厳格と寛大 【一張一弛】バランスとメリハリでダイナミックに

大連・中山広場 ライトアップされた中国銀行(2018年5月)

 

どんなにまとまっていても、仲良しクラブのような会社ではうまくない。いくら、厳格管理が良いと言っても過ぎては活力が失せる。社員が心を同じくし、ダイナミックな力が出せる会社組織を作り上げることこそ、総経理(社長)の最大責務ではなかろうか。

 

成功のヒント 中国ことわざ・格言

一張一弛

  • 中国語:一张一弛   [ yī zhāng yī chí ]
  • 出典:礼記(杂记下)
  • 意味:ある時は厳格に、ある時は寛大にすること。緩急よろしきを得る。元は国家統制の方法を指した言葉。

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誅罰に忍びずんば、暴乱の者止まじ

  • 中国語:不忍诛罚则暴乱者不止   [ bù rěn zhū fá zé bào luàn zhě bùzhǐ]
  • 出典:韓非子(奸劫弑臣)
  • 意味:懲罰をためらっていると法を破る者が止まらない、という韓非子の唱える性悪説による言葉。社員から嫌われたくないからといって、思いやりばかりでは、会社経営は成り立たない。

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漫不経心

  • 中国語:漫不经心    [ màn bù jīng xīn ]
  • 出典:明・朱国祯(诵幢小品·存问)
  • 意味:少しも気にかけない。無頓着であって、少しも注意を払わないこと。

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和を貴しと為す

  • 中国語:和为贵   [ hé wéi guì ]
  • 出典:論語(学而)
  • 原文:礼之用,和为贵。
  • 意味:礼においては調和ということが貴い。

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記事:厳格と寛大 「一張一弛」 バランスとメリハリでダイナミックに

小籠包

 上海グルメの代表格である「小笼包(小籠包)」や「生煎馒头(生煎饅頭)」。肉汁が溢れ出て旨いのなんの。でもね、一口サイズなので、ついぱくっ! もしこれをやると、さあ大変。アッツアッツの肉汁が一気に口の中に噴き出し、下手をすると火傷することに。

 これこそ、「漫不経心」、不用意もいいところ。“正式な食べ方”は、皮の部分を少しかじって小さな穴を開け、十分注意しながら中の肉汁を啜る。吸い終わった後、ぱくっと食べる。かじったり、啜ったりと、少々お行儀が悪いかもしれませんが、実はこれが、正しい食べ方です。不用意にやってしまうと、後で反省することに…

 

信と罰

 ところで、現地での日系企業は、中国人社員からすると働き場所として理想ではないにせよ、一定の好感度をもって見られています。例えば、社内管理がきちんとなされていること、福利厚生制度が整っていること、などが評価されているようです。

 例えば、信賞必罰主義を実行することは、日系企業としては当たり前のことなのですが、実は、そこに社員は動機となるものを感じ、意欲が向上する。

 韓非子は「「誅罰に忍びずんば、暴乱の者止まじ」と言っています。懲罰をためらっていると規則破りの社員はいつまでたっても止まないから、躊躇わずにガンガン誅罰せよ、と。

 そう、思いやりが過ぎては会社運営、経営は成り立たない、厳しく当たるべきなのです。もちろん匙加減を間違えてはなりませんが、「信」と「罰」を比べると、どうしても「罰」が多くなるのが現実。

 

 他方、現地日系企業が膨大な中国マーケットの中で、国内企業と競争をして勝つためには、社員の団結が不可欠です。団結は、日系企業においての強みのひとつでもあります。同時に、それは国内企業に足りないものであるとも言えます。

 論語にも「和を貴しと為す」という言葉があります。勿論、「礼」のシーンでは何より調和が貴いのですが、マーケットで勝つか負けるかという戦いをする会社にあっては、そうも言っておれません。

 つまり、組織力を発揮することで勝算が見えてくるとは言え、団結さえあれば競争に勝てるというわけでもありません。

 

緩急

 社員間のコミュニケーションを深め、もって団結心を醸成する、言わば「柔」のマネジメント。一方、誅罰を辞さない厳しい、言わば「剛」のマネジメント。総経理はまるで振り子のようなイメージで、どちらに重きを置くか悩ましいところ。

 如何に組織内がまとまり、「和」の状態であったとしても、エネルギッシュでダイナミックに動く組織体の様相は湧いてきません。まるで仲良しクラブで、締まりのない企業となってしまう。

 一方で、マネジメントが厳格に過ぎると、社員が委縮し組織の活力は生まれない。そこで、心したいのが礼記にある「一張一弛」という言葉。ある時は厳格に、また、ある時は寛大に対応するのが良いというのです。

 いわば、緩急のバランス、メリハリの利いた運営が求められるところです。「厳格」と「寛容」という二つのカードを手の中に持ち、シーンに応じてうまく使うこと。

 そして厳格管理との兼ね合いをどこに線引きするかは、総経理の腕の見せ所。現地に適応した、しっかりとしたスタンスをもって、慎重に取り掛かることが成功への一里塚。

 論外なのは不用意にかぶりつくこと。大やけどをして撤退の憂き目に会いかねません。

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