書経には【過ちを改むるに吝かならず】と 収得すべきは速い変わり身…
自分のやり方が間違っていたり、思うような結果が出なかった場合、面子などには拘泥せずに、さっさと方針転換することです。「過ちを改むるに吝(やぶさ)かならず」とあります。「変わり身が速い」と思われたって気にしない。勝ち抜くには、綺麗ごとを言ってはいられないのです。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
過ちを改むるに吝(やぶさ)かならず
- 中国語:改过不吝 [ gǎi guò bù lìn ]
- 出典:書経(仲虺之诰)
- 意味:少しの躊躇いもなく過ちを改めること。
堅持不懈
- 中国語:坚持不懈 [ jiān chí bù xiè ]
- 出典:清史稿(刘体重传播报)
- 意味:堅持し懈らず。弛みなく努力すること。倦まずたゆまず。
手足を措(お)く所無し
- 中国語:手足无措 [ shǒu zú wú cuò ]
- 出典:論語(子路)
- 原文:“刑罚不中,则民无所措手足”
- 意味:慌てふためき、対応する術がなく、手も足も出ないことの例え。途方に暮れること。元の意は、刑罰が適切でなければ、人民は安心して生活できない、ということ。
通権達変
- 中国語:通权达变 [ tōng quán dá biàn ]
- 出典:後漢書(贾逵传)
- 意味:権(はかりごと)に通じ、変化に精通する。変化に通じ、損得を考えた対応に精通する。慣例にこだわらず、臨機応変の措置をとること。
付諸東流
- 中国語:付诸东流 [ fù zhū dōng liú ]
- 出典:封丘作
- 意味:「東流」は、物事が消え、取り返しがつかないことの例え。水泡に帰す。努力や成果が無駄になること。
記事:書経には【過ちを改むるに吝かならず】 収得すべきは速い変わり身
避けられない失敗
四年余りにわたって続けてきたブログのデータベースが一瞬で消えてしまった!
中国のことわざと自身の現地体験を紡いだ約二百本の公開された記事。文字数にすると四十万字にもなる。軽率にも削除ボタンをポチっとやってしまったのだ。
たった一回の誤った操作。その時、アップしたデータのすべてが堰を切ったように「付諸東流」、一斉に流れ出て、それまでの努力が水泡に帰してしまった。あぁ、やらかした!
このブログ、趣味の域を出ないことは勿論ですが、それにしてもデータの喪失は予期しないことであって、まことに残念。
人生には「たら、れば」と後から悔やむことが少なくありません。中には「手足無措」とのことわざのような、手も足も出ない途方に暮れることだってあります。そのような失敗は、普通の人間にとっては不可避のこと。
問題は、その時にどうするかでありましょう。
成功の基本
今回の失敗はデータ削除という、取り返しのつかない出来事。さあ、どうする?
これを機会に投げ出すのなら別だが、そうでないのなら、何とかしなければ。幸い、消えてしまった記事文のメモが残っていたので、それを頼りに、記事を書き直すことならできそうです。その作業をコツコツと続ける以外にありません。
「堅持不懈」ということわざがありますが、堅持し懈らずに実行すれば何とかなるであろう。実は、「倦まず弛まず」と言う態度で仕事をすることは、中国でも通用する。相手にするのは巨大市場ではあるが、成功の基本はやはり「堅持不懈」であるのです。
無用の玉砕
例えば、日本本社の命によって中国現地法人の経営を任された現地の総経理(社長)であっても、自分が中国現地で起業した事業であっても、事業を発展させ、成功させるためには相当タフな仕事になることは避けられません。
日本での成功体験だけでは、中国現地の商売についての考え方や習慣の違いに、対応しきれません。加えて、両国間の政治面の軋みが、時として何の前触れもなく襲ってきます。
そのような環境にあって成功を勝ち取るためのヒントのひとつが「通権達変」。正に「権」というはかりごとに通じ、変化にも通じることが求められます。状況の変化に応じて如何様にも対応できる能力こそが中国では必要なのです。
自分の信念は曲げないとばかりに、捨て身の覚悟で、場合によっては玉砕することさえ厭わない、等といった考えは役には立たないのです、ここでは。
改過不吝
従って、自分のやり方が間違っていたり、思うような結果が出なかった場合の対応が、非常に大事であると言えます。そんな時には、面子などには拘泥せずに、さっさと方針転換することです。見方によれば、負けを認めることになるかもしれませんが、気にすることなんか必要はありません。
書経には「過ちを改むるに吝(やぶさ)かならず」と、躊躇なく改めることを惜しんではならないと書かれています。つまり、変わり身の速さが中国では必要な「能力」であると言いたい。
「変わり身が速い」といえば、少々聞こえが悪いかもしれませんが、何しろ、老獪な中国現地で勝ち抜くには、綺麗ごとを言ってはいられないのです。