさせ、お互いが磨き合う。それによって一人一人が能力を引き上げることになるはずです。まずは、社員達にその訴えをしたところ、「よし、面白そうだ、やってみようじゃないか」という反応を期待したのですが…
残念なことに、賛意は皆無。中にはこんな意見も。「同僚社員は皆友人でもあるので、競争すると大事な友人を失くすことになってしまう。だからそんなことはできない」と。
ライバル同士が切磋琢磨する意識などはまったく感じられません。
ひょっとしたら、もし負けた場合は「顔面掃地」、更には折角掴んだ外資企業での職をも失うことになりかねないといった、最悪の事態を回避しようとしたのかもしれません。
しかしながら、社内に競争意識を根付かせることで、延いては社員自身の生活を少しでも豊かにできることを確信し、責任者として取り組まねばなりません。
知恵の見せ所
彼らの親世代は「大鍋飯」の世であった。その名残からか、社員達にとっては、まだまだ「競争する」ということには不慣れで、時には拒否感さえも漂う。
しかし、お互いに競争することで、双方共に能力を引き上げることが期待され、その結果、組織としての能力も底上げが可能となる。
であるならば、会社運営を担う総経理(社長)として、彼らが納得できるような方法と説得をしなければなりません。自らの経験と知識に加え、現地の事情に応じた策をあみ出し…と、まさに「足智多謀」、ここがリーダーとしての腕の見せ所なのです。
カメに習え
組織能力の底上げを図る上で、もうひとつの問題は、コツコツと努力をすることを好まない、「一発勝負型」と思える社員が少なくないこと。
彼らは、「一攫千金」の如く、楽をして一挙に営業成果を掴み取ろうと企む。しかし、そんなうまい話はそうは無い。
もし、大口の営業成果を得られたとすれば、それは日頃の「コツコツ」の努力がベースにあってのことか、或いは極めて稀なラッキーに遭遇してのこと。
中国市場にあっても、営業開発部門の成否は、コツコツとした努力を継続することができるかどうかにあります。「跛鼈も千里」、成功者に共通するのは、「コツコツ努力」であるはずです。