【和を貴しと為す】 激しい競争の中で仲良しクラブの如き会社では…

まとまっていても仲良しクラブのような会社では、うまくない。いくら、厳格管理が良いと言っても過ぎては活力が失せる。社員が心を同じくし、ダイナミックな力が出せる会社組織を作り上げることこそ、総経理(社長)の最大責務ではなかろうか。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

一张一弛 / 一張一弛

  • 中国語:一张一弛   [ yī zhāng yī chí ]
  • 出典:礼記(杂记下)
  • 意味:ある時は厳格に、ある時は寛大にすること。元は国家統制の方法を指した言葉。

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不忍诛罚则暴乱者不止 / 誅罰に忍びずんば、暴乱の者止まじ

  • 中国語:不忍诛罚则暴乱者不止   [ bù rěn zhū fá zé bào luàn zhě bùzhǐ]
  • 出典:韓非子(奸劫弑臣) 
  • 意味:懲罰をためらっていると法を破る者が止まらない、という韓非子の唱える性悪説による言葉。社員から嫌われたくないからといって、思いやりばかりでは、会社経営は成り立たない。

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风雨同舟 / 風雨同舟

  • 中国語:风雨同舟   [ fēng yǔ tóng zhōu ]
  • 出典:孫子(九地)
  • 意味:嵐の中にあって同じ船に乗り、ともに風雨と闘うことの意。力を合わせて困難に打ち勝つことの例え。

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漫不经心 / 漫不経心

  • 中国語:漫不经心    [ màn bù jīng xīn ]
  • 出典:明・朱国祯(诵幢小品·存问)
  • 意味:少しも気にかけない。無頓着であって、少しも注意を払わないこと。

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和为贵 / 和を貴しと為す

  • 中国語:和为贵   [ hé wéi guì ]
  • 出典:論語(学而)
  • 原文:礼之用,和为贵。
  • 意味:礼においては調和ということが貴い。

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記事:【和を貴しと為す】 激しい競争の中で仲良しクラブの如き会社では…

▮小籠包の教訓

 上海グルメの代表格である「小笼包(小籠包)」や「生煎馒头(生煎饅頭)」。小腹がすいた時には最高。一口サイズなので、ついぱくっ! でも、これをやると、さあ大変。アツアツの肉汁が一気に口の中に噴き出し、下手をすると火傷することに。

 これこそ、「漫不経心」、不用意もいいところ。“正式な食べ方”は、皮の部分を少しかじって小さな穴を開け、十分注意しながら中の肉汁を啜る。吸い終わった後、ぱくっと食べる。かじったり、啜ったりと、少々お行儀が悪いかもしれませんが、実はこれが、正しい食べ方です。不用意にやってしまうと、後で反省することに…

 

▮一人では竜だが

 ある日本人総経理(社長)は、自社の社員達の気になることが。それは、色濃く感じられる「個人主義」。中国で巷間言われているのが、「一个中国人是条龙,三个中国人是条虫」という言葉。中国人は一人では竜であるが、三人集まると虫だ、という。

 そこで少しでも団結心を醸成しなければと、中国で人気のサッカーに目をつけ、社内にチームを作った。ユニホームを揃え、結団の際には「風雨同舟」という孫子の言葉を持ち出して、ともに頑張ろうと檄を飛ばした。

 組織力を高める一助になればとの思いであったが、所詮は思い付きの俄かサッカーチーム。準備不足もあって、練習試合は連戦連敗、挙句の果てにけが人が続出し、目論見は敢え無く頓挫してしまった。

 

▮ためらわずに懲罰

 現地での日系企業は、中国人社員からすると働き場所として理想ではないにせよ、一定の好感度をもって見られています。例えば、社内管理がきちんとなされていること、或いは、福利厚生制度が整っていること、などが評価されていたようです。

 信賞必罰主義による社内管理を実行することは、日系企業としては当たり前のことなのですが、そこに社員は動機となるものを感じ、意欲が向上する。…と総経理は思う。そう、思いやりが過ぎては会社運営、経営は成り立たない、厳しく当たるべきだ、と。

 韓非子は「誅罰に忍びずんば、暴乱の者止まじ」と言っています。懲罰をためらっていると規則破りの社員はいつまでたっても止まないから、ためらわずガンガン誅罰せよ。

 もちろん匙加減を間違えてはなりませんが、「信」と「罰」を比べると、どうしても「罰」が多くなるのが現実。そうでなくても、掲げた大きな目標の達成のために、日頃から辛辣なことを言い、尻を叩いているのです。

 

▮メリハリを利かす

 社員間のコミュニケーションを深め、もって団結心を醸成する、言わば「柔」のマネジメント。誅罰を辞さない厳しい、言わば「剛」のマネジメント。総経理はまるで振り子のようなイメージで、どちらに重きを置くか迷うところ。

 いくら組織内がまとまり、「和」の状態であったとしても、エネルギッシュでダイナミックに動く組織体の様相は湧いてこない。まるで仲良しクラブで、締まりのない企業となってしまう。

 一方で、マネジメントが厳格に過ぎると、社員が委縮し組織の活力は生まれない。礼記には「一張一弛」という言葉が残されています。国家統制には、ある時は厳格に、ある時は寛大に対応するのが良いというのです。

 いわば、緩急のバランス、メリハリの利いた運営が求められるところです。「厳格」と「寛容」という二つのカードを手の中に持ち、シーンに応じてうまく使うこと。

 

▮不用意はけがのもと

 現地日系企業が膨大なマーケットで国内企業と競争をして勝つためには、社員の団結が不可欠です。極論かもしれませんが、国内企業に足りないものが「団結」であり、同時にそれは日系企業においての強みのひとつでもあるからです。組織力を発揮することで勝算が見えてくる。

 とはいえ、団結さえあれば競争に勝てるというわけでもありません。「和を貴しとなす」との言葉は、「礼」のシーンでは何より調和が貴いのですが、マーケットで勝負をしようとする会社にあっては、そうも言っておれません。

 そして厳格管理との兼ね合いをどこに線引きするかは、総経理の腕の見せ所。現地に適応した、しっかりとしたスタンスをもって、慎重に取り掛かることが成功への一里塚。

 中国ビジネスにおいては、間違っても、不用意にかぶりついてしまっては、大やけどをして撤退の憂き目に会いかねません。

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