礼記に【志は満たしむべからず】一筋縄ではいかぬ中国事業 連戦連勝は

人生でも仕事でも思うようにいかないことが多い。時には地団駄を踏んで悔しがったりすることもあるでしょう。しかし、例え良い時であっても、そうは長く続くものではありません。達成欲を漲らせて取り組むことは悪くはないのだが、その一本槍では身が持たぬ…

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

▮今回のことわざ(五十音順)

 

顿足捶胸 / 足を頓し胸を捶つ

  • 中国語:顿足捶胸   [ dùn zú chuí xiōng ]
  • 出典:水滸伝
  • 意味:地団駄を踏んで胸を叩いて悔しがること。

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赶鸭子上架 / 趕鴨子上架

  • 中国語:赶鸭子上架   [ gǎn yā zi shàng jià ]
  • 出典:高阳(母子君臣)
  • 意味:アヒルを追い立てて止まり木に登らせること。人にできないことを無理強いすることの例え。

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好景不长 / 好景は長からず

  • 中国:好景不长   [ hǎo jǐng bù cháng ]
  • 出典:艶陽天
  • 意味:美しい光景は永遠には続かない。月に叢雲花に風。

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志不可满 / 志は満たしむべからず

  • 中国語:志不可满   [ zhì bù kě mǎn ]
  • 出典:礼記(曲礼上)
  • 原文:志不可满,乐不可极(志は満たしむべからず、楽しみは極むべからず)
  • 意味:ここでの「志」は欲望の意味合い。欲望は満ち足りた状態ではよくない、との意。(適度な不満はあった方がよい)

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适得其反 / 適得其反

  • 中国語:适得其反   [ shì dé qí fǎn ]
  • 出典:魏源的(筹海篇·议守上)
  • 意味:まったく反対の結果が出ること。裏目に出る。

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▮月餅でクレーム

 「去年は貰ったのに今年は無いのか」「あいつに有って俺には無いのか」等と会社にクレームが入った。クレームのもとは実は月餅なのです。

 何千年もの歴史をもつ中秋節。社員やお世話になった大事な顧客に月餅を配り、感謝の意を表すことが会社としての年中行事になっています。

 しかし、日本のように一箱の月餅を「皆様で…」というわけにはいかない中国社会。会社同士の取引関係であっても、顧客の担当者などひとり一人に贈ることになります。

 そこで、配慮が十分ではなかったりすると、前述のようなクレームをもらうことになってしまうのです。

 一年間の感謝の気持ちを込めた月餅なのですが、思いもよらず「適得其反」。とんでもない裏目に出て、気まずい思いをするという淋しい結果になりかねません。。

 

▮続かぬ満月

 まん丸でどこも欠けることがなく、円満・完璧の象徴である満月。日本では「ウサギが餅をついている」と言われますが、中国では「不老長寿の薬を作っている」と伝えられています。

 眺める月は同じでも見方はそれぞれ。そんな中秋の名月を眺めていると、突然、雲に隠れてしまった。「月に叢雲(むらくも)、花に風」だ。中国で「好景不長」と言われるように、美しい光景は長続きしないのが世の常。

 月にかかる叢雲…ではないが、中国の仕事も同じで、業績良く走っていたとしても、会社経営に急ブレーキがかかることがあります。カントリーリスクもあるでしょう。また、日常的な仕事の中でも、習慣や考え方など大きく異なる訳ですから、そこで日本育ちの人間がマネジメントして、期待通りの結果が出ないのも当たり前と言えば当たり前。なかなか思うようにはいかない。

 良かれと思ってやったことがうまくいかず、「頓足捶胸」の憂き目に会い悔しかったことが何度あったことか。

 

▮満たさない欲望

 会社運営を担う総経理(社長)としては、業績の拡大を目指し社員達の幸福を願って、様々な施策を打ち出し、「完勝」を目指すのですが、すべてが奏功するわけではありません。

 しかし、礼記には「志不可满」という言葉にはむしろほっとします。何しろ、満ち足りた状態ではよろしくないというのですから。

 一筋縄ではいかぬ中国現地会社の運営。連戦連勝などはあり得ない。いわば80点、否60点の出来栄えで「合格」とするくらいの寛容さが求められます。そう、肩の力を抜いて字全体で臨むのがマネジメントの第一歩ではなかろうか。

 もちろん、手を抜いて適当にやればよいと言うことではない。目いっぱいの努力・行動がなされていれば、結果については寛容の心をもって認めるということです。

 その前提で、満たされなかった部分が残ることが、次へのチャレンジ精神と化し、自分や組織の成長にもつながる。

 他方、大事なのは逆立ちしても達成できそうにない目標は、目標として社員達には受け入れられないことを知るべきです。「趕鴨子上架」という面白いことわざがあります。アヒルをいくら追い立てたとしても止まり木に立つことは出来ようはずがありません。大きすぎる目標を掲げては、皆の戦闘意欲は削がれるばかりです。

 思いっ切りジャンプすれば届きそうな高さを目標として、その8割程度を勝利ラインとするのが良いのではないでしょうか。

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