論語に【駟も舌に及ばず】と 笑い話? そのひと言 うっかりでは済まないことも

物言えば唇寒し…(旅順二百三高地 2016年10月)

単なる言葉の行き違いで友好関係にひびが入ることもあります。社員達から総スカンを食らうことにもなりかねません。一方で、場を和ませたり、相手との距離を縮めたりと、言葉は生きもの。その分、使い方は慎重に…

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

▮今回のことわざ(五十音順)

 

大吃一惊 / 大いなる一驚を喫す

  • 中国語:大吃一惊   [ dà chī yī jīng ]
  • 出典:警世通言
  • 意味:発生したことが非常に意外であったこと。「喫」は受ける、こうむるの意。びっくり仰天すること。

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呼牛呼马 / 呼牛呼馬(こぎゅうこば)

  • 中国語:呼牛呼马   [ hū niú hū mǎ ]
  • 出典:荘子(天道)
  • 意味:何と言われようと気にせず、言うにまかせる事。相手の言うのにまかせて、自分では逆らわないことの例え。
  • 故事:老子を非難したある男に対し何も反応しなかった。その理由を老子は「私を牛と呼べば私は牛と思う。私を馬と呼べば私は馬と思うだけだ。なぜなら、人がそういうのにはそれなりの根拠があるはず。それに逆らえば災いを被る」と。

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驷不及舌 / 駟(し)も舌に及ばず

  • 中国語:驷不及舌   [ sì bù jí shé ]
  • 出典:論語(颜渊)
  • 意味:いったん口に出した言葉は、四頭立ての馬車で追いかけても、追いつくことはできない。 言葉は慎むべきであるというたとえ。

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无以先入之语为主 / 先入の語を以て主と為す無かれ

  • 中国語:无以先入之语为主   [ wú yǐ xiān rù zhī yǔ wéi zhǔ ]
  • 日本語表記:無以先入之語為主
  • 出典:漢書(息夫躬传)
  • 意味:先入観や固定観念にとらわれてはならない、との意。

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祸从口出 / 禍は口より出ず

  • 中国語:祸从口出   [ huò cóng kǒu chū ]
  • 出典:晋朝·傅玄
  • 原文:病从口入,祸从口出
  • 意味:うっかり発した言葉が思いもかけない禍を招くことがある。不用意な発言はしないこと。口は禍のもと。

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記事:【駟も舌に及ばず】と 笑い話? そのひと言 うっかりでは済まないことも

▮呼牛呼馬

 上海浦東空港のチェックインカウンター。順番待ちの行列。前にいた小さな子供連れの日本人のお母さん。やおら振り返り、「日本語、わかりますか?」と日本語で。

「…?」 大阪人の茶目っ気から思わず「少しだけなら…」とたどたどしく。

 そのお母さんは列から離れた子供を連れ戻す間、スーツケースを見ておいてほしかったようです。雰囲気なのか、身なりであったのかわかりませんが、日本人には見えなかったのでしょうか。「日本人に向かって何を無礼な…」などと無粋なことは言うまい。荘子は「呼牛呼馬」という言葉を残しているのですから…

 

▮先入の語

 中国語で電話したとき、受話器からは「私、日本語、わかりません」とたどたどしい日本語が。「ン…?」

 住んでいたアパートメントで、部屋が突然の停電。電話でフロントに復旧予定を中国語で問い合わせたときの出来事でした。日本人が比較的多く住むそのアパートメントのコンシェルジュには、日本語を話す中国人スタッフもいます。

 当時は、社内の会議も通訳無しで中国語で行うほどにまでなっていたのに。その「自慢」の中国語が通じなかったことのショック。

 「先入の語を以て主と為す無かれ」と漢書にある。原因はきっとこれだ。

 何故なら、フロントに電話をかけると部屋番号が表示され、日本人が住んでいることがすぐわかります。そしてスタッフは日本人が中国語を話すわけがないと思い込んでいる。だから日本語は理解できないと。そういう先入観があったのかな。

 そのことを会社の中国人社員に話したら、みんなから大笑いされました。…ということは、中国語の発音に問題があった…? いや、ここはスタッフの先入観の問題にしておこう…

 

▮大いなる一驚を喫す

 初対面の日本人から「日本語が上手ですねぇ!」と言われた。「…?」

 懇意にしていた中国人のある事業家が、彼の友人である日本人を私に紹介してくれた時の話です。彼は当然中国語で紹介をしてくれ、それを受けて、日本語(日本人に対して、ですから当たり前)で簡単に挨拶をしたところ、その日本人は「まあ、日本語が上手ですねぇ!」と。

 中国人が中国語で紹介したのですから、その場の状況からは当然のことのように中国人だと思ったのでしょう。日本語がうまいと褒めてくれたその日本人に対して、「あの~、私は日本人ですから…」と対応。彼は「大いなる一驚を喫す」とびっくり仰天! そしてお互いに大笑い。

 

▮駟も舌に及ばず

 円卓を囲んで大人数で会食。それぞれが両隣の人と会話をしながら和やかな雰囲気です。左隣の人から「日本からいつ大連に戻ったのか?」と問いかけが。「昨日の飛行機で戻った」と答えたかったのですが、ここで問題が発生。

 中国語ではタクシーを拾うことを「出粗車」というので、飛行機に乗って…ということを「打飛機」と間違って表現してしまったのです。(「坐飛機」というのが正しい表現)

 その話題の直前に、右側の方が、「(単身赴任で暇だと思いますが)毎日何をしているのか」と聞いてきました。たまたまその方は、その話題の途中で別の方とお話をしていました。で、向き直った時に「打飛機」という言葉を聞いたのです。

 実は、中国で「打飛機」とは男性がするマスターベーションを意味する隠語です。つまり右側の彼は、「毎日何してる?」と聞いたところ「打飛機」と答えたと理解したのです。 彼は絶句し目を丸くしていました。誤解が解けた時に、みんなで大笑いが…

 ちょっとした言葉の間違いが座を和ませたということにしておきましょうか。

 しかし、論語には「(し)も舌に及ばず」とあるように、一旦、口から出た言葉はもう取り返すことはできません。言葉は慎重に選ばなければならないということです。

 

▮禍は口より出ず

 言葉に関するたわいない経験談はただの笑い話です。しかし、時と場合によってはそうはいかないことがあります。

 「禍は口より」とは傳玄の言葉。単なる言葉の行き違いで友人と仲たがいすることもあります。

 会社を代表する立場にある総経理(社長)や老板(経営者)は、自身の発言には十分注意し、また慎まなければなりません。何でもない問題をこじらせてしまったり、最悪の場合は、皆から総スカンを食らうことにもなりかねません。自らの事業を発展。成功させるためにも、無用のトラブルの発生は避けたいものです。

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