【一朝一夕】にはいかないからこそ 【艱苦奮闘】の姿をありのままで
総経理(社長)として現地に新しく赴任した日本人。選ばれて送り込まれたとはいえ未だ発展途上の一般人。現地にあっては勘違いも働いたり… さて、どうする?
成功のヒント 中国ことわざ・格言
一朝一夕
- 中国語:一朝一夕 [ yī zhāo yī xī ]
- 出典:周易(文言)
- 意味:わずかな時間の例え。
- 原文:臣弑其君,子弑其父,非一朝一夕之故,其所由来者渐矣。(臣にしてその君を弑し、子にしてその父を弑するは、一朝一夕の故にあらず)家来が君主を殺したり、子が親を殺したりするようなことは、ある日突然起こるのではなく、長い年月を経て、やがて起きてしまうような出来事である、との意。
訓えと為すに足らず(不足為訓)
- 中国語:不足为训 [ bù zú wéi xùn ]
- 出典:胡应麟(诗薮续编)
- 意味:模範とするに足らないこと。手本にならない。
艱苦奮闘
- 中国語:艰苦奋斗 [ jiān kǔ fèn dòu ]
- 出典:崇高的理想
- 意味:苦しいなかでも力の限り戦うこと。「艱苦」は辛く苦しい状況。「奮闘」は力を尽くして戦うこと。
汝南月旦
- 中国語:汝南月旦 [ rǔ nán yuè dàn ]
- 出典:後漢書(许劭传)
- 意味:品定めすること。汝南(じょなん)は河南省の地名。汝南には毎月の初めに人物を評する「月旦評」と呼ばれる習慣があったことから。
発憤し強きを図る(発憤図強)
- 中国語:发愤图强 [ fā fèn tú qiáng ]
- 出典:論語(述而)
- 意味:向上しようと発奮すること。
目は睫を見ず
- 中国語:目不见睫 [ mù bù jiàn jié ]
- 出典:韓非子(喻老)
- 意味:自分の睫は見えない。自分のことは知らないことのたとえ。
記事:【一朝一夕】にはいかないからこそ 【艱苦奮闘】の姿をありのままで
品定め
ビルの給湯室で社員同士の井戸端会議。社員食堂では同僚とランチをとりながらおしゃべり。話題は専ら新しく赴任した日本人総経理(社長)のこと。
私たちの新しい「領導(リーダー)」はどんな人? 中国語はできるの? 等々喧しいほどの「汝南月旦」が。
気づかない自分
社員達のそんな品定めは「いい人だったらいいのにな」という期待感も入っているように感じます。
しかし、どんなに期待されても、実は、日本では一介のサラリーマン。何故、中国現地会社の責任者として派遣されたのかもよくはわからない。
それでも、とにかく現地会社の中では頂点に立つ権力者。周りからは「総経理、総経理」と呼ばれ、近づいてくる人も少なくない。
ならば、部下社員達を睥睨し尊大に接する事もできる。そんな日常が昂ずると、平日はカラオケ通い、週末にはゴルフ三昧。それでも誰からも文句は言われない。そうなると「目は睫を見ず」と、自分のことはわからなくなってしまいます。
これではと
残念ながら、それでは「不足為訓」。任された会社が崩壊するであろう直前に、赴任時の新鮮な気持ちを思い出し、仕事も少しはしておかないと気づいた。
自分に対する本社からの評価に影響しかねないことも気にしつつ、さほどの人徳もないのに、現地社員の皆に語りかける。
上からの目線で尊大ぶった態度では、社員の協力は得られないことがわかったが、どうすればスムーズな会社運営が可能か、社員達が生き生きと仕事ができるのか。
まだまだよくはわかっていない現地の習慣や考え方の中で、日々発生する想定外の出来事に翻弄されながら「艱苦奮闘」が続く。
自他共
実は、そんなありのままの総経理の姿に、社員達は「真摯な態度」を感じ、そして彼らに協力しようという気持が芽生える。そして「発憤図強」の総経理の態度が社員にも伝染し、双方の信頼関係も醸成されてくるのです。
総経理が徳を具え、人格豊かに社員達に接することは「一朝一夕」にはいかないことであるのはもちろんであるが、一歩でも前に進もうとする真摯な努力なら自分にもできそう。
そして、相手のことを思う「自他共」の考え方が芽生えたならば、会社運営は成功軌道に乗り、業績は必ずや拡大するであろう。