【聚精会神】とのことわざ 敗者復活戦の人生 一心不乱の姿勢が身を助く
将来を嘱望された生え抜きの社員。あることが原因で解雇されることになってしまった。さて、如何なことに…
成功のヒント 中国ことわざ・格言
事は三を過ぎず(事不過三)
- 中国語:事不过三 [ shì bù guò sān ]
- 出典:西遊記
- 意味:何事であれ三度を超えるのはよろしくない。仏の顔も三度。同じ事を三度も繰り返してはならない
聚精会神
- 中国語:聚精会神 [ jù jīng huì shén ]
- 出典: 王褒(圣主得贤臣颂)
- 意味:精神を集中すること。一心不乱であること。
天は人の路を絶つこと無し
- 中国語:天无绝人之路 [ tiān wú jué rén zhī lù ]
- 出典:货郎担
- 意味:(絶望に瀕しても)天は常に活路を用意している。だから希望をあきらめる必要はない。捨てる神あれば拾う神あり。
泪を揮(ふる)いて馬謖を斬る
- 中国語:挥泪斩马谡 [ huī lèi zhǎn mǎ sù ]
- 出典:十八史略
- 意味:情としては忍びないが、全体の規律のために処分すること。泣いて馬謖を斬る
另起炉灶(れいきろそう)
- 中国語:另起炉灶 [ lìng qǐ lú zào ]
- 出典:李汝珍(镜花缘)
- 意味:別に竈(かまど)を築くこと。もう一度、新たにやり直すことの例え。
記事:【聚精会神】とのことわざ 敗者復活戦の人生 一心不乱の姿勢が身を助く
へまをやらかす社員
会社設立直後に入社した生え抜きのある社員。入社した時から経営幹部から一目置かれる存在でした。彼は、新規設立されたグループ会社に社員教育のために派遣されるなど、模範的社員であり、将来も嘱望される一人でした。
ですが、ずっと「中堅どころ」に甘んじていたのです。つまり、ときどきへまをやらかす悪癖があったために、いつも中堅からの脱却ができずにいたのです。
そんな彼がとうとう致命的な大失敗をやってしまいました。会社業務の根幹を揺るがしかねない大ポカです。「事は三を過ぎず」、仏の顔も三度、これではどうしようもありません。
やむを得ない解雇
そんなことを許してしまえば、組織全体によからぬ影響を及ぼしかねません。解雇はやむを得ないとの結論です。
生え抜きの戦士である彼を解雇することは、真に残念で辛いことですが、「泪を揮(ふる)いて馬謖を斬る」ことにせざるを得ないではないか。暗澹たる思いで、彼の上司に伝えました。
実は、斯くいう自分もサラリーマン人生を左右するほどの大失敗を、日本国内勤務時代に、二度も仕出かした経験があります。二度目の時には、さすがに「終わった」と思い退職を覚悟しました。
しかし、同僚や先輩方の支えがあってかろうじて踏みとどまりまり、そして約10か月後に中国勤務の社命が下り、復活したのです
現れた拾う神
そんな自分自身との二重写しを感じつつ、解雇をすることを伝えたのですが、彼の上司が再びやってきて、「主旨は理解できる。しかし彼は生え抜きの一人。自分が責任を持つからもう一度チャンスをやってほしい」と。
少しためらった後、「天は人の路を絶つこと無し」との中国の古くからの格言に沿って、彼の言葉に賭けてみることにしました。せっかく談判に来たのですから、上司としてのメンツと指導能力を更に磨いてもらいたいとの思いで、同意しました。
大ポカを仕出かした本人には、事の経過とともに、これが最後のチャンスであること、彼の上司から涙ながらの訴えがあったことなどを直接語りかけました。
見事な立ち直り
その後、彼は「另起炉灶」、一からやり直す努力を重ね、見事に立ち直りました。悪癖は影を潜め、部門責任者として活躍し、その努力を認められ副総経理(副社長)にまで昇進することになりました。
例え大きな失敗をしても、それを上回る努力をすれば、失ったものを回復することができる、という好例を彼は作ってくれました。大化けすることになったのです。
犯した失敗を反省するだけにとどまらず、その原因を分析し、再発防止のための対策をしっかりと定めることが非常に大切だと思います。
それにしても、彼の上司の嘆願によくもまあ耳を傾けたものです。さもなくば、あたら一人の人材を失うところでした。
一心不乱が身を助く
如何に勝ち組と言われる人であっても、一生にわたって勝ち続けることは不可能に近いし、時には負けることもあります。大事なことは負けた時にどのように考えるか、であると思います。
失敗の原因や責任を人に押し付けたり、自分が不貞腐れてしまうようなことになってしまえば、本当に終わってしまいます。
ただ「聚精会神」、ひたすらの真摯な努力を続けることに他なりません。
辛いかもしれませんが、そうすると必ずチャンスが巡ってきます。トーナメントではない人生を戦っている我ら。負けても次は勝てばよい。例え負けても努力を怠らずに続けるときっとチャンスが来る。敗者復活の機会を逃がさなければ成功の人生になると信じたい。