【速やかならんことを欲すれば則ち達せず】中国でも 急がば回れの方が

大連・中山広場歴史建造物(2016年10月)

 

「速やかならんことを欲すれば則ち達せず」とは、せっかちにやろうとすると目的に到達できないという、論語にある言葉。ちっぽけな会社がアウエーの地で、しかも「大」に勝つ方法である。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

勢いに仗りて人を欺く

  • 中国語:仗势欺人   [ zhàng shì qī rén ]
  • 出典:西厢记(第五本第三折)
  • 意味:他人の権力を笠に着て人を侮ること。軽んじる、見くびる。

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一蹴而して就く

  • 中国語:一蹴而就   [ yī cù ér jiù ]
  • 出典:上田枢密书
  • 意味:容易く成功を収めること。

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速やかならんことを欲すれば則ち達せず

  • 中国語:欲速则不达   [ yù sù zé bù dá ]
  • 出典:論語(子路)
  • 意味:せっかちにやろうとすると目的に到達できない。急いては事を仕損じる、の意。急がば回れ。
  • 蛇足:「欲速则不达」に続いて「见小利,则大事不成(小利を見れば則ち大事成らず)」とあります。

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太盛 守り難し

  • 中国語:太盛难守   [ tài shèng nán shǒu ]
  • 出典:墨子(親士)
  • 意味:勢力が大きくなると、維持するのがかえって難しくなること。すぐれている部分が滅びる原因になりやすいとの意。

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記事:【速やかならんことを欲すれば則ち達せず】中国でも 急がば回れの方が

みんな大好き

 一蹴而就」という言葉があり、いわば「一発勝負」を想起させます。

 そして中国でも、株式投資や不動産投資が活況を呈しているところを見ると、一般的には、すぐにでも儲かる投資が好まれているようです。公園ではお年寄り達がトランプや麻雀、将棋なども。それらも一発型です。

 会社においても、顧客開拓を担う営業員達は、大口の顧客開拓を狙うことには執心しますが、どうも「コツコツ」は好きではないようです。

 「楽して儲ける」考え方に傾斜しているように思えてなりません。まどろっこしいものには関心を示しません。ドアツードアの戸別訪問をして、顧客開拓するのはどうも苦手のようです。

 

市場経済化

 中国では1978年から改革開放政策が始まり、翌1979年には深圳等が経済特区に指定されました。その後1984年には上海や大連などが対外開放され、それまでの計画経済から市場経済に移行を始めました。

 以来約40年、市場競争社会になり切れているのでしょうか。

 例えば、中国東北部の沿海都市、大連市。総人口が約600万人、そのうち市街地人口は約350万人。中国としては、決して大きくはありません。

 そこでは、業種にもよるでしょうが、中には地元政府直系の子会社(というよりは、感覚的には地元政府の一部局という位置づけ)が、地方政府の「権力」を背景に幅を利かせているような事例も。

 正に、「勢いに仗りて人を欺く」とばかりの体です。。

 一般の国民を睥睨する政府の姿勢が際立っている国家で、その権力を背景にしているわけですから、簡単に言うとユーザーに対してとても偉そうに振舞っていました。そのビジネス構造は、自分たちのために、顧客という下部から利益をむしっている。決してユーザーのために仕事をしているわけではないようにも見えます。

 

大きいことは長短どっち

 絶対的ともいえる強力な権力を背景にして、投網をかけるように、有無を言わせず顧客を開拓(?)。そのあとはほったらかしですから、ユーザーからの信頼は得られるわけがありません。

 しかしながら、視点を変えると、その一点が弱点であり、そこを攻めれば勝機は見えてくる!

 太盛 守り難し」とあるように、長所であるはずの部分が滅びる原因になりやすいのだ。そう確信することができます。

 「競争は向上心をもたらし成長を促す」という考え方によれば、その同業社を競争相手にして、自らの会社を拡大させることができるはずと考えられます。

 ところが、当時の社員の心の中には、御上である政府は絶対的で、その直系企業と競争するなどということは考えも及ばなかったようです。社員達は懐疑的であったのです。

 そもそも外資企業にとっては、そんな権力を伴うバックグランドはもちろん無く、公正な競争はあるべくもないことです。彼らの考えもやむを得ないことだと思います。

 

小の勝ち方

 「小」が「大」と同じことをしていては勝つことは難しい。

 一軒一軒説得して回る地道な営業活動こそが「大」にはできないやり方です。顧客のために最良の品質でサービスを顧客には提供し、同時に自力で新規顧客を最大限に開拓する。

 そんな営業活動を見て、競合社の彼らは笑っていたようですが、その数年後には答えが出ることになります。

 遠回りのようでも地道に一つひとつを積み重ねることこそ勝利の要点であると確信しました。

 さほど大きくはない大連市で、その競合社との違いは口コミで瞬く間に市場に広まって行きました。

 アウエーの地で、しかも「大」に勝つには、「一蹴而就」ではなく「速やかならんことを欲すれば則ち達せず」の思想です。所謂、「急がば回れ」。

 しかし、実行部隊は一発勝負を好むローカルの社員達。コツコツやろうと言っても思うように響かない。そこで、社員達が楽しくコツコツやれるような仕組みが必須です。例えば「コツコツ大賞」で顕彰したりするような。そこは総経理(社長)の腕の見せ所ですかな…

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