【吃里爬外】ということわざ いない方が良い社員にはこんな対応策で…

色ずく銀杏 大連・労働公園(2017年11月)

社内にいる度を越した「困ったちゃん」社員。見て見ぬふりをしていたのでは不作為の謗りは免れません。だからと言ってばっさりやっては返って面倒なことにもなりかねない。中国現地会社の責任者である総経理(社長)としてどうする?

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

吃里爬外 / 裡(うち)で喫し外で爬(は)う

  • 中国語: 吃里爬外   [ chī lǐ pá wài ]
  • 出典:消闲演义
  • 日本語表記:喫裡爬外
  • 意味:他人の事のために自分の所属集団(会社など)を裏切ることの例え。内部の者でありながら、その組織に害を与える者のこと。獅子身中の虫。

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车到山前必有路 / 車 山前に到りて必ず路あり

  • 中国語: 车到山前必有路   [ chē dào shān qián bì yǒu lù ]
  • 出典:中国古代の諺(出典はありません)
  • 意味:困難に直面した際にも、必ず解決方法があることの例え。案ずるより産むがやすし

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熟视无睹 / 熟視無睹

  • 中国語: 熟视无睹   [ shú shì wú dǔ ]
  • 出典:刘伶(酒德颂)
  • 意味:凝視してはいるが目には入っていないこと。無関心であることの例え。

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射人先射马 /  人を射るには先ず馬を射よ

  • 中国語: 射人先射马   [ shè rén xiān shè mǎ ]
  • 出典:杜甫(前出塞)
  • 原文:射人先射马,擒贼先擒王。(人を射るには先ず馬を射よ。賊を擒にせば先づ王を擒にせよ)
  • 意味:目的を果たすためにはその周囲やよりどころにしているものを先に攻めるとよいということ。

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記事:【吃里爬外】 いない方が良い社員にはこんな対応策で…

▮吃里爬外

 どこの会社にもいる「困ったちゃん」。でも、度を越すとたいへんです。

 ある10年選手の社員。若い会社にとっては古参の部類。つまり誰もが一目置く社員ですが、社内の後輩社員を使って手数料を稼ぐ副業をしていました。さらに、社内での立場を利用して、出入りの業者からリベートをもらうという、いずれも不当な利益を得ていたこともわかりました。

 中国でそういう事例は珍しいことではありませんが、ここまでくると、社内に悪影響が出てきて、周囲にも変な空気感が漂ってきます。どう見てもこれは「吃里爬外」。会社組織に巣くう「獅子身中の虫」であり、放置すると内部から崩壊しかねません。

 

▮熟視無睹

 そんな社員には退場願わなければなりません、と幹部に質すと、どうも幹部社員たちはその社員の行状をすでに知っていて、つまり「熟视无睹」状態であったのです。

 何故なら、その古参社員はかなり強力なコネを使って入社した経緯があり、そのことを知る皆は自分への影響を恐れて見て見ぬふりをしていたようです。

 しかしながら、会社内で害毒を流すようでは組織運営上良くありませんし、まして発展途上にある企業としては、あまりにも影響が大きくそれを放置することはできません。どう考えてもその社員は会社にとって「いない方が良い」社員であると言わざるを得ません。

 

▮人を射るには先ず馬を射よ

 人事権を持つ総経理(社長)だからといって、「いない方がよい社員」をバッサリとやってしまうと、場合によっては厄介なことになる可能性があります。

 日本人総経理が中国人社員に対してどう対応するかは、結構悩ましくまた微妙な問題なのです。さて、どうしたものか…

 杜甫はその詩の中で「人を射るには先ず馬を射よ」と言っています。言わばまず外堀を埋めよ、と。

 その言葉に倣うと、会社の中軸を担う幹部社員とのコンセンサスを得ることです。しかし、「辞めてもらおうと思っている」と話しても、積極的な賛意が得られないかもしれません。その古参社員の背景にある人脈の影響を被ることなど誰も避けたいはず。

 かと言って辞めてもらうことに真っ向から反対する意見もないところを見たら、おそらく自分の口から進んで賛意を表すことを憚ったのであろうと思われます。

 古参社員の後ろ盾の反撃による会社への影響を見図りながら、幹部社員の理解が得られるまで何回か意見交換を重ねるという努力が必要です。決して急がずに…

 

▮車 山前に到りて必ず路あり

 幹部社員たちとのコンセンサスが形成された段階で、次のステップへ。

 中国では会社と社員が労働契約を書面で締結し雇用関係が成り立っています。有期契約とするのが一般的で、期限到来時に更新するか否かを双方が協議する形態。

 今回のように辞めてもらいたい社員に対しては、労働契約の満了時に更新しないで契約を終了するのが、どう考えても得策というもの。

 そこで、その旨を本人に通告すると、意外や意外、抗うことは何も無かったのです。ひと悶着を覚悟の上だったのですが、不更新の理由や原因を聞いてくることもありませんでした。抗えば返って自分の体面が損なわれると考えたのかもしれません。

 中国に「車 山前に到りて必ず路あり」という伝承の言葉がありまが、困難な問題に直面した際にも、必ず解決策はあるという、元気になる言葉です。よって策を弄したりするのではなく、サラッと対応した方が良い結果となることが多いようです。

 納得できない社員によっては仲裁処に駆け込むことも考えられますが、その場合も解決策を見出すことは十分可能です。

 いずれにしても、度を越した「困ったちゃん」に退場してもらうためには、正論をもってぶれずにきっぱりと、単なる事務処理であるという感覚でサラッと、但し相手の面子は絶対につぶさない、幹部社員を味方につけておく、そういった対応を心掛けたいものです。

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