【尺短寸長】長所は短所 中国でお辞儀するのは卑屈か 堂々とした握手を

中山広場の大連賓館 堂堂の風貌(2015年9月)

 

日本式お辞儀をもって挨拶をすることは、日本人としての美徳であるが、中国においてはそうでも無いことに気がつく。握手する時には、同時にお辞儀はしない方がよいのだ。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

握手言歓

  • 中国語:握手言欢   [ wò shǒu yán huān ]
  • 出典:後漢書(李通传)
  • 意味:握手して談笑すること。不仲の状態が発生し、その後、和解することを形容した言葉。

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儀表堂堂

  • 中国語:仪表堂堂   [ yí biǎo táng tang ]
  • 出典:王定保(唐摭言·海叙不遇)
  • 意味:見た目は端正で、立ち居振る舞いがおおらかで、威厳を持った態度のこと。

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尺短寸長

  • 中国語:尺短寸长   [ chǐ duǎn cùn cháng ]
  • 出典:卜居
  • 意味:一尺でも短いことや、一寸でも長すぎることがある、との意。人や物事には長所もあれば短所もあることの例え。

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低三下四

  • 中国語:低三下四   [ dī sān xià sì ]
  • 出典:吴敬梓(儒林外史)
  • 意味:やたらにぺこぺこする様子。こびへつらうさま。卑屈なさま。

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泰(やす)らかにして驕らず

  • 中国語:泰而不骄   [ tài ér bù jiāo ]
  • 日本語表記:泰而不驕
  • 出典:論語(子路)
  • 原文:君子泰而不骄,小人骄而不泰。(君子は泰(やすら)かにして驕(おご)らず。 小人は驕りて泰かならず)
  • 意味:君子は静かで落ち着いた態度(自信を持った態度)でありながら、しかも謙虚である。人間の出来ていない人は、威張り散らして落ち着きがない。成功するリーダーとしては、謙虚であることが不可欠要件であるが、同時に毅然とした態度も持たねばならない。卑屈であってはならない。

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記事:【尺短寸長】長所は短所 中国でお辞儀するのは卑屈か 堂々とした握手を

握手とお辞儀

 握手する時はお辞儀はしない方がよい。これは、中国語の先生からのアドバイス。

 日本人にとっての一般的な挨拶の作法であるお辞儀は、奈良時代に中国から伝わったのが始まりだそうです。しかし、面白いことに、その中国ではいつのまにか、挨拶をする際には握手をするのが一般的になりました。

ということで、中国で仕事をする日本人も、中国人と挨拶をする際には握手をすることになります。しかし、お辞儀が体に染みついた日本人は、時として握手をしながら頭を下げてしまうことがあります。

 相手の目を見て「握手言歓」するのが原則であるので、握手をしながらお辞儀するのは止めた方がよいとのアドバイスであったのです。

 

度を越えると

 そもそも、日本ではごく普通であるお辞儀は、自分の首を差し出し敵意がないことを表現したのが由来だそうです。丁寧なお辞儀は日本人の美徳です。

 お辞儀であっても握手であっても、相手に対して敬意を表し親睦を表現していることには変わりないのですが、握手をしながらお辞儀する様子を横から見ていると、確かに少々奇異に感じてしまうこともあります。

 日本人としては、より丁寧にと相手を気遣い、左手を添え両手で相手の掌を包み込むような握手をしながら頭を下げる、という姿は相手が国家元首でもない限りは、傍からは「低三下四」、卑屈に見えてしまうと言うのも頷けます。

 相手に対して遜り、自分を低くする謙遜は悪いことではありませんが、握手をするときに頭を下げるのは謙遜が過ぎる、ということでありましょう。

 

むしろ堂々と

 中国社会に於けるビジネスシーンなどで求められるのは、遜ることはほどほどにして、むしろ堂々とした態度ということではないでしょうか。

 相手が先輩であれ後輩であれ、また顧客であっても、謙遜することなく謙虚にして堂々とした態度で臨むのがよいと思います。

 但し、堂堂とした態度も過ぎてしまっては、尊大ぶっていると感じさせるので論外です。

 西洋式の挨拶である握手と、日本式のお辞儀を混ぜると変な味になってしまいます。謙遜は日本人の美徳であり長所の内のひとつ。しかし、それは同時に「尺短寸長」といわれるように、海外では短所として映ることもあるということです。

 

リーダーかくあるべき

らかにして驕らず」と論語にあります。自信を持ちながら同時に謙虚でなければならないとの意味です。そこには「謙遜」はありません。

 握手にせよお辞儀にせよ、武器は持っていません、相手に敬意と親睦を表すという意味ですから、お互いが対等であり堂々とした態度が、中国においては相応しい。

 威厳を持った「儀表堂堂」の態度は、むしろ周囲からの信頼度が上がる要素があります。傍で見ている部下社員からも、「さすが我らが大将」というふうな頼もしさをも感じ取ってくれるはず。総経理が堂堂としていると、部下社員達も胸を張り自信を持つようです。

 会社運営を担うリーダーとしては、遜りよりも、謙虚と毅然とした態度を兼ね備えることが、成功への必須の道程であるといえます。

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