【驚涛駭浪】 波瀾の歴史を乗越えた大連・労働公園は都会のオアシス
大連駅から南へ中山路を越えて約10分のところにある巨大公園。正門や東門などから中に入るとそこは都会の喧騒を離れたオアシス。中国らしい所もあれば…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
明日黄花(あすきばな)
- 中国語:明日黄花 [ míng rì huáng huā ]
- 出典:蘇軾(九日次韵王巩)
- 意味:「明日」は、重陽の節句が過ぎた後のこと。「黄花」は、菊花。重陽の節句(旧暦9月9日)が過ぎれば菊の花を愛でる興味は薄れてしまうとの意。既に時期が過ぎて色あせたニュースや,時機遅れで役に立たないことの例え。「十日の菊、六日の菖蒲」。
舐犢之愛(しとくのあい)
- 中国語:舐犊之爱 [ shì dú zhī ài ]
- 出典:後漢書(杨彪传)
- 意味:親牛が子牛を舐める深い愛情のこと。子供に対する親の愛情が深いことの例え。
柔弱は剛強に勝つ
- 中国語:柔弱胜刚强 [ róu ruò shèng gāng qiáng ]
- 出典:老子(36章)
- 意味:無為に争うことのない柔弱な者は、強いがために争うことの多い剛強なものに比べ、結局優位に立つ。「柳に雪折れなし」。
出水芙蓉
- 中国語:出水芙蓉 [ chū shuǐ fú róng ]
- 出典:詩品
- 意味:水面に咲き出たばかりのハスの花のこと。女性の初々しい美しさの例え。「芙蓉」はハスの花の異名。
驚涛駭浪(どとうがいろう)
- 中国語:惊涛骇浪 [ jīng tāo hài làng ]
- 出典:唐・·田颖(玉山堂文集·海云楼记)
- 意味:逆巻く怒濤。苦難の荒波。波瀾万丈。
記事:【驚涛駭浪】 波瀾の歴史を乗越えた大連・労働公園は都会のオアシス
波瀾万丈の歴史
大連労働公園は市街地のど真ん中にありながら、面積約100万㎡のとても大きな公園で、園内にはテニスコート、観覧車やメリーゴーランドもあり高齢者だけでなく子供たちも楽しんでいます。
重々しい名前が付いていますが、園内には緑が溢れ、四季ごとに花が咲き、「老百姓(一般庶民)」の憩いの場になっています。
「労働公園」の歴史は古く1899年に遡ります。当時の帝政ロシア租借時代にロシア人よって作られ、当初は「西公園」と名付けられました。その後、日本統治時代に拡張され「老虎公園」と呼ばれ、1949年中華人民共和国成立後に「労働公園」と改称されました。
120年もの激動の歴史の中で、「驚涛駭浪」を目の当たりにしてきた大公園。今では林立するビル群に取り巻かれています。設立当時には想像もできなかったであろう中国の経済発展を鮮明に感じられ、都会の中のオアシスのような労働公園です。が、もうちょっとしゃれたネーミングはできなかったのかと思わなくもありません…
楽しそう広場舞
小康生活が定着する中国全土で大流行の「広場舞」。ここ、「労働公園」でも多くのおばちゃんたちが踊りに興じています。場所によっては騒音などで騒ぎになっているようですが、労働公園はそんな心配もなく練習に余念がありません。
それにしても、皆さん楽しそうに踊っています。眺めている方も何となく心が軽くなりますよね。
柳に学ぶ
東門を入ったところにあるとても立派な柳の木の下でも広場舞。柳の来は園内のあちこちに植えられています。樹齢はわかりませんが、いずれも非常に大きく歴史を感じます。
そんな柳を眺めていると、「柔弱は剛強に勝つ」との言葉が想起されます。巨大市場に立ち向かう小さな会社は、柔軟的に戦うべきだと教えてくれているのかも…
ハスと親心
東門を入ってすぐのところにある通称「荷花池」。荷花とは中国語でハスの花のこと。小さな池ですが、季節によって異なる趣が楽しめます。池の中央にある建物を舞台代わりに、地域のイベント等が開催されています。
よく見ると、池の畔では自分の子供のパートナー探しをしている親御さんが大勢います。自慢の息子、娘の略歴を書いた釣り書きようなものを木に貼り付けています。そこには「我が家の娘は美人で頭がよく…」などと書いてあるのです。
「舐犢之愛」という子を思う親の気持ちはどの国にあっても変わらないようです。
ところで、ハスの花は泥の中にあっても汚れることなく美しい花を咲かすと言われています。初夏には「出水芙蓉」といわれる清楚で見とれるほどのハスの花が咲きます。
駐在しているおじさん方、俗世間で過ちを犯すことの無いように…
そんなハス池も冬には凍結し、子供たちがそり遊びに興じています。池が凍り付くのですから尋常ではない大連の寒さです。何しろ、最高気温がマイナスという日があるのですから。
十日の菊にならぬよう
秋には毎年恒例の菊花展が公園内で開催され目を楽しませてくれます。見事に咲かせた菊花です。現地で仕事に励む身としては「明日黄花」なんて言われないように、機を外すことなく緊張感を持続しなければと思います。「十日の菊」では困るのです。
静かな労働公園で、ゆったりとした時を過ごしても、一歩外に出るとたちまち街の喧騒が襲ってきます。現実に引き戻された自身に気づくのです。
慣れない地で奮闘する人にも束の間の安らぎを与えてくれる労働公園でもあります。