【厳以律己】 リーダーたる者 基本は自分に厳しく 年の瀬であっても
大人でもうれしいお正月。中国で単身赴任しているのならなおさら。一時帰国しようか、どうしようか、考えると気持が浮き浮きしてきます。しかし…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
己を律するに厳を以てす(厳以律己)
- 中国語:严以律己 [ yán yǐ lǜ jǐ ]
- 出典:谢曾察院启
- 原文:严以律己,宽以待人(己を律するに厳を以てす、人を待うに寛を以てす)
- 意味:自分に厳しく、他人には寛容に接する。
心花怒放
- 中国語:心花怒放 [ xīn huā nù fang ]
- 出典:圆觉经
- 意味:心の中に花がぱっと咲くようにうれしくてたまらないこと。喜びに心が弾む様子。
正人君子
- 中国語:正人君子 [ zhèng rén jūn zǐ ]
- 出典:旧唐書(崔胤传)
- 意味:品行が端正な人のこと。
風平浪静
- 中国語:风平浪静 [ fēng píng làng jìng ]
- 出典:释普济(五灯会元)
- 意味:風が無く、波も静かであること。平穏無事であるさま。
北窓高臥
- 中国語:北窗高卧 [ běi chuāng gāo wò ]
- 出典:与子俨等疏
- 意味:「北窓」は、日光が当たらない場所、つまり、俗世間から離れた場所の意。「高臥」は、世俗を避けて山野に隠棲すること。悠々自適。
龍肝鳳胆
- 中国語:龙肝凤胆 [ lóng gān fèng dǎn ]
- 出典: 罗贯中(粉妆楼)
- 意味:竜の肝臓と鳳凰の胆嚢。珍奇な食べ物の例え。
記事:【厳以律己】 リーダーたる者 基本は自分に厳しく 年の瀬であっても
ざわつく12月
中国に生活基盤を置き仕事をしている日本人駐在員。12月に入ると地元の日本商工会が忘年会を開くなど、徐々に年末モードが濃くなってきます。
仕事を終え自宅に戻りテレビをつけると、日本チャンネルでは年末に因んだ番組が放送されています。特に単身赴任者にとっては、一事帰国し家族と共にお正月を迎えたいという気持ちが湧いてくるのです。
中国では元旦休暇は三日程度。意を決して日本行きの航空券を予約した駐在員は「心花怒放」。日頃のストレスからしばし解放されると思うと、自然と顔が綻んでくるのは無理もないこと。
現地社員から見たら
そんな日本人駐在員の盛り上がりに水を差すようですが、正月を前にしてざわつく日本人駐在員を横目に現地社員達は「風平浪静」と、いつも通りに仕事をしているのです。
旧暦で動く中国では旧正月と違って12月といっても特に普段と変わりはありません。元旦も単なる祝日でしかないのです。
心配事は、3日間では足りずに休暇を延ばしてボケた顔をして戻って来はしないか、ということ。
自分たちは仕事をしているのに日本人は1週間も休暇を取って「北窓高臥」、いいご身分だ、と現地社員に思われたとしたら。以降の仕事や延いては業績に影響する可能性すらでてきます。
考えてみたら、しばらく我慢すれば春節休暇がやってきます。もし、年末年始に休暇を取ればそんなにも時を置かずやってくる春節には、また一週間の休暇が取れるのです。現地社員にしてみればタガが緩んだ日本人総経理だと見えるかもしれません。
総経理の影響
それに、現地会社の総経理(社長)の12月はとても重大な仕事があるのです。
中国では企業の会計年度が1月から12月。つまり、12月は年間の営業実績を持ち上げる最終月であり、同時に当年度決算を見通し1月に始まる新年度の予算を作成するのも12月。加えて、新年度早々に開かれる日本の株主総会に相当する「董事会」の準備も行わなければならず、12月は相当に忙しく中国現法で経営を担っている日本人総経理にとっては、実は極めて重要な月なのです。
そういう時こそ、人の上に立つリーダーとして、「己を律するに厳を以てす」を最大限に発揮すべきです。年の瀬に、浮ついた自身の挙動が組織に与える影響は大きすぎます。
さらに、年始の一時帰国によって部下からの信頼を損なうことになったのでは悲劇です。
少しの正月気分
結局、駐在していた15年間は、毎年現地で越年をすることが自身の習わしとなりました。
12月31日の仕事を終え、暖房のきいた部屋で見る大晦日の恒例の「紅白歌合戦」は、とにかく一年が終わってホッとするひと時を与えてくれます。
とはいうものの、「正人君子」ではない普通の人には、現地で越年を基本としながらも、少しくらい正月気分を味わってもばちは当たるまいと。
元旦に、お気に入りの日本料理店に行ってみると、特別メニューの「お雑煮」が食べられるのです。味噌だ、すましだと贅沢は言えませんが、現地に住む日本人にとってお雑煮は「龍肝鳳胆」、特別な料理で、食べられること自体がとてもうれしかったことが忘れられません。
お雑煮をいただいた舌鼓とともに、お正月を感じて街に出ると、そこはいつもと変わらない喧騒が溢れていました。