韓非子は【軽挙妄動】と言った 中国で見知らぬ他人に携帯 貸しますか

大連・労働公園は憩いの場(2018年5月)

 日本人には「性悪説」の考え方はなかなか馴染めない。しかし、海外の地で「性善説」をベースに考え行動すると、どうしても脇が甘くなり、隙間につけ込まれ失敗に繋がることが増える。そうなれば、頼りない人だという周囲からの謗りは免れない。甘く見られた総経理は後々、マネジメントが効きにくくなるのは言うまでもありません。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

轻举妄动 / 軽挙妄動

  • 中国語:轻举妄动   [ qīng jǔ wàng dòng ]
  • 出典:韓非子(解老)
  • 意味:慎重に考えず、軽率な行動をとること。軽はずみな振る舞いをすること。

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谨言慎行 / 言を謹み行を慎む

  • 中国語:谨言慎行   [ jǐn yán shèn xíng ]
  • 出典:礼記(缁衣)
  • 意味:言語、行動共に注意深く慎むこと。

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左思右想 / 左思右想

  • 中国語:左思右想   [ zuǒ sī yòu xiǎng ]
  • 出典:冯梦龙(东周列国志)
  • 意味:多方面にわたって考え思案すること。

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防人之心不可无 / 防人之心無きベからず

  • 中国語:防人之心不可无   [ fáng rén zhī xīn bù kě wú ]
  • 出典:菜根譚
  • 原文:害人之心不可有,防人之心不可无(害人の心有るべからず、防人の心無きべからず)
  • 意味:人を害するような心が有ってはならない、防衛する心が無くてはならない。つまり、他人を陥れようなどと考えてはならないし、他人から陥れられないよう警戒心を失ってはならない。人を騙すな、人から騙されるな、との意。

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記事:【軽挙妄動】 中国で見知らぬ他人に携帯 貸しますか

▮携帯を貸して…

 オフの午後のコーヒーショップでまったりとしたひと時。店内は中国人でほぼ満席。盛況ぶりに感嘆する。そこに突然、小学低学年らしき見知らぬ男の子が近づき、何やら言ってきた。聞いてみると、「お母さんとはぐれて困っている。連絡を取りたいので、携帯電話を貸してほしい」という。

 一緒に買い物にでも来て、迷子になったのかもしれないが、勇気を出して言ってきたのだろう。きっと心細い思いをしているに違いない…

 しかし、ちょっと待てよ… 

 店内には多くの中国人がいるのに、何故、彼らのところへ助けを求めないのか。或いはお店の店員さんに。何となく引っかかる…

 話を聞いた後のほんの少しの合間に「左思右想」。頭の中で、いろいろな想像が巡らされる。最悪のケースは、親切心で貸した会社名義の携帯電話が、まんまと持ち去られることにも…

さて、どうしたものか。

 

▮シャッターをお願い…

 ある日、友と観光に。中国の悠然とした景色をバックに二人で記念撮影を。通りがかりの人にシャッターを押してもらおうか。

 見ず知らずの人に大事なデジカメを委ね、数メートル離れて立つ。そこで、「一、二、三」と掛け声がかかるや、彼はくるりと踵を返し一目散。あっけにとられている間にデジカメが…

 そんなことがあるかないかわかりませんが、そんな想像をすると、記念の写真は一人ずつお互いに、ということになります。

 午後の一杯の珈琲や観光地での写真などのシーンは、日本では何ら気遣いはいりませんが、海外の地ではそうでもないのです。

 日本と同じような感覚で取った行動が、とんでもないことになってしまった時には、周りからは「軽挙妄動」だという謗りを受けることにもなります。もし、会社内に知られると、「うちの総経理は馬鹿じゃないのか…」と手厳しい思われ方も。

 

▮人の性は悪

 「人の性は悪」とは荀子の言葉。人は生まれつきの本性は悪であり、その後、不断の努力で学問に励むことによって「善の性」に導くというもの。とすれば、世の中には「悪」をベースにした人ばかり。それぞれの精進の度合いによって「善」への進度が違うとは言え。

 そういう社会の中で現地会社を運営している日本人総経理(社長)が、心すべきは「防人之心無きベからず」という菜根譚にある格言ではなかろうか。防衛の心、つまり警戒心を失ってはならない、ということです。

 海に囲まれているせいか、日本では「性悪説」の考え方はなかなか馴染めない。しかし、海外の地で「性善説」をベースにすると、どうしても脇が甘くなり、その隙間につけ込まれ失敗に繋がることが考えられます。そうなれば、部下社員あたりからも、頼りない人だとの謗りを受けることは免れない。

 周囲から甘く見られた総経理は後々、マネジメントが効きにくくなるのは言うまでもありません。

 

▮負けない努力を

 国情や習慣の違う環境にあって、失敗せずに成功を勝ち取るには、人に騙されないように常に警戒心をもつことに加えもうひとつ。礼記にある「謹言慎行(言を謹み行を慎む)」という言葉。田舎から出てきたばかりで、財布を落として困っている、というお涙頂戴の話をしてくる見知らぬ人に、思わず二百元を手渡した自らの善行ぶった行動に自ら酔う。醒めたときにこっそり反省する自分がいる。

 オンの時はもちろん、オフであっても、自らの言動を慎重にすることが、大事ではないでしょうか。要は何事にも負けないことです。

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