【面面倶到】 会社で地獄の辛酸を嘗めることのないようにどうする
気に入らない上司にどのように対応すればよいか。サラリーマンとしては厄介な問題です。中国現地会社で時に発生する「密告」への対応も同様。
成功のヒント 中国ことわざ・格言
開誠布公
- 中国語:开诚布公 [ kāi chéng bù gōng ]
- 出典:三国志(蜀志・诸葛亮传・评)
- 意味:私心を挟まず誠意をもって接すること。
左支右絀(さしうちゅつ)
- 中国語:左支右绌 [ zuǒ zhī yòu chù ]
- 出典:戦国策(西周策)
- 意味:本来は左手で支え、右手を曲げて矢を射る姿勢のこと。一方に対応すると、もう一方で問題が発生することの例え。力量不足の意。
少不更事
- 中国語:少不更事 [ shào bù gēng shì ]
- 出典:隋書(李雄传)
- 意味:「少」は年が若いこと。「更事」は社会経験のこと。若くて世間知らずであること。
天堂地獄
- 中国語:天堂地狱 [ tiān táng dì yù ]
- 出典:丁福保佛学大辞典
- 意味:善人が死んだら天国に入る、悪人が死ぬと地獄に堕ちるとの意。幸福と惨めの相反するな生活環境を例えた言葉。
自ら墳墓を掘る(自掘墳墓)
- 中国語:自掘坟墓 [ zì jué fén mù ]
- 出典:神仙传
- 意味:自ら墓穴を掘る。自分で破滅の道を選ぶことの例え。
面面倶に到る(面面倶到)
- 中国語:面面俱到 [ miàn miàn jù dào ]
- 出典:官场现形记
- 意味:各方面に気を配り手抜かりがない。隅々まで配慮が行き届いていること。
記事:【面面倶到】 会社で地獄の辛酸を嘗めることのないようにどうする
若気の至り
サラリーマンとして仕事をしていると、どうしても反りが合わない上司と出くわすことがあります。その時にどのような対応をするか。それが実は大問題で、後々「天堂地獄」の開きが。
恥ずかしながら、20歳代に日本で大失敗をやらかし、サラリーマンの地獄を見た経験があります。
ある上司と仕事への取り組み方や考え方が合わず、その上司がいなくなれば仕事がはかどると信じて行動に移したのです。画策が奏功し、その上司は異動することになりました。
してやったりの結果に小躍りしたのですが、暫くすると強烈な竹箆返しをくらうことになったのです。何と、若くして窓際に追いやられ、役職も外され完全に干されるという、思ってもみなかった結果となってしまいました。
「少不更事」とはいえ、地獄の報いを受ける結果になったことは今も忘れられません。
自ら仕掛けたことが如何に愚かなことであったか、大いに悔やまれる失敗でありました。
どうする密告対応
何が悪かったのか、その行いを深く深く反省し、一からやり直すことになりました。大失敗から立ち直り一線に復帰するまで結局5年余りを費やすことになってしまいました。
更に、その約15年後に中国に赴任、今度は、現地会社の総経理(社長)という立場で勤務することになったのです。
そんな中で、時に社員から自分の上司に関する密告メールや手紙を受け取ったことがありました。よく言えば内部通報。○○課長はこんなに悪い人だ、能力がない人だ、等々。
しかし、密告のすべてが「匿名」であったため、取り合うことはできません。
仮に密告内容が事実であれば、他部門へ異動させることも考えられますが、そうしたとしても異動先で同様の問題の再発が多分に起こり得ることになります。
厄介な上司がいなくなったら密告者は喜ぶでしょうが、一方で異動先の社員はどのように思うのか。決してよくは思わないでしょう。それでは「左支右絀」ということになり、根本的な問題解決には至らないことは明白です。
風通しよく
まして、現地会社において密告を真に受けて、解雇などの短絡的な対応をしようものなら「自掘墳墓」になってしまいます。
では、どうするのがよいか。「人」を挿げ替えるではなく、考え方や行動を変える。同時にチームを構成する社員が主体能動の姿勢を持つ、ということではないでしょうか。
ある部門で、何かの問題が発生した際には、場合によっては総経理(社長)が中に入り、その部門の全員と「開誠布公」でよく意見交換をすることです。
常日頃から、会社トップとして、風通しの良い社内組織の構築に心がけるべきなのです。社員達と気心が知れるようになると、いつの間にか「密告」めいた事は無くなっていました。
そして、会社業績ばかりではなく、社内の空気や社員の動きなどにも関心を払い、普段から対応を怠らないことが求められます。
そのためにも「面面倶に到る」と、社内全体に目配りすることが欠かせません。総経理室の中で、自分の席に踏ん反り返っていてはどうにもなりません。
目の前の社員達を重視する、つまりは「自他共の精神」が大切であることを認識すべきなのです。