戦国策に【禍を転じて福と為す】 禍が頭上に! 怯まず前向きに さあこれからと…

大連・東港の夜景(2019年5月)

突然、頭上に禍が降ってきた! しかし、慌てることも怯むことも必要ない。さあ、これからと前向きに取り組む。常に積極思考で努力を続けることが、福を引き寄せるきっかけにさえなる。禍が過ぎ去るのをじっと待っていても福は来ない。禍は無駄では無いのだ。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

寿则多辱 / 寿(いのちなが)ければ則ち辱多し

  • 中国語:寿则多辱   [ shòu zé duō rǔ ]
  • 出典:荘子
  • 意味:長生きすればその分恥ずかしい思いをすることも多い。
  • 故事:長生きできますよう、お金持ちになりますよう、男の子に恵まれますよう、といわれたお役人が全部断った。その理由を問われたお役人は、「男の子が多ければ成人できるかびくびくしなければならない、金持ちになったら煩わしいことが増える、長生きすると余分に恥をかかねばならない」と言った。

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好事多磨 / 好事多磨

  • 中国語:好事多磨   [ hǎo shì duō mó ]
  • 出典:安公子
  • 意味:「磨」とは障害、妨げ、トラブルのこと。良いことはとかく邪魔が入りやすい。良いことがあったからといって有頂天になってはいけないという戒めの意が含まれています。

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大难临头 / 大難臨頭

  • 中国語:大难临头    [ dà nàn lín tóu ]
  • 出典:庄子(秋水)
  • 意味:避けられない大きな災いが身に降りかかること。

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转祸为福 / 禍を転じて福と為す

  • 中国語:转祸为福   [ zhuǎn huò wéi fú ]
  • 日本語表記:転禍為福
  • 出典:戦国策
  • 原文:转祸而为福,因败而为功。(禍を転じて福となす、失敗をもとにこれを成功に導く)
  • 意味:禍をうまく処理して、逆に幸をもたらすきっかけにすること。(禍や失敗があったときこそ、勇気を奮い起こし、強く明るく、前に踏み出すのがよい)つまり積極思考の表れ。

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記事:戦国策に【禍を転じて福と為す】 禍が頭上に! 怯まず前向きに さあこれからと…

▮突然の違和感が

 その日、事業推進のためセッティングされた会食に向かう車中のこと。いつもながらの白酒の乾杯を覚悟しつつ、話の展開を思い描いていた。そして、突然、胸のあたりに強烈な違和感を感じた。ただ事ではない体調に少しの躊躇の後、会食メンバーと握手、事情を説明し病院へ直行。即刻入院となりました。

 「大難臨頭」とはこのことか。大きな禍が身に降りかかって来た事が実感された。

 ベッドサイドには、テレビでしか見たことのないような機械が置かれ、血圧や脈拍が表示されています。お腹には血液抗凝固剤の注射を打たれ、何とも心細い、そして眠れない一夜を中国の病院で過ごしました。

 

▮腹をくくった

 総経理(社長)として赴任後四年が経過。当初の苦難を乗り越えた後は、順調すぎるほど右肩上がりで業績が推移していた。そして、課題であった瀋陽支店の業務がスタート直前であった。

 快調に走っていた時の突然の大事件。「好事多(好事魔多し)」とはこのことか。人生の中で、思いもよらない出来事が起こることは珍しくない。しかし、よりによって、異国である中国の地で、生まれて初めての入院。こんな不安なことはありません。

 入院二日目。医師から病状の説明がありました。帰国して入院治療することを訴えましたが、不安定な病状で飛行機に乗ることは、非常に危険で、命の保証はできないとの「宣告」。電話で日本のかかりつけ医に相談しましたが同様の答えでした。

 やむなく現地の病院で治療する覚悟を決めました。腹をくくると、周囲が見えてきました。ベッドの枕元には「冠心病」の表示が。日本語では「冠状動脈性心疾患」、所謂、狭心症。CT検査によれば、冠動脈の一か所に70%程度の狭窄箇所があり、血流が妨げられたときに発作が出たとのことでした。

 

▮煙草か命か

 それにしても、中国の病院はどうも勝手が違って対応が大変。とにかく、人が多いのです。患者とその家族で院内がごった返しています。その人の波をかき分け「挂号」と表示のある窓口で、希望する医師を選び、受付料を支払うところから始まります。その後、指定の診察科行くのですが、またもや大勢が順番待ち。診察の結果、例えば点滴をすることになったとして、先にその費用を支払ったうえで無いと処置してもらえません。中国の病院では何事も「先払い」であるということです。

 入院患者にとって厄介なのは、診療以外は自己責任であること。「完全看護」体制はありませんので、家族が患者の世話をするのが普通。或いは、世話をする専門の人を雇うことになります。

 「寿(いのちなが)ければ則ち辱多し」とは庄子の言葉です。長生きすれば、その分、恥をかくことも多い、というのです。だからというわけではなかったが、「人生は太く短く」がよいとずっと考えていました。しかし、いざ、命に係わる大病に遭遇すると、考え方が180度変わりました。少しでも長生きせねばと。

 主治医からは「タバコと命とどちらか一つ選べ」と言われ、それまでは一日2箱吸っていたタバコをきっぱりと止めました。医師の指導によってアルコール度数52度の白酒も、以来飲むことをやめ、少しのワインで我慢。健康生活を目指すことになりました。

 

▮禍への対処

 結局、カテーテルによるステント治療を中国の病院で行い、命を長らえることができました。そして23日間に及ぶ入院生活を終え、遂に退院することができました。

 会社に復帰するその日、車の中で、長い間、不在にしていて会社はどうなっているのだろうか、ドキドキもの。入院中に、社員が見舞いに来ては会社の状況を聞いていましたが、やはり気になるところです。

 そして、出社して驚きました。そこには入院以前と何ら変わらない会社がありました。

 毎日一緒に仕事をしていると、気がつかなかったのですが、幹部社員達はすでに立派に育っていたのです。それもそのはず、彼らは10年選手。知らない間に一翼を担うまでになっていました。

 以来、仕事のやり方を大きく変え、多くの部分を幹部社員らに委譲し、総経理にしかできないことだけをやることにしました。幹部社員達はそれぞれ自覚をもって責任を果たし、会社の業績は急上昇することになりました。

 戦国策には「禍を転じて福と為す」との言葉があります。禍が起きた時には怯むことなく、むしろ禍を後に幸をもたらすきっかけにする、という積極的な考え方を取るべきことを教えています。日々、努力を続けていくならば、何が起きても、無駄なことは何一つ無いということです。

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